設計思想
大型化の時代と、その修正
2009年に登場したデイトジャストIIは、デイトジャスト史上初めて41mmの径を採用したモデルだった。2000年代の大型時計ブームに応えた設計で、ベゼルもラグも太く、量感を押し出す造形だった。しかし2010年代半ばになると流行は沈静化し、古典的な均整への回帰が進む。ロレックスは2015年のデイデイト40で新世代キャリバーCal.3255と引き締まったケース造形を提示しており、その文法をデイトジャストへ展開したのが、2016年3月のバーゼルワールドで発表されたデイトジャスト41である。まずロレゾール仕様(126333・126331など)で始動し、径は41mmのまま、ベゼルとラグを細く引き直して、デイトジャスト36の均整を拡大再現する設計へと改められた。
スチール系の投入と126334の役割
翌2017年3月、バーゼルワールドでスチールの126300とホワイトロレゾールの126334が追加され、デイトジャストIIの116300・116334は入れ替わるようにカタログから退いた。126334に与えられた役割は明確である。すなわち、金無垢やツートーンの華やかさを避けながら、デイトジャストの記号であるフルーテッドベゼルを手元に残すことだ。ベゼルのみを18Kホワイトゴールドとする構成は、遠目には総スチールと見分けがつかない。126334-0001はそのローンチ構成のひとつで、ブルーのサンレイ文字盤にバトンインデックス、オイスターブレスレットという、もっとも基本に忠実な組み合わせを担う。
116334から受け継いだもの、断ち切ったもの
先代116334との間には、連続と断絶がはっきり分かれている。受け継がれたのは41mmの径、ホワイトゴールドのフルーテッドベゼル、そしてブルー文字盤という構成である。一方で、ケースの輪郭と文字盤要素のスケールは全面的に描き直され、ムーブメントはCal.3136からCal.3235へ世代交代し、パワーリザーブは48時間から70時間へ延びた。さらにデイトジャストIIでは選べなかったジュビリーブレスレットが復活し、同一文字盤でオイスターとジュビリーを選び分けられる体制が整った。
兄弟Refと現在
ブルー文字盤のジュビリー仕様は126334-0002として並立し、スムーズベゼルの126300、ロレゾールの126333・126331が同世代を構成する。126334の文字盤は発表後も拡充が続いたが、派生が増えるほど、初期から変わらないブルー×オイスターは系譜の基準点としての性格を強めている。2026年6月時点でも現行であり、世代交代の起点に立つ構成として位置づけは変わらない。
意匠分析
本機の設計は、金の使いどころを一点に絞ることから始まっている。18Kホワイトゴールド製のフルーテッドベゼルは、本機で唯一の貴金属部品であり、細かく刻まれた山谷が光を散らすことで、その存在をきらめきとしてだけ主張する。地金の色はスチールとほぼ見分けがつかず、金であることは近距離でようやく判別できる設えだ。
ケースはミドルケースを一体で削り出すモノブロック構造で、裏蓋とリューズはねじ込み式、リューズには2重防水機構のツインロックを備えて100m防水を確保する。先代116334と径は同じだが、ベゼル幅とラグが細く引き直されたことで文字盤の開口は広がり、同じ41mmでも印象は引き締まった。ラグ幅は21mmという珍しい奇数幅である。
文字盤はサンレイ仕上げのブルー。中心から外周へ走る筋目に発色層を重ね、薄いワニスで封じる工程により、腕の角度に応じて青の明度が揺れる。バトンインデックスとスティック針はホワイトゴールド製で、青く発光するクロマライト夜光を備える。3時位置の日付にはサイクロップスレンズが載り、デイトジャストの記号を完成させる。
ブレスレットは3列のオイスター。中央コマを鏡面、外側コマをサテンに仕上げ分け、ベゼルの輝きと呼応させている。クラスプはオイスタークラスプで、約5mmの延長を工具なしで行えるイージーリンクを内蔵する。
ムーブメントのCal.3235は、クロナジー・エスケープメント(ニッケルリン合金製でエネルギー伝達効率を高めた脱進機)と耐磁性のパラクロムヒゲゼンマイ、パラフレックス耐震機構を組み合わせた新世代機である。毎時28,800振動 (4Hz)で駆動し、パワーリザーブは約70時間。ケーシング後の日差±2秒を保証するSuperlative Chronometer認定を受ける。
系譜と歴史
126334の歴史は2017年3月のバーゼルワールドに始まる。前年2016年の同見本市でデイトジャスト41がロレゾール仕様(126333・126331など)で発表されており、2017年にスチールの126300とともにホワイトロレゾールの126334が系譜へ加わった。これと入れ替わりに、2009年から続いたデイトジャストII(116300・116334)はカタログから姿を消している。
ブルー文字盤は発表当初からの構成で、オイスターブレスレット仕様が126334-0001、ジュビリーブレスレット仕様が126334-0002の管理番号を与えられた。ローンチ時の文字盤はバトンまたはダイヤモンドインデックスが中心で、ローマ数字は含まれなかったとされる。その後、スレート地に緑のローマ数字を配した通称ウィンブルドン文字盤が追加されたと伝わり、2022年頃にはミントグリーン、2023年頃にはベゼルの刻みを文字盤に写したフルーテッドモチーフが加わったとされる。
126334-0001自体は、発表以来仕様を大きく変えていない。公式カタログ上の呼称は整理が進み、現在は文字盤色を「ブライトブルー」、夜光を「クロマライトディスプレイ」と表記する。2026年6月時点で公式サイトに現行モデルとして掲載されており、発表から9年を経てなお、デイトジャスト41のスチール系を代表する構成であり続けている。