本文へ
BREGUET · SERIES

Classique Complications

クラシック・コンプリケーション

トゥールビヨンを発明した創業者の遺産を継ぎ、高度な複雑機構を古典の文法のなかに収めるクラシックの一群

41 mm – 42 mm
01 — 概要 / SUMMARY

クラシック・コンプリケーション (Classique Complications) は、ブレゲのクラシック・コレクションのうち、トゥールビヨンや永久カレンダー、ミニッツリピーターといった高度な複雑機構をまとう一群を指す。トゥールビヨンを1801年に発明したのは創業者アブラアン=ルイ・ブレゲ自身であり、この系譜は創業者が遺した複雑機構を現代の腕時計へ翻案する場として位置づけられる。現行ではトゥールビヨン、ダブルトゥールビヨン、レペティション・ミニュット (ミニッツリピーター) などが並ぶ。2025年の創業250周年では、ブランド初のフライングトゥールビヨンや磁性ピボットの新作が加わった。

02 — STORY · 物語

Classique Complications(クラシック・コンプリケーション)、これまでの軌跡

The story of this series
01

創業者がのこした複雑機構の語彙

アブラアン=ルイ・ブレゲは1775年、パリのシテ島ケ・ド・ロルロージュに工房を構えた。彼がこの地で生んだ発明は、今日のクラシック・コンプリケーションの語彙そのものである。1783年、リピーター時計の打鈴をベルから渦巻き状の鋼線 (ゴングスプリング) へ置き換えた。1795年には、ひげぜんまいの終端を持ち上げて等時性を高めるブレゲひげぜんまいを考案する。そして1801年6月26日 (共和暦9年メシドール7日)、重力が懐中時計の精度に及ぼす誤差を均すための回転調速機構、トゥールビヨンの特許を得た。生前に売れたトゥールビヨンは35点ほどと伝わる。

02

休眠から腕時計への帰還 — ダニエル・ロスの時代

1823年の創業者の死後、トゥールビヨンは長い休眠に入る。転機は1970年、宝飾商のショーメ兄弟がブレゲを取得したことだった。兄弟は若い時計師ダニエル・ロスを招き、ブレゲの懐中時計の意匠を腕時計へ翻案させる。1970年代半ばには拠点をヴァレ・ド・ジュウへ移し、コインエッジのケースやブレゲ針といった様式を再構築した。ロスはまず永久カレンダー (Ref. 3050) を世に出し、1988年、ブレゲ初のトゥールビヨン腕時計 Ref. 3350 を完成させる。これは量産トゥールビヨン腕時計としては、オーデマ・ピゲに次ぐ2例目とされる。その量産版 Ref. 3357 は、現在もカタログに残る。

03

スウォッチグループ期の再構築

1987年、ショーメ兄弟の破綻によりブレゲはインベストコープへ売却され、1999年にはニコラス・ハイエク率いるスウォッチグループの傘下に入る。ハイエクは生産設備に投資し、ブレゲをヴァレ・ド・ジュウの本格的なマニュファクチュールへと育てた。この時期、トゥールビヨンはブランドの技術と意匠の中心軸として位置づけ直される。永久カレンダーやミニッツリピーターを含む複雑機構の幅も広がり、自社一貫生産の体制が整えられていった。

04

シリコンと薄型化

2006年、ブレゲはシリコン製のひげぜんまいと脱進機を備えた腕時計 (クラシック Ref. 5197 など) を発表する。スウォッチグループのなかで先駆けてシリコンを採用した例である。2013年には Ref. 5377、超薄型の自動巻トゥールビヨンが登場した。偏心させたトゥールビヨンのケージはチタン製、ひげぜんまいはシリコン、周辺ローターを用いた厚さ3mmの自動巻機構 (Cal. 581DR) は、トゥールビヨンとしては高めの4Hz (毎時28,800振動) で動き、約80時間の動力を蓄える。

05

機構を見せるという選択

2020年の Ref. 5345「ケ・ド・ロルロージュ」は、方向性の異なる到達点である。独立した2基のトゥールビヨンを中央の差動機構で連結し、機構全体が12時間で1回転する。文字盤を排して正面に機械を見せ、橋はブレゲの頭文字Bをかたどる。ここではあえてシリコンを用いず、鋼のひげぜんまいにブレゲ伝統の終端曲線を持たせている。

06

250周年と現在地

2025年、創業250周年を迎えたブレゲは、各コレクションに記念作を据えた。クラシックでは、ブランド初のフライングトゥールビヨン Ref. 7255「トゥールビヨン・シデラル」が、特許取得日にちなむ6月26日に発表された。宙に浮くように支持を見せない構成で、専用合金ブレゲ・ゴールドをまとう。あわせて、磁気軸受 (磁性ピボット) と10Hz (毎時72,000振動) の高振動脱進機を組み合わせ、日差±1秒を称する Ref. 7225 も現行に加わった。トゥールビヨンを軸としつつ、リピーターやグランド・ソヌリ、永久カレンダーまでを擁する現在のクラシック・コンプリケーションは、創業者の発明を素材科学で問い直す場であり続けている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

クラシック・コンプリケーションの設計を貫くのは、高度な複雑機構を古典的な顔のなかに収めるという一貫した抑制である。ブレゲがクラシックに掲げるのは判読性、正確さ、洗練という「時の理想の顔」であり、トゥールビヨンやリピーターを抱えてもなお、文字盤は静かで整然と保たれる。

文字盤は無垢の金にギヨシェ (機械彫りの幾何学模様) を施し、しばしば時刻表示を偏心させる。針はブルースチールのオープンチップ針、いわゆるブレゲ針。外周にはローマ数字が並び、5時から7時のあたりには、肉眼では見つけにくいシークレットサイン (秘密の刻印) が隠される。ケースバンドはコインエッジ (硬貨の縁のような細かい縦溝)、ラグは直線的で溶接された一体型。これらは創業者が18世紀の懐中時計で確立した語彙であり、ブレゲ自身が「見間違えようのない特徴」と呼んだ意匠である。

ギヨシェは装飾であると同時に、光の反射を抑えて視認性を助ける実用でもある。グラン・フー・エナメル (高温焼成の七宝)、彫金、ブルーイングといった手仕事が、複雑機構の世代が変わっても同じ語彙を運び続ける。

この系譜でトゥールビヨンは、調速機構であると同時に視覚的な中心でもある。ケージを文字盤の一角に配する例もあれば、文字盤そのものを排して機構を正面に見せる例もある。だが過度の装飾や宝飾化には踏み込まない。薄型 (エクストラ・プラ) のケース、手仕上げの彫金、無垢金の地板。派手にしないという判断が、複雑時計でありながら正装に馴染む顔をつくる。

同時代の競合には、トゥールビヨンを開放的でモダンな見せ物として演出する例も多い。これに対しブレゲは、機構を歴史的な意匠の文法の内側に置く傾向が強い。復興から半世紀近くを経てなお「ブレゲの顔」が一目で分かるのは、各部の意匠が創業者の懐中時計、たとえば No. 5 や No. 1176 から連続しているためである。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1988-2000s
薄型手巻トゥールビヨン系
鋼ひげぜんまいと伝統素材による手巻世代。
2006-
Cal. 591 系 (シリコン)
シリコン製ひげぜんまいと脱進機を導入。
2013-
Cal. 581DR
自動巻・4Hz・約80時間の偏心トゥールビヨン。
2020-
Cal. 588 系
2基のトゥールビヨンを差動連結、全金製機構。
2025-
磁性ピボット高振動系
磁気軸受と10Hzで自社精度規格に到達。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1988-1990s

初代トゥールビヨン腕時計

3350
創業者の発明をロスが36mmの腕時計へ移植した世代。
1990s-現在

定番化したトゥールビヨン

3357
ロスの設計が現行カタログまで生き続ける基準形。
2013-現在

超薄型自動トゥールビヨン

5377
偏心トゥールビヨンと周辺ローターで薄型化を達成。
2020-現在

ダブルトゥールビヨン

5345
2基を差動で連結、文字盤を排し機構を全面開放。
2025

初のフライングトゥールビヨン

7255
250周年記念、宙吊りの神秘的構成をまとう限定作。
2025-現在

磁性ピボットの高振動

7225
磁気軸受と10Hzで日差±1秒の精度を称する新世代。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive