用語 / TERM · Guilloché
ギヨシェ
ローズエンジン旋盤による手彫りの反復模様。文字盤を装飾し反射を抑える伝統技法
ギヨシェ(Guilloché、ギヨシェ彫り)とは、ローズエンジン旋盤と呼ばれる手動旋盤を用い、金属表面に幾何学的な反復模様を彫り込む装飾技法である。
技法自体は16世紀に遡り、当初は木材や象牙などの軟質素材に施されたのち、金細工・銀細工の領域で金属加工へ応用された。時計分野では1680年頃にジュネーブのピエール・デュアメル(Pierre Duhamel)がケースに施したのが最初期とされる。文字盤への本格的な導入は1786年頃のアブラアン-ルイ・ブレゲ(Abraham-Louis Breguet)とされ、装飾性に加え、表面反射を抑えて視認性を高める実用効果も意図された。語源はギヨシェ彫り機を考案したとされるフランス人技師Guillotに由来する説、ドイツ人ハンス・シュヴァンハルト(Hans Schwanhardt)に帰する説などがあり、確定していない。
代表的なパターンには、鋲を並べたようなクル・ド・パリ(Clous de Paris、ホブネイル)、麦の穂を思わせるグレンドルジュ(Grain d'orge、バーリーコーン)、太陽光線状に広がるソレイユ(Soleil)、波模様のヴァーグ(Vagues)、市松のダミエ(Damier)などがある。
現代の量産時計ではプレス加工やCNC切削によるギヨシェ風文字盤が多くを占める一方、ローズエンジン旋盤を用いた手彫りはブレゲをはじめとする一部のメゾンと独立系時計師に限られ、希少な手仕事として位置づけられている。