本文へ
Blancpain · L-Evolution · 2010

L-Evolution Carrousel Saphir Volant Une Minute White Gold

サファイア製の地板と橋でカルーセルを宙に浮かべた、ホワイトゴールド15本限定のL-Evolution

00222A-1500-53Bは、2010年に始まるCarrousel Saphir Volant Une Minute(カルーセル・サフィール)のホワイトゴールド版である。手巻きのCal.22Tは1分で1回転する飛行カルーセルを備え、その地板と橋をすべてサファイアで成形した点に最大の特徴がある。金属の支持部材を透明な素材に置き換えたことで、調速機構は宙に浮かぶように見える。ケース径は43.5mm、生産は15本のみにとどまる、L-Evolutionの前衛性を象徴する一本である。

Ref. 00222A-1500-53B
発表年 2010
状態 現行品
限定 限定 15
コレクション L-Evolution
カテゴリ スケルトン
キャリバー 22T
ケース径 43.5 mm
防水 30 m
カルーセル
01 — Specification

仕様

As of WatchBase sync · 2026.06.09
Case · ケース
素材 White Gold
形状 Round
43.5 mm
厚さ 13.5 mm
ガラス Sapphire
裏蓋 Open
防水 30 m
Movement · ムーブメント
キャリバー 22T
タイプ Handwound
石数 25 石
パワーリザーブ 120 時間
Dial · 文字盤 / Hands · 針
文字盤色 Blue
Alpha
i — Editorial

設計思想

Design philosophy

カルーセルという忘れられた機構

カルーセルは、テンプと脱進機を回転する台座に載せ、姿勢差による精度のばらつきを抑える調速機構である。1892年にバーン・ボニクセンが考案したが、トゥールビヨンの影に隠れ、長く忘れられていた。これを腕時計のために蘇らせたのが、独立時計師団体A.H.C.I.の共同創設者ヴァンサン・カラブレスである。ボニクセンのカルーセルが1回転に数十分を要したのに対し、カラブレスは歯車を加えて回転を60秒に縮めた。ブランパンはこれを2008年に「カルーセル・ヴォラン・ユヌ・ミニュット」として発表し、腕時計初の1分カルーセルを世に出した。

サファイアで機構を露わにする

2008年の初代はCal.225を半スケルトンの文字盤に収めていた。2010年、ブランパンはこの機構をL-Evolutionのケースに移し、地板と橋をすべてサファイアで成形した「カルーセル・サフィール」を発表する。サファイアは加工が難しく、安定した支持構造を得るためにムーブメント全体の設計を見直す必要があったとされる。透明な構造のなかで、カルーセルは支えを失ったかのように宙に浮かぶ。余計な装飾を排し、機構そのものを主役に据えた点が、この系列の核にある。

ホワイトゴールド15本という選択

L-Evolutionは、ヴィルレに代表される古典的な意匠とは対照的に、ブランパンが現代的で前衛的な表現を試みるラインである。カルーセル・サフィールがこの角張ったケースに収められたのは、機構の現代性とラインの性格が一致したためと考えられる。00222A-1500-53Bは、そのホワイトゴールド版にあたる。ブランパンの説明によれば、2010年の登場後、2011年から2012年にかけて素材違いのバリエーションが展開された。先に世に出たローズゴールドのRef. 00222-3600-53Bが50本だったのに対し、ホワイトゴールドの本機は15本のみ。タンタルを用いたRef. 00222-1500-53Bを含め、多彩な素材を受け入れる土台となった。


ii — Editorial

意匠分析

Visual analysis

00222A-1500-53Bの設計を特徴づけるのは、地板と橋をすべてサファイアで成形した点にある。通常は金属でつくられる支持部材を透明なサファイアに置き換えたことで、ムーブメントは支えを持たないかのように見える。サファイアの構造体は、ベゼル、ケースミドル、ラグの間に挟み込まれる形でL-Evolutionのケースに固定される。モジュラー構造のケースが、この繊細な機構を保持する役割を担う。

ケースはホワイトゴールド製で、径は43.5mm、厚さは13.5mm。高級複雑時計としては大ぶりだが、L-Evolutionらしい角張ったベゼルとラグが、機構の現代性に呼応する。風防とケースバックの両方にサファイアクリスタルを用い、表からも裏からもカルーセルの回転を追える。無色のサファイアとホワイトゴールドの取り合わせは、色彩を抑え、機構の動きそのものへ視線を集める。

ダイヤルは多層構造で、中央のカルーセルへ視線が吸い込まれるよう設計されている。1分で1回転する「飛行」カルーセルの名は、上部の橋を持たず、台座の下のボールベアリングだけで支えられる構造に由来する。

ムーブメントは手巻きのCal.22T。毎時21,600振動 (3Hz)で時を刻み、120時間のパワーリザーブを備える。香箱、輪列、リューズ機構といった主要部品だけがカルーセルを取り囲み、装飾的な要素は徹底して省かれている。標準では黒のアリゲーターストラップが組み合わされる。


iii — Editorial

系譜と歴史

Lineage

カルーセルを1分回転で腕時計に載せる試みは、2008年の「カルーセル・ヴォラン・ユヌ・ミニュット」に始まる。ブランパンはこの機構を2010年にL-Evolutionへ移し、地板と橋をサファイアで成形した「カルーセル・サフィール」を発表した。搭載するCal.22Tは、2008年のCal.225を土台に、透明な支持構造へ作り替えたものである。

ブランパンの説明によれば、2010年の登場後、2011年から2012年にかけて素材を変えたバリエーションが順次加えられた。先に世に出たローズゴールドのRef. 00222-3600-53Bは50本限定であった。本機00222A-1500-53Bはホワイトゴールドを纏い、限定数は15本にとどまる。同じ系列には、タンタルを用いたRef. 00222-1500-53Bも存在する。

いずれも少数生産の限定モデルであり、現行のカタログには残っていない。カルーセルの探求はその後、トゥールビヨンとカルーセルを一つの機構に同居させた2013年以降のTourbillon Carrouselへと続く。L-Evolutionのコレクション自体もその後ブランパンの定番ラインから外れたため、本機は短い期間に限られた本数だけがつくられたRefとして記録される。

02 — Derivatives

同型・派生 Ref

Color · material · bracelet variants