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BELL & ROSS · SERIES

BR-03

コックピットの計器を腕に移した角型シリーズ。円い文字盤を四角いケースに収め、四隅を四本のネジで留めた、視認性最優先のデザイン言語。

01 — 概要 / SUMMARY

BR-03は、2005年に登場したBR-01の意匠を42mmに縮小し、2006年にBell & Rossが発表した角型ウォッチの系譜である。航空機コックピットの計器盤を腕に移すという発想から生まれ、円い文字盤を四角いケースに収め、四隅を四本のネジで留めた構造を核とする。視認性を最優先する設計思想は一貫し、現在は三針のBR-03、クロノグラフのBR-03 Chrono、二地域時間のBR-03 GMT、そして角型では初のダイバーであるBR-03 Diverへと枝分かれする。2023年にケース径を41mmへ刷新し、新世代キャリバーへ移行した。

02 — STORY · 物語

BR-03、これまでの軌跡

The story of this series
01

コックピットという出発点

Bell & Rossは1992年、大学時代の友人であったBruno Belamich(Bell)とCarlos A. Rosillo(Ross)が設立した。両者が掲げたのは「機能が形を決める」という思想であり、その帰結が2005年のBR-01である。1970年代の航空機コックピットに置かれた計器時計を範とし、円い文字盤を四角いケースに収め、四隅をネジで留めた46mmの角型は、当時の腕時計の常識から外れた造形であった。だが視認性と機能を突き詰めた結果としての形は、専門家のみならず意匠を好む層にも受け入れられていく。

02

2006年、装着できる計器へ

46mmのBR-01は存在感こそ強いが、日常の装着には大きすぎた。そこで意匠をそのままに42mmへ縮小したのが、2006年のBR-03である。中核となったのは三針のBR 03-92と、クロノグラフのBR 03-94。末尾の数字は搭載するムーブメントの素体を示し、92はETA 2892、94はETA 2894を指す。自社で機械を作らない立場を隠さず、汎用キャリバーを自社設計のケースに収めるという姿勢を、型番がそのまま物語っていた。装着性を得たBR-03は、やがてBR-01に代わってブランドの中心へと移っていく。

03

軍と深海への拡張

BR-03は早くから実用の現場と結びついた。2008年、フランス空軍の要請を受け、戦闘機パイロット向けのBR 03 Type Aviationが各250本の限定で供給されたと伝わる。さらに2017年、ブランドは角型としては初のダイバーズウォッチBR 03-92 Diverを発表する。300m防水とISO 6425準拠を満たし、一方向回転ベゼルと保護されたリューズを備えたこのモデルは、1997年に水深11,100mへ耐えたHydromaxまで遡る潜水時計の経験を、角型の文脈へ接続した。

04

計器という主題の深化

航空計器を範とする出発点は、やがて計器そのものを文字盤に描く試みへと展開する。レーダー、人工水平儀(Horizon)、ジャイロコンパスなど、コックピットの個々の計器を主題とした文字盤が、2010年代を通じて加えられた。針や回転盤の動きで計器の挙動を模すこれらは、実機能としての計器ではない。だが、シリーズの出自を意匠として読み替える解釈として、BR-03の語彙を広げ、航空という主題を視覚的に補強する役割を担った。

05

2023年、1mmの再設計

2023年、三針のBR-03はケース径を42mmから41mmへ縮め、ラグを細く、針を薄くする更新を受けた。同時にムーブメントはセリタSW300系を基とする新世代のBR-CAL.302へ移り、巻き上げ時の持続時間は従来世代の約38時間から54時間へと延びた。文字盤からは長らく付されていた「92」の表記が外れ、呼称はBR-03へと整理される。素体がETAからセリタへ替わって久しい型番を、ここで実態に合わせた格好である。一方、クロノグラフは42mmのまま据え置かれた。

06

角型の現在地

現在のBR-03は、三針のBR-03、クロノグラフのBR-03 Chrono、二地域時間のBR-03 GMT、そして角型初の潜水時計BR-03 Diverという四つの機能で構成される。2025年には独自開発のBR-CAL.328でX字構造を露出させたBR-03 Skeletonが加わり、計器表現の系譜も41mmケースへと移された。コックピットの計器が液晶画面へ置き換わった今日にあって、円を四角に収めた文字盤は、計器そのものではなく計器の記憶を腕に留める意匠として存続している。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

BR-03の設計は、航空機の計器盤という具体的な出自から逆算されている。円い文字盤を四角いケースに収め、四隅を露出したネジで留める構成は、装飾ではなく、計器を機器に固定する留め具の機能をそのまま意匠化したものである。ケースが正方形であることにも理由がある。計器盤上で複数の表示を隙間なく並べるには、円より四角が収まりやすいからだ。短いラグとブレスやストラップの一体感も、計器をパネルへ嵌め込んだ印象を強めている。

文字盤は一貫して視認性を最優先する。大ぶりのアラビア数字、太く塗り分けられた針、夜光の充填、そして4時半に控えめに置かれた日付窓。反射を抑えるためケースやセラミックは艶を落とした仕上げが選ばれ、コントラストの高い配色が守られてきた。色や装飾を足すよりも、暗所と遠距離での判読を先に置く。派手さを抑える判断は趣味ではなく、機能から導かれた帰結である。BR-03 Diverのみは数字ではなくドットとバーのインデックスを採るが、これもISO 6425が求める潜水時の判読性に従った変更である。

意匠の継承を支えているのは、自制でもある。型番が搭載キャリバーの素体を示してきたように、機械を誇張せず、文字盤に余分な情報を載せない。同じく計器に由来するクッション型ケースのパネライ Luminorが曲線を選んだのに対し、BR-03は直線と直角を選び続けた。両者は計器性という共通の主題を、異なる輪郭で解いた対照といえる。サイズが46mmから42mm、41mmへ縮んでも、四本のネジと角型の輪郭という核は動かさない。何を変え、何を残すかの線引きが明確であるからこそ、20年近くを経てもひと目でBR-03と分かる顔が保たれている。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2006-2014頃
ETA 2892-A2 / 2894-2
汎用ETAを基にした三針・クロノの初期構成。
2014頃-2023
BR-CAL.302 / 301
三針をセリタSW300系へ置き換えた移行期。
2023-現在
BR-CAL.302-1
SW300系の最新版で54時間へ延長。
2024-現在
BR-CAL.327 / 328
計器・スケルトン用の独自構成を追加。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2006-2022

初代 42mm

BR 03-92 BR 03-94
BR-01を42mmに縮小し、三針とクロノで始動した世代。
2017-現在

初の角型ダイバー

BR 03-92 Diver
300m防水・ISO 6425準拠、潜水機能を獲得した派生。
2023-現在

41mm刷新

BR03A 系
ケースを41mmへ縮小し、新世代Cal.302へ移行。
2024-現在

計器シリーズ展開

BR-03 Horizon 等
計器を模した文字盤群を41mmケースへ移した。
2025-現在

スケルトン世代

BR-03 Skeleton
独自Cal.328でX字構造を文字盤に露出させた。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 公式 Collections - Bell & Ross 公式 · Bell & Ross · 2026.08.15 閲覧 Bell & Ross · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア SW300-1 - Grail Watch Reference 専門メディア · Grail Watch Reference · 2026.08.15 閲覧 Grail Watch Reference · 2026.08.15
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive