鋼の時計を持たない家
1994年の再興以降、A. ランゲ&ゾーネは貴金属とサファイアクリスタルで語られる時計の家であった。ランゲ1、ザクソニア、1815、リヒャルト・ランゲ、ツァイトヴェルク。五つのファミリーはいずれもプラチナ、ゴールド、ホワイトゴールドを基本とし、ステンレススチール製のシリーズは長らく存在しなかった。
もっとも「鋼のランゲ」という構想は古くから存在した。ブランド再興を主導したギュンター・ブリュムラインは、初期の段階から「いつかスポーツウォッチを」という着想を抱いていたと伝わる。製品開発ディレクターのアンソニー・ドゥ・ハース(2004年就任)は後年、複数のインタビューで「15本のランゲを所有しているが、休暇中に着けられる一本がない」という顧客からの声に幾度も触れたと語っている。