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CALIBER · VACHERON CONSTANTIN

4400 SQ

手巻 Handwound Analog

2014年、Cal. 4400 を手彫り透かし彫りで再構成した、ジュネーブシール認定の自社製手巻スケルトン

4400 SQ
movement · 4400 SQ
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

Cal. 4400 SQ は、ヴァシュロン・コンスタンタンが2014年の SIHH で発表した、自社製手巻キャリバー Cal. 4400 のスケルトン版である。直径28.6mm、厚さ2.8mm、振動数28,800vph (4Hz)、21石、シングルバレルで65時間のパワーリザーブを確保する基本諸元はベース機と共通だが、地板とブリッジを手彫りで透かし彫りに加工し、フリュリザンヌ彫りによる装飾を全面に施した点が決定的に異なる。ジュネーブシール認定。Métiers d'Art Mécaniques Ajourées Ref. 82020 系を中心に、ヴァシュロンの装飾技芸を象徴するモデルへ搭載されている。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerVacheron Constantin
Reference4400 SQ
TypeHandwound
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels21 石
Power reserve65 h
Movement ⌀28.6 mm
HandsHours, Minutes
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. Cal. 4400 という基盤

Cal. 4400 SQ を理解するには、まずベース機である Cal. 4400 自体を見ておく必要がある。同キャリバーが初めて公衆の前に姿を見せたのは2008年頃、Historiques American 1921 への搭載に際してであったと伝えられる。翌2009年には Patrimony Traditionnelle Manual-Winding 38mm にも採用され、以後ヴァシュロン・コンスタンタンの手巻基幹ムーブメントとして定着していった。直径28.6mm という比較的大きな寸法と、シングルバレルでありながら65時間に達するパワーリザーブを両立させた点で、ドレスウォッチ向けの手巻として支持を集めた一基である。

2. 2014年、Mécaniques Ajourées での披露

Cal. 4400 SQ が初めて姿を現したのは、2014年の SIHH において発表された Métiers d'Art Mécaniques Ajourées (Ref. 82020) においてである。19世紀ヨーロッパ鉄道駅の大時計から着想を得たデザインで、グランフー・エナメル製のチャプターリングの内側に、地板とブリッジを透かし彫りにした Cal. 4400 SQ がそのまま文字盤の代わりを務める構造をとった。エナメルのリングは青、黒、グレーの3色で展開され、後年にはダイヤモンドを多数留めたハイジュエリー版 (Ref. 82620)、Only Watch 2015 への一点物 (Ref. 82020/000G-B143) なども派生していく。

3. 手彫り透かし彫りという選択

スケルトン化には、伝統的な糸鋸とヤスリによる手作業を起点とする方法と、放電加工機 (EDM) を用いる方法の二系統がある。Cal. 4400 SQ は前者の系譜に属し、ヴァシュロンは新たな彫刻技法を導入してこの仕事を行ったとしている。ブリッジと地板の周囲を職人が削り出すことで、機構に三次元的な奥行きを与え、ボリュームと立体感を保ったままの彫塑的な造形を実現したと説明される。残された金属面にはフリュリザンヌ彫り (花弁文様の手彫り装飾) が随所に施され、ヴァシュロンの工芸技法 (Métiers d'Art) の系譜に明確に位置づけられたシリーズの中核機となった。

4. 4400 ファミリーにおける位置

Cal. 4400 系には、スモールセコンドを6時位置に追加した Cal. 4400 AS、トリプルカレンダーの Cal. 4400 QC、これにムーンフェイズを加えた Cal. 4400 QCL、限定モデル向けの Cal. 4400/1、270周年記念版の Cal. 4400 AS/270 と多様な派生がある。Cal. 4400 SQ はこの中で唯一、機構そのものを「見せる」方向に展開した変奏である。複雑機構を上に積み重ねる方向ではなく、ベース機の構造美と装飾技芸の双方を露出させる選択をとった点で、4400 ファミリーのなかでも特異な位置を占めている。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

基本諸元

Cal. 4400 SQ の基本寸法は、直径28.6mm (12 1/2リーニュ)、厚さ2.8mm。手巻機構としては比較的大径かつ薄型の部類に入り、Métiers d'Art Mécaniques Ajourées の40mm ケースに対しても十分な視認性をもって収まる設計である。振動数は28,800vph (4Hz)、テンプの一往復が秒の8等分に当たる現代的なハイビート仕様で、香箱はシングルバレル一個のみでありながら65時間のパワーリザーブを実現する。これは香箱径と主ゼンマイの巻数を慎重に取った設計の結果と考えられ、手巻機としては余裕のある運用時間を担保する。石数は21石、調整位置数は仕様書上明示されていないものの、ジュネーブシール基準下での精度検査を経た値で出荷される。

透かし彫りの構造

スケルトン化はブリッジと地板の双方に施される。両者の縁を残しつつ内部をくり抜き、輪列、香箱、テンプ、脱進機といった機構要素を視覚的に露わにする処理だが、機械強度を確保するため設計段階から肉抜きの形状が最適化されている。職人が手作業で形を整えた後、フリュリザンヌ彫り (fleurisanne) と呼ばれる花弁状の彫刻が、残された金属面の全体に施される。これは19世紀から続くジュネーブの装飾技法で、表面を立体的に削り出すことで光の反射に独特の表情を与えるものである。

仕上げ

スケルトン版ではコートドジュネーブやペルラージュといった「面」を前提とする伝統装飾の出番は限定的となり、代わりに各部材のエッジ処理 (アングラージュ) が比重を増す。アングラージュは45度に削られた縁にポリッシュをかけて鏡面の筋を作る技法だが、スケルトン構造では切り抜き部分の内角処理が特に難しい。外角と内角の両方を職人が手仕上げするのが、ジュネーブシール基準への適合条件のひとつとされる。Cal. 4400 SQ では、ブリッジの両端、テンプ受け、香箱周辺の縁すべてにこの処理が及ぶ。

認定:ジュネーブシール

完成した時計には「ジュネーブシール」(Poinçon de Genève) が刻印される。同シールは2012年の基準改定以降、ムーブメント単体ではなく時計全体を対象とする認定へと拡張された。仕上げの精度、ジュネーブ州内での組立・調整・ケーシング、ケース後の機能試験、防水試験、精度試験のすべてに合格して初めて与えられるものである。Cal. 4400 SQ を搭載する Métiers d'Art Mécaniques Ajourées 系は、この新基準下で認定を受けたモデル群に属する。装飾技芸 (Métiers d'Art) と認定試験という二つの体系が、同一の時計上で交差する設計になっている。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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