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CALIBER · VACHERON CONSTANTIN

1326

自動巻 Automatic Analog

2018年、FiftySixの発表とともに登場した、リシュモン共通基盤を磨き上げた自動巻

1326
movement · 1326
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

キャリバー 1326は、2018年のFiftySix Self-Winding発表とともに導入された自動巻ムーブメントである。リシュモン傘下のマニュファクチュール・オルロジェール・ヴァルフルリエがCartier Cal. 1904 MCのアーキテクチャに基づき製造し、ヴァシュロン・コンスタンタンが自社で仕上げ・組立・調整を担う体制を採る。直径26.2mm、厚み4.3mm、142部品、25石。28,800vph (4Hz) で駆動し、パワーリザーブは48時間。22Kゴールドの透かしマルタ十字ローターを備え、現行Ref. 4600Eシリーズに搭載される。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerVacheron Constantin
Reference1326
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels25 石
Power reserve48 h
Movement ⌀26.2 mm
HandsHours, Minutes, Seconds
DateDate
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 開発の背景:FiftySixというエントリー層への接続

2018年のSIHHで発表されたFiftySixコレクションは、ヴァシュロン・コンスタンタンが新たなエントリー層を意識して投入したラインである。コレクション名は1956年のRef. 6073に由来し、レトロな意匠を現代的に再解釈する企画として設計された。価格帯を引き下げるためには、ムーブメント選定が課題となる。自社製の2400系・2460系はジュネーブシール認定を含む高度な仕上げを前提とするため、エントリー価格の枠に収めるには制約が大きい。

ここで採用されたのが、リシュモン・グループの共通基盤として運用されていたCartier Cal. 1904 MCのアーキテクチャである。同設計は2010年にCalibre de Cartierとともに発表された自動巻で、ETA 2892と互換寸法の11½ラインを採り、グループ各社に派生していた。ヴァシュロン・コンスタンタンがこの基盤を自社ラインに組み込んだのは、FiftySix Self-Windingが最初である。

2. Cal. 1904 MCを源流とする系譜

Cal. 1904 MCは、当時Cartierの開発責任者であったキャロル・フォレスティエ率いるチームによって設計された。ダブルバレル構造と双方向自動巻機構を備え、ETA 2892系のアップマーケットな後継機としての性格を持つ。同設計を基にした派生は、Cartier側で1904-PS MC(スモールセコンド)、1904-CH MC(クロノグラフ)、1904-FU MC(セカンドタイムゾーン)等に展開され、Piaget 1110P(Polo S搭載)等にも採用されている。

ヴァシュロン・コンスタンタン仕様のCal. 1326は、これらと骨格を共有しつつ、ローター・仕上げ・最終調整に固有の調整が施される。部品はヴァルフルリエが供給し、組立・仕上げ・タイミング調整はジュネーブのマニュファクチュールが担う。ヴァルフルリエはリシュモン傘下のムーブメント技術センターで、グループ各社の機構供給を引き受ける存在である。

3. ヴァシュロン・コンスタンタン仕様の固有点

Cal. 1326を兄弟キャリバーから区別する最大のシグナルは、22Kゴールド製の自動巻ローターであり、透かし加工によりマルタ十字を浮かび上がらせる意匠を採る。サテン仕上げとミラーポリッシュを併用し、表面にはフロスト処理が加わる。地板・受けにはコートドジュネーブ、ペルラージュ、サーキュラーグレイン、アンギャラージュといった伝統的な装飾が施され、サファイアクリスタルのケースバックを通じて鑑賞できる。

一方、Cal. 1326にはジュネーブシール(オルロジェリー・ジュネーブ印)の認定は付与されていない。同シールはヴァシュロン・コンスタンタンの上位キャリバーが標準的に保持する標章であり、FiftySixラインでもDay-DateのCal. 2475 SC/2やコンプリート・カレンダーのCal. 2460 QCL/1には認定がある。Cal. 1326はその点でラインアップ内でも明確に異なる立場を採る。

4. 産業的文脈と位置づけ

グループ共通基盤を自社仕様に仕上げ直す手法は、リシュモンが2010年代に進めた水平資源活用の表現である。ヴァシュロン・コンスタンタンにとって自社製ラインを温存しつつエントリー価格帯に届かせる手段として機能した一方、その経緯から「真の自社製ではない」とする見方も存在する。Cal. 1326は、ハイエンド・マニュファクチュールが広い顧客層へ手を伸ばす際の一つの解答である。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

基本構成

Cal. 1326は、直径26.2mm、厚み4.3mmの自動巻ムーブメントである。142部品、25石で構成され、振動数は28,800vph (4Hz)、パワーリザーブは48時間を確保する。表示機能はセンター時・分・秒と日付窓で、ハッキングセコンド(秒針停止機構)を備える。

ダブルバレルによるトルク安定化

本機の動力系で特徴的なのは、香箱(主ゼンマイの収納箱)を2つ直列に配する構成である。同系統のCartier 1904 MCで採用された設計を継承する機構で、ゼンマイ巻上げ時から放鬆終了直前までのトルク変動を平坦化することを狙う。単一香箱で48時間を確保するには容量と展開力学に制約があるため、ダブルバレル化はパワーリザーブとトルク安定性の両立に寄与する設計選択である。

脱進機とテンプ

脱進機はスイス・レバー方式を採り、テンプには標準的なアニュラー(円環状)バランスとフラットヒゲゼンマイの組み合わせを用いる。緩急針はC型インデックスを介して微調整され、Cal. 1904 MC第二世代以降の構成と同様である。シリコン製ヒゲゼンマイや磁気耐性に特化した素材は採用していない。28,800vph (4Hz) という振動数は、現代の汎用基幹キャリバーの標準値であり、秒針の運針が滑らかで、時刻調整の精度も担保される。

自動巻機構

ローターは22Kゴールド製で、中央に透かし加工によるマルタ十字のアプリケが配される。ヴァシュロン・コンスタンタンのエンブレムを意匠化したものであり、Cal. 1326を兄弟キャリバーから視覚的に切り分ける最大の要素である。ローターはセラミック製ボールベアリング上で回転し、双方向に動力を伝達する巻上げ機構を介して両香箱を巻き上げる構成と伝わる。これにより、装着時の腕の動きが効率良くゼンマイの巻上げに変換される。

仕上げと装飾

ヴァシュロン・コンスタンタンによる仕上げは、グループ内の同系統キャリバーと比較して明確に上位の処理が施される。地板にはペルラージュ(円形装飾)、受けにはコートドジュネーブ(平行波状装飾)、稜線にはアンギャラージュ(面取り)、ネジ頭にはミラーポリッシュ、輪列の歯にはサーキュラーグレインが認められる。ローター表面には、フロスト、ポリッシュ、ストレート・グレインの三種の処理が併用される。これらの装飾は、サファイアクリスタルのシースルーバックを通じて観察できる。

ジュネーブシールの不在

Cal. 1326は、ヴァシュロン・コンスタンタンの上位キャリバーに伝統的に付与されてきたジュネーブシール(オルロジェリー・ジュネーブ印)の認定を受けていない。同シールは仕上げ品質、ジュネーブ州内製造、性能試験を統合した認定で、地板・受けの面取りや視認部位の研磨に細則がある。Cal. 1326の場合は、ヴァルフルリエ製の部品を用いる構造であるため、これらの細則を満たす設計ではないと整理される。なお、精度に関する公式の認定は付随せず、ヴァシュロン・コンスタンタン社内基準による調整がなされる。

派生の有無

2026年時点で、Cal. 1326はFiftySix Self-Winding専用のキャリバーとして用いられており、グランドコンプリケーションへの拡張や複雑機構の搭載は確認されていない。ベースであるCartier 1904 MCの設計柔軟性は高く、九種の派生が知られるが、ヴァシュロン・コンスタンタン側ではCal. 1326は時・分・秒・日付の基本構成に限定して運用される方針が採られている。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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