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CALIBER · ROLEX

3255

自動巻 Automatic Analog

2015年、クロナジー脱進機を初搭載し新世代32xx系の先陣を切った、ロレックスの曜日・日付付き基幹自動巻

3255
movement · 3255
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

Cal.3255は、2015年にデイデイト40(Ref.228xxx)と共に発表された、ロレックスの自社製自動巻きキャリバーである。曜日と日付を午前0時に瞬時に切り替える機構を備え、毎時28,800振動(4Hz)、パワーリザーブ70時間を実現する。最大の特色は、独自開発の脱進機「クロナジー・エスケープメント」を初めて搭載した点にあり、これが新世代32xx系ムーブメントの起点となった。先代Cal.3155/3156を置き換え、2019年にはデイデイト36(Ref.128xxx)にも展開された。常磁性のパラクロム・ヒゲゼンマイとパラフレックス耐震装置を組み合わせ、-2/+2秒の高精度基準を満たす。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerRolex
Reference3255
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels31 石
Power reserve70 h
Movement ⌀28.5 mm
HandsHours, Minutes, Seconds
DateDate, Day
AdditionalChronometer
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 旗艦に与えられた新世代の起点

Cal.3255は、ロレックスが「最も格式高いモデル」と位置づけるデイデイトの刷新に合わせ、2015年に発表された。このとき登場した40mm径のデイデイト40は、ケースとダイヤルだけでなく、心臓部のムーブメントを一から置き換えている。先代にあたるのは、36mmのデイデイトを長く支えたCal.3155と、41mmのデイデイトIIに積まれたCal.3156である。両者は信頼性の高い設計だったが、パワーリザーブは48時間前後にとどまっていた。金無垢の旗艦にふさわしい新世代機を、という要請が、刷新の背景にある。

注目すべきは、この新世代の先陣を切ったのが普及帯のモデルではなく、最上級のデイデイトだった点である。Cal.3255で確立された設計思想は、のちに日付表示のCal.3235、3針のCal.3230、GMTのCal.3285へと水平展開された。こうして本機は、現行ロレックスの大半を占める32xx系の基礎となった。

2. 90%を刷新した再設計

Cal.3255は、先代Cal.3156を基に改良したものではなく、構成部品の9割以上を新設計または最適化した、事実上の新型である。ロレックスはこの一基に14件の特許を投入したと公表している。中核を成すのが、スイス・レバー脱進機を独自に再設計したクロナジー・エスケープメントである。機械式時計で最も普及したこの脱進機を見直し、効率を高めた点に本機の新しさがある。この設計でロレックスは特許を取得している。加えて、香箱・輪列・自動巻機構・潤滑剤までもが効率の観点から再設計され、その総和として70時間という長時間駆動が達成された。

開発の主眼は、奇抜さではなく、量産規模での精度と信頼性の底上げにあった。脱進機の刷新は時計製造で最も難度の高い領域とされるが、ロレックスはこれを一新したうえで、出荷時の精度基準そのものを引き上げている。

3. 32xx系という産業的文脈

2010年代の高級時計業界では、長時間パワーリザーブと耐磁性能の向上が共通の課題となっていた。同時期、オメガはマスター・コーアクシャル系で高い耐磁性能を掲げ、各社が脱進機や素材の改良を競っていた。そのなかでロレックスが選んだのは、既存のスイス・レバー脱進機を捨てず、その幾何と素材を磨き込むという漸進的な道である。Cal.3255はその思想を最初に体現した一基であり、以後数年でロレックスはほぼ全ラインを32xx系へ移行させた。曜日表示という固有の機構を持つ本機は、その系譜のなかで旗艦専用機として位置づけられている。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

構成の概観

Cal.3255は、自動巻き・曜日・日付を備えた約201点の部品から成る。地板は同じ32xx系のCal.3235やCal.3230(径28.5mm)より大きい。デイデイト40の大きな曜日車・日車を収めるための寸法である。曜日・日付は午前0時に一瞬で切り替わる「瞬転」式で、いずれもリューズからの独立した早送り修正に対応する。

クロナジー・エスケープメント

本機の核心は、脱進機(ぜんまいの力を一定間隔で逃がし、テンプに伝える機構)の再設計にある。クロナジー・エスケープメントは、ガンギ車の歯とアンクルの爪石の接触形状を見直し、伝達効率を約15%引き上げた。ガンギ車は肉抜き加工で軽量化され、慣性モーメント(回転のしにくさ)が低減されている。さらにアンクルとガンギ車はニッケル・リン合金で成形され、常磁性、すなわち磁界の影響をほとんど受けない素材特性を持つ。この効率改善が、長いパワーリザーブを支える土台となっている。

テンプ・ヒゲゼンマイと耐震

調速はテンプ(往復運動で時を刻む、振り子に相当する部品)が担い、振動数は毎時28,800振動(4Hz)である。4Hzは1秒間に8回の振動を意味し、外乱に対する安定と実用的な精度の両立を狙った設定といえる。ヒゲゼンマイには、ニオブとジルコニウムの合金を基にした常磁性のパラクロムが用いられ、青色の酸化被膜が施される。これにより、温度変化や磁気、衝撃への耐性が高められている。テンプの軸受にはロレックス独自の耐震装置パラフレックスが組み合わされ、外部からの衝撃を吸収する。

自動巻きと香箱

自動巻機構も全面的に見直された。ボールベアリングで支持されたモノブロックのローター(回転錘)と、新設計の反転車により、双方向の巻き上げ効率が高められている。動力源の香箱は、外径を保ったまま壁を従来の約半分まで薄くすることで、より長いぜんまいを収めている。効率化された輪列と相まって、これが70時間というパワーリザーブの背景にある。

耐磁性

磁気対策は、軟鉄製インナーケースのような囲い込みではなく、部品そのものの素材で講じられている点に特徴がある。脱進機のニッケル・リン合金、ヒゲゼンマイのパラクロムはいずれも常磁性であり、強い磁界下でも磁化しにくい。このため本機は、軟鉄ケースを持たないながら、1,000ガウスを超える磁界にも耐えるとされる。

認定と仕上げ

Cal.3255は、まず非搭載状態でスイス公認クロノメーター検定協会(COSC)の検定を受ける。そのうえでケースに収めた完成状態でロレックス独自の検査を行い、日差-2/+2秒という、COSC基準の倍の精度を保証する。この基準は「スーペラティブ・クロノメーター」として表示される。仕上げの質も先代から引き上げられた。ブリッジには面取り研磨と同心円状のブラッシュ仕上げ、地板にはサーキュラーグレインが施されている。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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