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CALIBER · PATEK PHILIPPE

215 PS

手巻 Handwound Analog

1974年導入、ジャイロマックステンプで4Hz化を果たした、カラトラバ手巻きの基幹キャリバー

215 PS
movement · 215 PS
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

Cal. 215 PSは、パテック フィリップが1974年に発表した10ライン径の手巻きキャリバーである。直径21.9mm・厚さ2.55mmの小型ムーブメントに、ジャイロマックステンプを28,800vph(4Hz)で駆動させ、スピロマックスヒゲゼンマイと組み合わせる。パワーリザーブは最低44時間。仕上げと精度はパテック フィリップ・シールの基準で保証される。Ref. 5196、5119、4968など、現代カラトラバの中核を半世紀にわたり担ってきた手巻機の代表格である。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerPatek Philippe
Reference215 PS
TypeHandwound
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels18 石
Power reserve44 h
Movement ⌀21.9 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

10ライン手巻きの後継として

Cal. 215は、1974年にパテック フィリップが発表した10ライン径の手巻きキャリバーである。10ラインはおよそ22.6mmの寸法呼称で、19世紀以来の小型手巻ムーブメントの基準寸法であった。Cal. 215は、初期カラトラバを支えた12-120や、戦後の23-300などの後継として位置づけられ、コンパクトな手巻きを必要とするドレスウォッチ群の中核を担うことを目的に開発された。

スモールセコンドを6時位置に備えた派生型がCal. 215 PS(Petite Seconde)であり、1982年に登場したRef. 3796で本格的な採用が始まる。同モデルは長年生産が続いたRef. 96の事実上の後継機にあたり、以後Ref. 3919、Ref. 3923、150周年記念のRef. 3960、そしてRef. 5116・5119・5196へと、現代までカラトラバ手巻き系の主力ムーブメントとして搭載されていく。

4Hz化とジャイロマックスの統合

Cal. 215の技術的特徴は、登場当時としては高い4Hz(28,800vph)の振動数を、パテック フィリップ独自のジャイロマックステンプと組み合わせて実現した点にある。それ以前のカラトラバ用キャリバーの多くは18,000〜21,600vph、すなわち2.5〜3Hz帯で稼働しており、4Hz化はテンプ運動の安定性向上と外乱への耐性強化を意図したものだったと伝わる。ジャイロマックスは慣性可変式のフリースプラング・テンプであり、高振動数化と整合性の高い設計であった。

派生機構と複雑化への展開

Cal. 215 PSは、基本系の上に複雑機構を加える形で派生を広げてきた。デュアルタイムゾーンを備えるCal. 215 PS FUS 24H、ムーンフェイズを搭載するCal. 215 PS LU(Ref. 4968、Ref. 7121に採用)などが代表的な派生であり、いずれも21.9mmの基礎径を維持しながら追加機構を組み込んでいる。Ref. 7121に搭載されるムーンフェイズ版は122年に1日の誤差精度を持つと公式に説明されている。

Cal. 30-255 PSへの継承

2021年、パテック フィリップはRef. 6119とともに新型手巻きCal. 30-255 PSを発表した。直径を21.9mmから31mmへ拡大し、ツインバレルにより65時間のパワーリザーブを確保した、Cal. 215 PSの大径後継にあたるムーブメントである。ただしCal. 215 PSも生産は継続されており、37mm前後のクラシック径Ref. 5196や複雑機構派生において、なお現役の基幹キャリバーとしての役割を保っている。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

10ライン径のアーキテクチャ

Cal. 215 PSは直径21.9mm、厚さ2.55mmの小型・薄型ムーブメントで、18石、5番橋構成、構成部品数は約118点(PS仕様、パテック フィリップ公式値)である。10ライン径ながら振動数は28,800vph(4Hz)に設定され、スモールセコンドは6時位置に独立配置される。輪列はセンターホイールから第三・第四輪へ伸びる古典的なレイアウトで、第四輪と脱進機を単一の橋で受ける構造を取る。

ジャイロマックステンプ

調速機の中核を成すのが、パテック フィリップが1949年および1951年に特許を取得したジャイロマックステンプである。テンワ外周のスクリューに代えて、テンワ上面に複数の調整錘(おもり)を配置し、各錘の回転位置によって慣性モーメントを微調整する慣性可変式の構造を持つ。緩急針を持たないフリースプラング方式であり、外的衝撃で精度が狂いにくく、長期的な調整安定性に優れるとされる。Cal. 215は、カラトラバ系手巻きキャリバーとして初めて4Hz領域でジャイロマックスを駆動した世代にあたると伝わる。

スピロマックスヒゲゼンマイ

現行生産のCal. 215 PSは、パテック フィリップ独自のシリコン素材シリンバーから成形したスピロマックスヒゲゼンマイを採用する。シリコン素材は実用上ほぼ無磁性で、温度変化による弾性係数変動も金属合金より小さい。さらにスピロマックスは終端の曲げ形状を最適化することで、ヒゲゼンマイの呼吸を中心に保ち、姿勢差を抑制する設計が施されている。同社が2006年以降ヒゲゼンマイのシリコン化を進めるなかで、現行のCal. 215 PSもこの素材へ移行している。

パテック フィリップ・シールの基準

Cal. 215 PSは2009年以降、ジュネーブ・シールに代わって導入されたパテック フィリップ・シールに準拠している。同シールはケース・文字盤・針までも対象とする総合認定であり、直径20mmを超えるムーブメントには日差-3〜+2秒の精度基準が課される。Cal. 215 PSは直径21.9mmで対象となり、ケーシング後の状態でこの精度範囲に収まるよう調整される。

仕上げと装飾

サファイアシースルーバックを備える現行モデルでは、地板にペルラージュ、ブリッジ上面にコート・ド・ジュネーブ、エッジには手作業のアングラージュ(面取り)が施され、ネジ頭は鏡面ポリッシュで仕上げられる。テンプ受け、香箱受けの形状はクラシックな曲線を保ち、第三・第四輪と脱進機を単一のS字状ブリッジに収める意匠は、初期カラトラバ用Cal. 12-120への意識的な参照とされる。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

This caliber appears in 1 references