用語 / TERM · Anglage
アングラージュ
ムーブメントの縁を45度に削り、鏡面に磨く手仕上げ。手仕事の水準を映す装飾技法
アングラージュ(anglage、別名:面取り、シャンファリング/chamfering)とは、ムーブメントの受けや地板、レバーなどの直角の縁を45度に削り、鏡面ポリッシュで仕上げる手作業の装飾技法である。
仏語で角を取ることを意味し、本来は機械加工で生じたバリを除去し、組立時に職人が指を切らないようにする機能的な工程であったとされる。現代では美観を重視した装飾技法と位置づけられ、光を反射する細い縁取りが部品の輪郭を際立たせる。
特に難所とされるのが、二つの面取りが交わる「内角(interior angle)」である。機械加工では鋭く尖った凹角を再現できず、手作業でしか仕上げられないため、内角の有無と切れ味が手仕上げの水準を測る指標として参照される。逆向きに尖る外角(exterior angle)も、削りすぎを許さない繊細さを要する。
パテック フィリップ、A.ランゲ&ゾーネ、ヴァシュロン・コンスタンタンなどが伝統的に採用するほか、フィリップ・デュフォーやロマン・ゴティエら独立時計師の作品では、面取り部分を丸く膨らませるボンベ・アングラージュ(bombé anglage)とともに、手仕上げを象徴する技法として知られる。