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CALIBER · Panerai

P.3000/1

手巻 Handwound Analog

2010年、ユニタス6497に代わる手巻として発表された、パネライ自社製P.3000の小秒針付き仕様

パワーリザーブ
72 時間
石数
21 石
ムーブメント径
36.6 mm
Cal. P.3000/1
movement · P.3000/1 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

P.3000/1は、パネライが自社で設計・製造する手巻きキャリバーP.3000系のうち、9時位置に小秒針を備える仕様である。P.3000の一族は2010年10月、フィレンツェで開かれた「Time & Space」展で発表され、2011年のSIHHで搭載モデルが披露された。16½リーニュの大型ムーブメントで厚さ5.3mm、2つの香箱を直列に連結して3日間(72時間)のパワーリザーブを確保する。振動数は21,600vph(3Hz)、21石。ルミノール1950 コンポジット 3デイズ(PAM00375)など、47mmの歴史路線のモデルに使われてきた。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerPanerai
ReferenceP.3000/1
TypeHandwound(手巻)
DisplayAnalog
Jewels21 石
Power reserve72 h
Movement ⌀36.6 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 開発の背景:ユニタス6497からの脱却

パネライが一般向けの時計を作り始めてから長い間、その手巻モデルの中核を担ってきたのは、汎用の手巻ムーブメントであるユニタス6497だった。大型の機械は、パネライの大きなケースにちょうど収まる数少ない選択肢であった。

自社製ムーブメントへの移行は、2005年の最初の自社製キャリバーP.2002から始まった。8日間のパワーリザーブとGMTを備えた意欲的な機構だったが、それだけでは歴史路線のラジオミールやルミノールの定番を支える基本機を置き換えられない。2010年10月、当時のCEOアンジェロ・ボナーティはフィレンツェのTime & Space展でP.3000の一族を披露し、ユニタス6497を使う時代の終わりを示した。同じ年の初めには手巻のP.999も発表されており、WorldTempusはこれで同社の自社製ムーブメントが7種類になったと伝えている。

2. P.3000ファミリーの全体像

P.3000の基本形は時・分だけを表示する手巻機で、16½リーニュ、厚さ5.3mmの寸法を持つ。発表時には、小秒針を加えたP.3000-1、小秒針と日付を備えたP.3000-2、さらにGMTを加えたP.3000-3が示された。本機P.3000/1は、このうち小秒針付きの仕様にあたる。振動数21,600vph、21石、直列の2香箱による3日間のパワーリザーブは一族で共通である。

搭載モデルは2011年のSIHHで披露された。WatchBaseは、2,000本限定のルミノール1950 コンポジット 3デイズ(PAM00375)、ルミノール1950 3デイズ チタニオDLC(PAM00617)、ラジオミール1940 3デイズ アッチャイオの青文字盤版(PAM00690)などをP.3000/1の搭載例に挙げる。ただしSJXはPAM00690の機械を単にP.3000と記しており、枝番の表記は資料によって揺れる。PAM00690に載るのは輪列を1枚の受けで覆う第一世代で、輪列の受けを分けた第二世代は「トロピカル」文字盤のPAM00662・PAM00663で初めて登場した。

3. ユニタス系との設計思想の差異

P.3000とユニタス6497は、いずれも大型の手巻という共通項を持つが、設計の考え方は異なる。P.3000は2つの香箱を直列に並べてパワーリザーブを3日に延ばし、テンプを両側で支える受けで固定して衝撃への強さを高めた。パネライの手巻モデルは、ユニタス系の機械を使っていた世代のパワーリザーブが56時間だった。

両者の関係は優劣の比較ではなく、汎用ムーブメントを改修しながら使ってきたパネライが、長いパワーリザーブ、堅牢性、大型ケースとの相性というブランドの性格を、自社設計の機械の側から定義し直した過程と理解できる。

04 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

1. 全体構成

P.3000/1は、パネライ自社製ムーブメントの基本的な考え方を体現する設計を採る。直径16½リーニュ(約37mm)、厚さ5.3mmという寸法は、歴史的なパネライの時計に載った大型の機械の寸法を受け継いだもので、47mmの大きなケースのなかでムーブメントが小さく見えないよう意図されている。時・分だけを表示する基本形のP.3000を積んだ2011年のPAM00372について、Monochromeは直径37.4mm・厚さ5.3mmと記している。

仕上げは、ブリッジにブラッシュ仕上げを施し、角を面取りして磨く構成である。大きな受けが機械の大半を覆い、内部の輪列は外からほとんど見えない。そのかわり、受けが梁のように剛性を与える構造となっている。

2. 香箱とパワーリザーブ

最大の機構的特徴は、直列に連結した2つの香箱である。1本の長いゼンマイを2つの香箱に分けて収めることで、21,600vph(3Hz)の振動数を保ったまま、3日間(72時間)のパワーリザーブを実現する。同じ大型の手巻でも、ユニタス系の機械を使っていた世代のパネライが56時間だったのに比べて、1日近く長い。

3. テンプとヒゲゼンマイ

テンプはグリュシデュール製で、直径13.2mmと大きい。WorldTempusは、昔ながらの大きなテンプが刻む音に触れている。緩急針を持たないフリースプラング方式で、歩度はテンプの慣性を変えて調整するとされる。テンプを支える受けは両持ち式で、片側だけで支える受けに比べて衝撃時の軸ずれに強い。耐震装置はインカブロックで、現代のテンプ設計としては堅実な構成である。

4. 急速時刻調整機構

P.3000/1には、リューズ操作で時針を1時間単位で前後に動かせる急速調整装置が組み込まれている。12の歯を持つ星車と小さなばねのクラッチで構成され、分針の位置や時計の動作を乱さずに時針だけを進退させる。時差のある土地への移動で、分を合わせ直さずに現地の時刻へ切り替えられる。

5. 認定と精度管理

P.3000系はC.O.S.C.(スイス公式クロノメーター検定協会)の認定を受けていない。WorldTempusは、構造が簡素で頑丈なためC.O.S.C.の検定にも容易に通るだろうとしつつ、ボナーティが今後は自社の機械をC.O.S.C.に出さないと述べたことを伝えている。精度は社内の基準で確かめる方針で、認定よりも機械そのものの頑丈さと長いパワーリザーブを前面に出す姿勢がうかがえる。

05 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

This caliber appears in 1 references
06 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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