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CALIBER · LONGINES

L688.5

自動巻 Automatic Analog

2009年に始まるロンジン専用コラムホイール・クロノグラフ、シリコンヒゲゼンマイをまとう改良世代

OVERVIEW · 概要

L688.5は、ロンジン向けにETAが専用供給するコラムホイール式の自動巻クロノグラフである。2009年に登場したL688系を基盤とし、テンプにシリコン製ヒゲゼンマイを備える世代にあたる。28,800vph (4Hz)、27石を擁し、香箱の見直しにより54〜66時間のパワーリザーブを備える。カム式が広く普及した価格帯にあって、始動・停止・復針を司るコラムホイールを採る点が最大の個性となる。COSC認定を受ける兄弟キャリバーL688.4とは異なり、L688.5は認定を伴わない構成となる。マスターコレクション・クロノグラフやアビゲーション・ビッグアイなどに搭載される。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerLongines
ReferenceL688.5
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels27 石
Power reserve54 h
Movement ⌀30 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
ChronographChronograph, Column wheel
AdditionalChronometer
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

コラムホイールへの回帰

ロンジンが計時器の歴史に足を踏み入れたのは1878年とされる。当時の20ライン・クロノグラフは、クロノグラフ機能をコラムホイールで制御する構造を備えていた。以後、同社の計時機器の多くがこの基本概念を受け継いだと伝わる。

2009年、ロンジンはこの伝統を現代に呼び戻す。腕時計用の自動巻コラムホイール・クロノグラフを、ETAに専用開発させたのである。与えられた型番がL688.2であった。普及帯のクロノグラフがカム式の制御を採るなか、あえて手間のかかるコラムホイールを選んだ。それは同社の計時遺産を再提示する姿勢の表れでもあった。

A08.L01という基盤

L688系の素性は、ETAのA08.L01にある。これは7750系アーキテクチャを大幅に改修した設計で、直径30mm・厚さ7.90mmという比較的大柄な輪列と香箱を持つ。7750が用いるカム式の制御機構を、コラムホイールへ置き換えた点が核心となる。存在感のある巻き上げ感など、基盤となった構造の名残は随所に見て取れる。

ロンジン向けのこの基盤は、同ブランドにのみ供給される。ローターには「L688」と刻まれるが、その素性はETAの設計に根ざしている。

シリコン世代への展開

L688系は単一の仕様にとどまらない。初期のL688.2は、金属系のヒゲゼンマイと不可分の構成であった。その後、テンプにシリコン製ヒゲゼンマイを採る世代が派生する。これがL688.4およびL688.5である。

両者の違いは認定の有無にある。L688.4はCOSCクロノメーター認定を受け、スピリット・コレクションなどに搭載される。一方のL688.5は、同じくシリコンヒゲを備えながらCOSC認定を伴わない。マスターコレクション・クロノグラフやアビゲーション・ビッグアイに用いられる。シリコン採用に伴い、これらの世代には通常より長い保証期間が設定されると伝わる。月相を加えた姉妹キャリバーL687、シングルプッシュのL788なども、同じ基盤から派生した系譜にあたる。

価格帯のなかでの意味

コラムホイール式の制御は、部品点数も組み立ての手数も多い。それを比較的手の届く価格帯に持ち込んだことが、L688系の産業的な意義といえる。カム式の制御は合理的で堅牢な解であり、コラムホイール式とは設計思想の差異として並び立つ。L688.5は、その思想の一方を、シリコンという現代の素材で補強した世代として位置づけられる。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

L688.5の機構を読み解く鍵は、クロノグラフの制御を担うコラムホイールにある。コラムホイールとは、柱状の歯を環状に並べた制御車を指す。プッシュボタンの操作をこの車の回転に変換し、始動・停止・復針の各レバーを順序立てて動かす。7750系の基盤が本来用いるカム式では、板状のカム山がこの切り替えを担う。L688.5はカムをコラムホイールへ置き換えることで、プッシュボタンの節度ある操作感を得ている。計時輪列との連結には、基盤譲りの水平クラッチ(横カップリング)が引き続き用いられる。

テンプは28,800vph (4Hz)で振動する。1秒あたり8回の振動を刻む計算であり、クロノグラフ針は1/8秒の分解能で計測を行う。この振動数は、外乱への安定性と消費エネルギーの均衡が取れた、現代の標準的な設定といえる。

L688.5を兄弟世代から分かつ最大の要素が、シリコン製のヒゲゼンマイである。ヒゲゼンマイとは、テンプの往復運動の周期を司る渦巻状のばねを指す。金属製のヒゲゼンマイが磁気や温度の影響を受けやすいのに対し、シリコン製は非磁性である。温度変化や経年による特性の変動も小さい。これによりL688.5は、姿勢差や磁気環境のもとでも安定した歩度を保ちやすい。シリコン部品を備えるロンジンのキャリバーには、通常より長い保証が与えられると伝わる。

香箱から得るパワーリザーブは、初期の仕様で54時間とされてきた。近年のロンジンは、香箱まわりを最適化した現行構成について、最大66時間という値を公称する。出典によって54時間から66時間までの幅があり、世代と時期による差として理解するのが妥当である。

調速まわりを除けば、L688.5は27石、直径30mm、厚さ7.90mmという基盤の寸法を踏襲する。耐衝撃機構にはニヴァショックを備え、自動巻のローターはボールベアリングで支持される。文字盤側のレイアウトは3-6-9のトリコンパックスを採る。9時位置にスモールセコンド、3時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計、4時半付近に日付窓を置く。

仕上げの面では、青焼きのコラムホイールやローターの装飾など、シースルーバックから観賞できる要素が与えられる。ただしL688.5はCOSC認定を伴わない構成であり、その精度はシリコン素材と調整に依拠する。クロノメーター認定を受けるL688.4との分岐点は、この認定の有無にこそある。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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