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CALIBER · LONGINES

L288.2

クォーツ Quartz Analog

2017年に復活した、年差±5秒の熱補正クォーツ。ETAがロンジン専用に開発したコンクエストV.H.P.の基幹

OVERVIEW · 概要

L288.2は、2017年にロンジンが復活させたコンクエストV.H.P.の中核をなす熱補正クォーツである。ETAがロンジン専用に開発したキャリバーで、ベースはETA E56.111。年差±5秒という精度を、温度補正された水晶発振と3基の双方向モーターで実現する。衝撃や磁界で針がずれてもGPD(歯車位置検出)機構が正しい位置へ自動復帰させ、西暦2400年までのパーペチュアルカレンダーと約5年の電池寿命を備える。コンクエストV.H.P. 41mm/43mmの三針モデルに搭載される、現行VHP三兄弟の基幹キャリバーである。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerLongines
ReferenceL288.2
TypeQuartz
DisplayAnalog
Movement ⌀28 mm
HandsHours, Minutes, Seconds
DateDate
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

高精度クォーツという伝統

ロンジンと高精度クォーツの関わりは深い。1954年、同社は最初の水晶時計を試作し、ヌーシャテル天文台で精度記録を残した。1969年には量産を見据えたウルトラ・クォーツを発表する。そしてV.H.P.(Very High Precision)の名が世に出たのは1984年であった。初代キャリバー276.2は、温度による水晶の周波数変動を補正する熱補正(インヒビション方式)を備え、年差±10秒を達成した。

1985年にスウォッチグループが発足するとETAが開発に加わり、デジタル校正端子を備えたL174.2(ETA 255.561)へと発展する。1996年には永久カレンダーを搭載したL546.2(ETA 252.611)が登場し、10年寿命のリチウム電池とジャンピングアワーを実現した。だがこの系譜は2006年前後にいったん途絶える。

2017年の復活

V.H.P.が表舞台に戻ったのは2017年3月であった。スマートフォンやスマートウォッチが「正確さ」を誇る時代に、ロンジンは「接続を持たない、最も正確な腕時計」という回答を選ぶ。開発は長年の協業相手であるETAとの共同で行われ、ETAの熱補正クォーツ群(プレシドライブ世代)を基盤としている。

新世代の中核がL288.2(ETA E56.111)である。年差±5秒という精度に加え、衝撃や磁界による針のずれを自動で正すGPD機構、西暦2400年までの永久カレンダー、約5年の電池寿命を備えた。先代が持っていたデジタル校正端子は省かれ、出荷時の調整精度に委ねる設計へと変わっている。

ファミリーの展開

L288.2は単独ではなく、用途を分けた兄弟キャリバーとともに展開された。クロノグラフ版のL289.2(ETA E57.211)、そして2018年に追加されたGMT版のL287.2である。GMT版は、スマートフォンのフラッシュ光を介して第二時間帯を設定する「フラッシュ・セッティング」を備える。電波を用いずに携帯端末と連携する仕組みは、当時として異例の試みであった。三針・クロノ・GMTという三本柱で、現行VHPは構成される。

業界の中での位置

熱補正による高精度クォーツ、いわゆるHAQ(High Accuracy Quartz)は、時計界のなかでも愛好家向けの領域である。グランドセイコーの9F、ブライトリングのスーパークォーツ、シチズンのクロノマスターなどが同じ志を持つ。スウォッチグループ内でも、ETAのプレシドライブはサーチナやティソに広く供給されてきた。そのなかでL288.2は、ロンジンがVHPブランドのもとで磨き上げた一例として位置づけられる。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

L288.2の精度を支えるのは、水晶発振の温度補正である。水晶振動子は温度によって振動周波数がわずかに変化し、これが日差・年差の主因となる。本機は温度を計測し、その変動を電子的に打ち消すことで、年差±5秒という水準を確保する。この値は、月差±15秒前後とされる一般的なクォーツと比べても一段高い精度にあたる。そしてこの熱補正の思想は、1984年の初代VHP以来一貫して受け継がれてきたものである。

針の駆動には、3基の独立した双方向モーターが用いられる。一般的なクォーツが1基のステッピングモーターで秒針を一方向へ送るのに対し、本機は毎秒400ステップ(400Hz)に達する高速駆動を可能とする。この高速性が、後述する各種の自動補正機構の前提となっている。タイムゾーン変更時に針を素早く送る動作も、この駆動方式が支えている。

最も特徴的な機構がGPD(Gear Position Detection、歯車位置検出)である。電子回路が針の位置を常時把握し、衝撃や磁界によって針がずれた場合に、本来あるべき位置へ高速で復帰させる。ロンジンの公式マニュアルによれば、最大500G程度の衝撃まで表示を即座に補正するとされる。

磁界への対応も独立して組み込まれている。磁界センサーが磁場を検知すると、機構保護のため針の運針を一時停止し、磁界から離れると正しい時刻へ針を戻す。機械式時計が磁気帯びによる精度低下に悩まされてきたのに対し、本機は磁界を検知して回避する方向で解決を図る。

カレンダーはパーペチュアルカレンダーで、うるう年を含めて西暦2400年まで工場出荷時にプリセットされる(資料により2399年までとも記される)。通常の日付調整を要さない設計である。

操作系には「スマートクラウン」が採られ、リューズの引き出しと回転で時刻やタイムゾーンを設定する。GMT版のL287.2では、これにフラッシュ・セッティングが加わる。電池寿命は約5年とされ、寿命が近づくとEOL(End-of-Life)インジケーターが秒針の運針パターンで残量を知らせる。リューズを引いて針を12時位置に揃えると作動する省電力モードも備える。

石数は0石で、ケース径12.5リーニュ(28.2mm)、厚さ3.9mmに収まる。電池は三針版でSR936W系、クロノ版でレナタ394が用いられる。クロノメーター級の機械式が温度・姿勢・経年と向き合うのに対し、L288.2は電子制御によって、年差±5秒という安定を別の設計思想から導き出している。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 2 本のリファレンス

This caliber appears in 2 references