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CALIBER · Jaeger-LeCoultre

866AA

自動巻 Automatic Analog コンプリートカレンダー ムーンフェイズ

2020年、シリコン脱進機と70時間を得て日付針の跳躍を加えた、ジャガー・ルクルトのトリプルカレンダー自動巻

振動数
28,800 vph · 4 Hz
パワーリザーブ
70 時間
石数
34 石
ムーブメント径
26 mm
Cal. 866AA
movement · 866AA 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

Cal. 866AAは、ジャガー・ルクルトが2020年のマスター・コントロール刷新で投入した自動巻のトリプルカレンダー・ムーブメントである。2013年のマスター・カレンダーに載ったCal. 866を受け継ぎ、基盤であるCal. 899系と同じくシリコン製の脱進機と作り直した香箱を得て、パワーリザーブを43時間から70時間へ延ばした。毎時28,800振動 (4Hz)で、曜日・日付・月・月齢と小秒を表示する。月の半ばに日付針が月齢表示をまたいで跳ぶ機構を加え、マスター・コントロール・カレンダーに搭載される。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerJaeger-LeCoultre
Reference866AA
TypeAutomatic(自動巻)
DisplayAnalog
Frequency28,800 vph (4 Hz)
Jewels34 石
Power reserve70 h
Movement ⌀26 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
DateDate, Day, Month
AstronomicalMoonphase
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

トリプルカレンダーの系譜

曜日・日付・月と月齢を一つの文字盤にまとめたトリプルカレンダー・ムーンフェイズは、ジャガー・ルクルトの定番の一つである。2013年のSIHHで発表されたマスター・カレンダーは、1990年代のマスター・ムーンを手本にした39mmのモデルで、そのマスター・ムーン自体が1930年代から1950年代のトリプルカレンダーに着想を得ていた。これに先立つ2005年には、パワーリザーブ表示を備えた40mmのマスター・カレンダーも出ている。2013年のモデルに載ったのが、パワーリザーブ43時間の自動巻Cal. 866である。日付を文字盤外周のトラックに沿って中央の針で示すポインターデイトが、この系統の顔となっている。

Cal. 899という土台

Cal. 866は、実質的にはCal. 899にトリプルカレンダーのモジュールを重ねたムーブメントである。Cal. 899の源流は1983年のCal. 889にさかのぼり、2004年に緩急針を廃したフリースプラング・テンプと一方向巻き上げを採ってCal. 899となった。薄い4Hzの基盤を使うことで、カレンダーを載せても時計全体を薄く収められる。マスター・コントロールは1992年に、同社独自の「1000時間コントロール」を最初に受けたコレクションとして生まれた。

2020年の世代交代

2020年、マスター・コントロール・コレクションの刷新に合わせ、Cal. 866は新世代のCal. 866AAへ移った。中心となったのは、基盤のCal. 899へ施された改良の反映である。脱進機をシリコン製とし、香箱を作り直し、新しい潤滑油を採り入れたことで、パワーリザーブは43時間から70時間へ延びた。カレンダーをケースのプッシャーで合わせる構造のため、止めずに使える時間が延びたことは扱いやすさにも直結する。同時に、毎月15日から16日へ移るときに日付針が月齢表示をまたいで跳ぶ機構が加えられた。この仕掛けは約20年前に、マスター・トゥールビヨンでトゥールビヨンの眺めを日付針が遮らないよう開発されたもので、2020年にマスター・コントロール・カレンダーへ移植された。

04 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

Cal. 866AAは、毎時28,800振動 (4Hz)で駆動する自動巻のトリプルカレンダー・ムーブメントである。毎時28,800振動は1秒間に8回テンプが振れる速さで、外乱に対する安定性と運針の滑らかさを両立させる、現代の標準的な値にあたる。基盤はCal. 899で、その上にカレンダーのモジュールを重ねた構成をとる。

シリコン脱進機とテンプ

2020年の更新で最も本質的な変更は、脱進機へのシリコン採用である。ガンギ車とアンクルをシリコン製とすることで、金属同士の接触で生じる摩擦を抑えた。脱進機は、ゼンマイがほどける力を一定の間隔でテンプへ伝える調速の心臓部であり、ここでの摩擦低減はエネルギー効率に直結する。調速側には、緩急針をもたないフリースプラング・テンプを採る。テンプ外周のおもりで慣性モーメントを調整する方式で、緩急針による調整より衝撃に強く、長期の安定に寄与するとされる。

香箱とパワーリザーブ

70時間という持続時間は、シリコン脱進機による摩擦低減に、より強く長い主ゼンマイを収める新しい香箱と新しい潤滑油を組み合わせて得たものである。2013年のCal. 866は43時間だったため、満巻きから止まるまでの時間はおよそ1.6倍になった。

カレンダーと跳ぶ日付針

トリプルカレンダーは、曜日・日付・月を示す複雑機構で、本機はこれに月齢を加える。31日に満たない月末には手で日付を送る必要があり、この点で永久カレンダーや年次カレンダーとは異なるが、機構は簡潔である。日付は文字盤外周のトラックを中央の針でたどるポインターデイト形式で、曜日と月は12時側の窓に、月齢は6時位置の小秒と同じ場所に置かれる。各表示はケース側面のプッシャーを細い棒で押して合わせる。伝統的な構造のため、深夜の時間帯に修正すると切り替え中の機構に負担がかかり、扱いには注意が要る。

2020年版で加わった見どころが、日付針の跳躍である。通常のポインターデイトでは、針が6時付近を通過する間、月齢表示と小秒が針に隠れてしまう。Cal. 866AAでは、15日から16日へ移る一度の動作で、針が90度を一息に跳び、月齢の眺めを妨げない。赤い先端をもつ日付針が大きな弧を描いて跳ぶ動きは、この時計の見せ場となっている。

仕上げと検査

サファイアクリスタルのケースバックからは、透かし彫りを施した金のローターと仕上げを眺められる。完成品は「1000時間コントロール」を経て出荷される。

05 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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