系譜と歴史
トリプルカレンダーの系譜
曜日・日付・月と月齢を一つの文字盤にまとめたトリプルカレンダー・ムーンフェイズは、ジャガー・ルクルトの定番の一つである。2013年のSIHHで発表されたマスター・カレンダーは、1990年代のマスター・ムーンを手本にした39mmのモデルで、そのマスター・ムーン自体が1930年代から1950年代のトリプルカレンダーに着想を得ていた。これに先立つ2005年には、パワーリザーブ表示を備えた40mmのマスター・カレンダーも出ている。2013年のモデルに載ったのが、パワーリザーブ43時間の自動巻Cal. 866である。日付を文字盤外周のトラックに沿って中央の針で示すポインターデイトが、この系統の顔となっている。
Cal. 899という土台
Cal. 866は、実質的にはCal. 899にトリプルカレンダーのモジュールを重ねたムーブメントである。Cal. 899の源流は1983年のCal. 889にさかのぼり、2004年に緩急針を廃したフリースプラング・テンプと一方向巻き上げを採ってCal. 899となった。薄い4Hzの基盤を使うことで、カレンダーを載せても時計全体を薄く収められる。マスター・コントロールは1992年に、同社独自の「1000時間コントロール」を最初に受けたコレクションとして生まれた。
2020年の世代交代
2020年、マスター・コントロール・コレクションの刷新に合わせ、Cal. 866は新世代のCal. 866AAへ移った。中心となったのは、基盤のCal. 899へ施された改良の反映である。脱進機をシリコン製とし、香箱を作り直し、新しい潤滑油を採り入れたことで、パワーリザーブは43時間から70時間へ延びた。カレンダーをケースのプッシャーで合わせる構造のため、止めずに使える時間が延びたことは扱いやすさにも直結する。同時に、毎月15日から16日へ移るときに日付針が月齢表示をまたいで跳ぶ機構が加えられた。この仕掛けは約20年前に、マスター・トゥールビヨンでトゥールビヨンの眺めを日付針が遮らないよう開発されたもので、2020年にマスター・コントロール・カレンダーへ移植された。