系譜と歴史
1. GPS電波ハイブリッドの系譜
カシオがGPS衛星電波と標準電波を併用するGPSハイブリッド電波ソーラーを初めて製品化したのは、2014年のGRAVITYMASTER GPW-1000である。地上の標準電波が届かない地域では衛星電波で、衛星を捕捉しにくい屋内では標準電波で時刻を補う発想であった。両者を併用する狙いは、受信範囲の広さだけでなく、補正の機会そのものを増やす点にあった。続いて上位ラインMR-GにMRG-G1000が登場し、2015年、MT-Gへ展開されたのが本モジュール5455を積むMTG-G1000である。G-Shockでは3機種目、MT-Gでは初のGPSハイブリッド搭載機にあたる。
2. MT-Gという構造思想
MT-Gは1999年に始まる、金属と樹脂を組み合わせたG-Shockの上位系統である。その名称はMetal Twistedの略とされる。樹脂の内部ケースをアルファゲルで支え、鍛造した金属フレームでベゼルと裏蓋を結合する独自構造を持つ。5455の世代では、こうした堅牢な構造の内側に高機能なアナログ機構を収める設計が課題となった。コアガード構造とトリプルGレジストにより、落下衝撃・遠心力・振動の三方向の力に対する保護が図られている。
3. 業界の中での位置
腕時計におけるGPS時刻補正は、2012年のセイコー・アストロンが市場を切り開いた領域である。カシオの差別化点は、GPS単独ではなく標準電波との併用にあった。低消費電力のGPS用LSIはソニーと共同で時計向けに最適化したものとされ、ソーラー充電と組み合わせることで、電池交換を伴わない常時稼働を狙った設計思想がうかがえる。
4. 派生と後継
MTG-G1000には、隕石パラサイトを意匠に取り込んだMTG-G1000RGやMTG-G1000RBなどの限定モデルが派生した。その後MT-Gは、スマートフォン連携を備えた後継世代へと移行していく。本モジュールは、MT-GがGPS電波ハイブリッドを取り込んだ最初の到達点として位置づけられる。