5455
2015年登場、G-ShockのMT-Gで初のGPS電波ソーラーを実現したアナログモジュール
モジュール5455は、カシオが2015年に発表したアナログ式のソーラー電波GPSモジュールである。G-ShockのMT-Gラインに初めてGPSハイブリッド時刻補正を採用した世代にあたる。GPS衛星電波と6局の標準電波を併用し、世界各地で時刻と時差を自動で補正する。電源はタフソーラーによる充電式で、無補正時の精度は月差±15秒とされる。6時位置にはデュアルコイルモーターを備え、ホームとローカルの2都市時刻を高速で切り替える。MTG-G1000Dなどに搭載された。
| Maker | Casio |
|---|---|
| Reference | 5455 |
| Type | Quartz |
| Display | Analog |
| Hands | World Time, Hours, Minutes, Seconds |
| Date | Perpetual Calendar, Date, Day |
| Chronograph | Chronograph, Countdown |
| Acoustic | Alarm |
| Additional | Atomic Sync, GPS, Solar Charging |
系譜と歴史
1. GPS電波ハイブリッドの系譜
カシオがGPS衛星電波と標準電波を併用するGPSハイブリッド電波ソーラーを初めて製品化したのは、2014年のGRAVITYMASTER GPW-1000である。地上の標準電波が届かない地域では衛星電波で、衛星を捕捉しにくい屋内では標準電波で時刻を補う発想であった。両者を併用する狙いは、受信範囲の広さだけでなく、補正の機会そのものを増やす点にあった。続いて上位ラインMR-GにMRG-G1000が登場し、2015年、MT-Gへ展開されたのが本モジュール5455を積むMTG-G1000である。G-Shockでは3機種目、MT-Gでは初のGPSハイブリッド搭載機にあたる。
2. MT-Gという構造思想
MT-Gは1999年に始まる、金属と樹脂を組み合わせたG-Shockの上位系統である。その名称はMetal Twistedの略とされる。樹脂の内部ケースをアルファゲルで支え、鍛造した金属フレームでベゼルと裏蓋を結合する独自構造を持つ。5455の世代では、こうした堅牢な構造の内側に高機能なアナログ機構を収める設計が課題となった。コアガード構造とトリプルGレジストにより、落下衝撃・遠心力・振動の三方向の力に対する保護が図られている。
3. 業界の中での位置
腕時計におけるGPS時刻補正は、2012年のセイコー・アストロンが市場を切り開いた領域である。カシオの差別化点は、GPS単独ではなく標準電波との併用にあった。低消費電力のGPS用LSIはソニーと共同で時計向けに最適化したものとされ、ソーラー充電と組み合わせることで、電池交換を伴わない常時稼働を狙った設計思想がうかがえる。
4. 派生と後継
MTG-G1000には、隕石パラサイトを意匠に取り込んだMTG-G1000RGやMTG-G1000RBなどの限定モデルが派生した。その後MT-Gは、スマートフォン連携を備えた後継世代へと移行していく。本モジュールは、MT-GがGPS電波ハイブリッドを取り込んだ最初の到達点として位置づけられる。
技術解説
時刻補正:GPSと標準電波の二重系統
5455はアナログ表示のクォーツモジュールであり、機械式のような脱進機やテンプ、ヒゲゼンマイは持たない。時刻の基準は水晶振動子にあり、無補正での精度は月差±15秒とされる。これを日々補正するのがGPSハイブリッド電波システムである。GPS衛星からは時刻と位置の情報を受信し、現在地のタイムゾーンを自動で判定する。標準電波(マルチバンド6)は日本・北米・英国・独・中国の6送信局に対応し、電波が届く地域では自動受信で時刻を合わせる。受信は、GPSによる時刻補正を1日1回自動で行うほか、ボタン操作で位置と時刻を手動で受信できる。標準電波は1日に最大6回まで自動受信を試み、いずれかに成功した時点で残りを打ち切る。両系統を併用することで、屋内外いずれの環境でも補正の機会を確保する設計である。クォーツの月差±15秒という基準値も、毎日の電波・GPS補正により実用上の誤差はさらに小さく抑えられる。GPS用LSIは低消費電力を狙ってソニーと共同開発されたものとされる。
駆動:ソーラー充電と複数モーター
電源はタフソーラーと呼ばれる充電式で、文字盤に組み込んだソーラーパネルで発電し、二次電池に蓄える。フル充電後、光のない通常使用で約7か月、パワーセービングを併用した暗所保管で約19か月の駆動が可能とされる。暗所では針を止めて消費を抑えるパワーセービング機能を持つ。針の駆動には複数のステッピングモーターを用い、針や小ダイヤルを独立して動かすことで機敏な動作を可能にする。とりわけ6時位置の小ダイヤルはデュアルコイルモーターで駆動され、通常より高速かつ可変速での運針を実現する。これにより、ホームタイムとローカルタイムを示す2都市時刻の切り替えを、針の素早い移動で行える。暗所での視認性確保には、高輝度のLEDライトを備える。
構造:衝撃保護と外装
外装はMT-G特有の金属樹脂ハイブリッドである。コアガード構造は、ベゼルと裏蓋、バンドを連結するラグ部を一体の鍛造部品とし、内部モジュールを取り囲む壁として機能する。これにトリプルGレジストを重ね、落下の衝撃・遠心力・振動の三方向に対する耐性を確保する。風防には反射防止コーティングを施したサファイアガラスを採用する。防水性能は20気圧(200m防水)である。総重量は約198gで、金属と樹脂の組み合わせは剛性と軽量化の両立を狙う。生産は日本で行われる。電池交換を前提としないソーラー駆動と、継続的な信号補正を組み合わせ、日常的な調整をほとんど要しない運用が想定されている。