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CALIBER · Bell & Ross

BR-CAL.301

自動巻 Automatic Analog クロノグラフ デイト

ETA 2894-2を基盤とし、薄型ながら均整の取れた表示を備える、ベル&ロスの自動巻モジュールクロノグラフ

振動数
28,800 vph · 4 Hz
パワーリザーブ
42 時間
石数
37 石
ムーブメント径
28 mm
NO IMAGE
movement · BR-CAL.301
01 — OVERVIEW

概要

BR-CAL.301は、ベル&ロスが自社のクロノグラフに採用する自動巻ムーブメントである。スイスETA社の汎用キャリバーETA 2894-2を基盤とし、ブランド名を冠した呼称を与えたものだ。薄型自動巻Cal. 2892-A2にクロノグラフ機構を組み合わせたモジュール構造を採り、振動数28,800vph (4Hz)、パワーリザーブ42時間、37石を備える。3時位置のスモールセコンドと9時位置の30分積算計による2カウンター表示が特徴で、BR 126やBR 03-94、BR V2-94、BR 05クロノグラフなど、ブランドの主要な計時モデルを支えてきた。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerBell & Ross
ReferenceBR-CAL.301
TypeAutomatic(自動巻)
DisplayAnalog
Frequency28,800 vph (4 Hz)
Jewels37 石
Power reserve42 h
Movement ⌀28 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
DateDate
ChronographChronograph
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 薄型クロノグラフという設計の系譜

ETA 2894-2の出自は、ETAの「2890」系と呼ばれる薄型自動巻ファミリーにある。その中核をなすCal. 2892は、機械式がクォーツに押された1970年代に登場した。1983年には径を25.6mmに縮めたCal. 2892-2が現れ、1996年頃には巻き上げ効率を改めたCal. 2892-A2へと進化する。この薄い自動巻を土台に、クロノグラフ機構を載せたのがETA 2894-2である。1996年頃の登場とされる。

厚さを抑えた設計は、当時の自動巻クロノグラフの定番だったバルジュー7750とは異なる方向性を示す。7750が径30mm・厚さ約7.9mmであるのに対し、ETA 2894-2は径28mm・厚さ約6.1mmにとどまる。より薄いケースへの収まりを意図した設計であり、両者は優劣ではなく狙いの違いとして並び立つ。

2. モジュール構造と業界での広がり

ETA 2894-2は、信頼性の高いベースの上に、文字盤側からクロノグラフ機構を載せる「モジュール式」の構造を採る。このモジュールはETA自身が手がけたもので、品番8510を持つ。実績ある汎用ベースに計時機能を後付けできるため、保守と量産の両面で扱いやすい。

この設計は、多くのブランドの基盤として広く採用されてきた。タグ・ホイヤーのキャリバー17、ロンジン、ティソ、ボーム&メルシエ、ウブロなどがその例である。各社はそれぞれの仕上げや呼称を与え、自社のクロノグラフラインに組み込んできた。ETA 2894-2は、こうして業界共通の土台として一時代を支えた汎用キャリバーといえる。

3. ベル&ロスの選択とBR-CAL.301

ベル&ロスは、1992年にフランスで創業した、航空計器に着想を得た道具的な時計を掲げるブランドである。同社は自社製ムーブメントを持たず、スイス製の汎用キャリバーを基盤に時計を組み上げてきた。機能と視認性を最優先する思想において、実績あるETA 2894-2を選ぶことは理にかなう。

BR-CAL.301とは、このETA 2894-2にベル&ロスが与えた呼称である。同社のモデル名に見られる「BR 03-94」「BR V2-94」の末尾「94」は、ベースのCal. 2894に由来する。3針モデルの「-92」(Cal. 2892系)、GMTの「-93」(Cal. 2893系)と並び、型番の末尾がムーブメントの系統を映す命名となっている点は、同社らしい律儀さといえる。

04 — LINEAGE

キャリバーの系譜

Predecessors & derivatives
05 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

基盤となる自動巻機構

BR-CAL.301の土台は、薄型自動巻のCal. 2892-A2である。テンプ(振動を刻む調速車)は毎時28,800vph (4Hz)、すなわち1秒あたり8回の振動で時を分割する。この振動数は、精度の安定と滑らかな秒針の運びを両立する、現代の標準的な設定である。調速にはスイスレバー脱進機(エネルギーを断続的に伝える機構)と金属製ヒゲゼンマイを用いる。最終的な精度は、ヒゲゼンマイの調整精度とETAの等級設定に左右される。

巻き上げは双方向式のローターが担い、ボールベアリングで支持される。蓄えられたエネルギーは1つの香箱(ゼンマイ収納部)に収まり、パワーリザーブは42時間に及ぶ。石数は、ベースの21石にモジュール側の石が加わり、合計37石となる。

クロノグラフ・モジュールの構造

クロノグラフ機構は、ベースの上に文字盤側から組み込まれるモジュールとして搭載される。プッシャーの位置がリューズより高く配されるのは、計時機構が文字盤側に置かれるためである。制御には、コラムホイール(柱状の制御部品)が用いられているとされる。コラムホイールは、始動・停止・復針の操作に明快な感触をもたらす方式として知られる。

伝達には水平クラッチ(歯車を横から噛み合わせる方式)を採る。始動の瞬間にクロノグラフ秒針がわずかに跳ねるのは、この方式に伴う特性である。ベースと計時機構を分けて扱える構造のため、部品の流通も広く、整備の見通しが立てやすい。

表示レイアウトと仕上げ

ETA 2894-2の表示で目を引くのは、スモールセコンドが3時位置に置かれる点である。スモールセコンドを3時に配する設計は、機械式の歴史を通じても数少ない。ベル&ロスはこの配置を活かし、3時にスモールセコンド、9時に30分積算計を据えた2カウンター構成とする。中央にはクロノグラフ秒針が走り、日付表示も併せ持つ。

仕上げは、装飾を抑えた実務的な性格を帯びる。ペルラージュ程度の控えめな装飾にとどまり、過度な意匠を避ける姿勢は、道具的な時計という同社の立場と重なる。搭載モデルにより、ムーブメントはサファイアの裏蓋から見せる場合と、無垢の裏蓋に収める場合がある。なお、ETAの汎用キャリバーには Elabore、Top、Chronometre といった等級が設定されるが、ベル&ロスが採用する等級は公表されていない。

42時間というパワーリザーブは、1つの香箱と4Hzという設計に由来する、この世代らしい数値である。

06 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

This caliber appears in 1 references
07 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 公式 Collections - Bell & Ross 公式 · Bell & Ross · 2026.08.15 閲覧 Bell & Ross · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア ETA Caliber 2894-2 専門メディア · Caliber Corner · 2026.08.15 閲覧 Caliber Corner · 2026.08.15