系譜と歴史
1. Cal. 2120系譜の最終形
Cal. 5134の系譜を辿ると、1967年発表のCal. 2120に行き着く。Cal. 2120は、Audemars Piguet、Jaeger-LeCoultre、Vacheron Constantin、Patek Philippeの4社による共同プロジェクトで、JLCが主体となって開発した。厚みわずか2.45mm。中央ローター(フルローター)方式の自動巻ムーブメントとして当時の世界最薄であり、JLC側ではCal. 920と呼称された。1972年にロイヤルオークRef. 5402で歴史的役割を担ったのは、その日付付き派生Cal. 2121である。
2. パーペチュアルカレンダー化(1978年)
1978年、APはCal. 2120にDubois-Déprazが供給するパーペチュアルカレンダーモジュールを組み合わせ、Cal. 2120/2800を発表した。厚み3.95mm。当時の世界最薄自動巻パーペチュアルカレンダーとされる。クォーツショックの只中にあった時代背景の中、Georges Golay(当時のAP社長)は完成度の高さに即決し、初年度1,000本の量産を決断したと伝わる。本機はRef. 5548(36mm径のドレスウォッチ)で初登場し、1984年のRef. 5554で初めてロイヤルオークのケースに収められた。
3. 41mm時代への適応(2015年)
2015年、APは2120/2800モジュールを大幅に再設計し、Cal. 5134として発表する。最大の変更は径の拡大である。28mm径から29mm径へ拡張し、新たに年週表示(週番号)を加えた。厚みは4.31mmへ若干増加したが、ケース径41mmのRoyal Oak Perpetual Calendar Ref. 26574に搭載しても、全体厚9.5mmという、パーペチュアルカレンダーとしては極めて薄型の仕上がりを保った。以降、2017年のセラミック仕様Ref. 26579CE、2019年のCode 11.59 パーペチュアルカレンダーRef. 26394など、APの主要ラインで採用される。スケルトン化したCal. 5135も派生し、Royal Oak Perpetual Calendar Openworked「150周年」記念モデル等に搭載された。
4. 終焉と後継
Cal. 5134は、2024年のRoyal Oak Perpetual Calendar「John Mayer」Limited Edition (Ref. 26574BC)を最後の限定モデルとし、その役目を新世代キャリバーに譲った。後継Cal. 7138(クローズドダイヤル用)およびCal. 7139(オープンワーク用)は厚み4.1mm、振動数28,800vph (4Hz)、パワーリザーブ55時間と、現代的スペックへ刷新されている。
Cal. 2120系の終焉は、APにとって一つの時代の節目である。2022年に時刻表示用のCal. 2121がCal. 7121に置き換えられ、2025年にはパーペチュアル用2120派生もその役目を終えた。Cal. 5134は、JLC Cal. 920に始まる半世紀超の物語の、Audemars Piguet側における最終章を担うキャリバーであった。