マリン・ナショナルから受け継いだもの
ペラゴスを理解するには、チューダーがフランス海軍 (Marine Nationale) に潜水時計を供給していた時代まで遡る必要がある。1956年、トゥーロンに置かれた海中研究班 (G.E.R.S.) がチューダー・サブマリーナーRef. 7922および7923を試験的に受領、その評価を経て、チューダーは1961年に正式な「フランス海軍御用達」となった。以後30年以上にわたり、ブランドはRef. 7928、7016、9401などを海軍に納入し続ける。
特筆すべきは1969年のRef. 7016である。暗い水中で時針と分針を瞬時に区別したいという海軍ダイバーの要望に応えて、菱形のユニークな時針と角形インデックスが導入されたと伝わる。後に「スノーフレーク」と呼ばれるこの意匠は、装飾ではなく可視性のための機能設計だった。1974年からはケースバックに「M.N.」と発行年を組み合わせた刻印が施され、現代コレクターの聖杯となっていく。
しかし1999年、チューダーはサブマリーナーの生産を終了する。海軍納入も終わり、ブランドのダイバーズウォッチの系譜はいったん途絶える。