ジェット時代の遺産とチューダーの選択
旅客機の世界が一気に縮んだのは1950年代である。1955年、ロレックスはパンアメリカン航空のパイロットの要請に応じる形でGMTマスター(Ref. 6542)を世に問うた。第二時間帯を24時間針で示すこの機構は、その後旅する人々の腕の上にあり続けた。
姉妹会社であるチューダーは、長くダイバーズウォッチを軸に歴史を刻んできた。1954年のRef. 7922から始まる潜水時計の系譜、フランス海軍(Marine Nationale)との供給関係、1969年のRef. 7016で確立されたスノーフレーク針——これらが現代Black Bayの設計言語の源泉である。だが、GMT機構を備えたチューダーは長く存在しなかった。
2012年、Heritage Black Bayの登場でブランドは新しい局面に入る。続くBlack Bay Fifty-Eight、Black Bay Steelといった派生も成功を収めた。GMTが加わるのは、それから6年後のことになる。