オイスターの外側で
ロレックスの名を広めたのは、防水ケース「オイスター」と、それを支える実用思想であった。サブマリーナー、GMTマスター、デイトナ。いずれも特定の用途のために設計された道具としての時計である。チェリーニは、その対極に置かれた系譜である。
チェリーニは防水ケースを用いず、素材を貴金属に限り、装飾性を主題とした。名は16世紀フィレンツェの金細工師ベンヴェヌート・チェリーニに由来する。彫刻家でもあった人物の名を冠することで、ロレックスは時計を道具ではなく装飾の対象として位置づけた。
ドレスウォッチの系譜としての正式な発足は、1968年とされる。ただし名称そのものは1960年代を通じて用いられており、起点には幅がある。