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PIAGET · SERIES

Altiplano

アルティプラノ

薄さを優美に変える——1957年の2mmムーブメントに始まる、超薄型ドレスウォッチの系譜。

01 — 概要 / SUMMARY

ピアジェの薄型時計を代表するコレクション。起源は1957年、厚さ2mmの手巻キャリバー9Pにさかのぼる。「Altiplano」の名が冠されたのは1998年であり、超薄型のドレスウォッチという一貫した性格を担ってきた。広い文字盤と抑制された意匠を特徴とし、現行では古典的なAltiplano Origin、自動巻最薄を記録したAltiplano Ultimate Automatic 910P、総厚2mmのAltiplano Ultimate Conceptへと枝分かれする。薄さを競う現代の高級時計において、その源流に位置するコレクションである。

02 — STORY · 物語

Altiplano(アルティプラノ)、これまでの軌跡

The story of this series
01

薄さという系譜

ピアジェがほかの製造元と一線を画してきたのは、薄さを一つの設計言語として扱った点にある。1874年にラ・コート・オ・フェで創業した同社は、20世紀半ばまでに極薄ムーブメントの専門性を築いた。

転機は1957年である。バーゼルの見本市で、創業者の孫にあたるヴァランタン・ピアジェが手巻キャリバー9Pを発表した。厚さはわずか2mm。当時もっとも薄い機械式ムーブメントの一つであり、薄い機械は薄いケースを許し、広い文字盤の開口部を生んだ。

3年後の1960年、自動巻のキャリバー12Pが続く。マイクロローターを備えた厚さ2.3mmのこの機械は、当時世界最薄の自動巻ムーブメントとされた。薄さの追求がピアジェの署名となる。

02

1998年、「Altiplano」と名づけられる

意外なことに、これらの時計に固有の名はなかった。長らく自社の時計は様式を問わず単に「ピアジェ」と呼ばれていた。状況が変わるのは1979年、Poloの誕生によってコレクションに名を与える発想が生まれてからである。

ultra-thinの系譜にも署名が必要とされ、1998年に「Altiplano」の名が制定された。南米ペルーとボリビアにまたがる高原の名であり、見渡すかぎり平らなその情景が、薄い時計の意匠と重ねられた。発表時の文字盤に並ぶ放射状のインデックスは、地平線を象ったものと説明されている。

この年の中核は、手巻キャリバー430Pと自動巻500Pであった。9Pの精神を現代の機械で受け継ぐ、最初の世代といえる。

03

ケースと機械を一体化する

2010年、自動巻キャリバー1200Pが登場する。厚さ2.35mmのマイクロローター機構で、これを収めた43mmのAltiplanoは総厚5.25mm。発表時点でこの種のもっとも薄い時計とされた。

より大きな転機は2014年の900Pである。ピアジェは「ケース+ムーブメント」という前提を捨て、裏蓋そのものを地板とした。歯車も香箱も脱進機も、裏蓋に直接組み付ける一体構造である。これにより38mmのAltiplano 900Pは総厚3.65mmに収まり、当時世界最薄の手巻機械式時計とされた。

2018年のSIHHでは、この発想を自動巻へ展開したAltiplano Ultimate Automatic 910Pが発表される。周縁ローターを採用し、総厚4.30mm。発表時点で世界最薄の自動巻時計とされた。その後、薄さの記録は競合各社の手へ移っていく。

04

2mmという臨界点

同じ2018年のSIHHで、ピアジェはもう一つの時計を見せた。Altiplano Ultimate Concept、総厚2mm。1957年の9Pムーブメント単体と同じ厚さに、時計のすべてを収めた。

ケースをコバルト合金とし、風防は0.2mm、一部の歯車は0.12mmまで削られた。2018年にコンセプトとして示され、2020年に市販化される。同年のジュネーブ時計グランプリで最高賞「金の針賞」を受けた。発表時点で世界最薄の機械式時計とされる。

ただし薄さの競争は続いた。2022年、ブルガリのOcto Finissimo Ultraが1.80mmで記録を更新し、続いてリシャール・ミルのRM UP-01が1.75mmに達した。2024年にはブルガリのOcto Finissimo Ultra COSCが1.70mmを記録している。Altiplano Ultimate Conceptは、薄さの王座を一度退いた。

05

150周年と、複雑機構の薄型化

2024年、ピアジェは創業150周年を迎えた。この年に発表されたAltiplano Ultimate Concept Tourbillonは、総厚2mmのまま空中浮遊式トゥールビヨンを組み込んだ。薄さそのものの数字を競うのではなく、複雑機構の薄型化という別の軸へ向かう判断である。発表時点で世界最薄のトゥールビヨン時計とされたが、翌2025年にブルガリがこれを更新したと報じられる。

2025年には黄金とカーキグリーンを組み合わせた910Pとトゥールビヨンが加わり、2026年には宝飾石をその2mmの機械に組み込む試みが示された。薄型の機械にハイジュエリーを重ねる、ピアジェの二面性を象徴する到達点である。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Altiplanoの設計思想は、薄さを制約ではなく美学の中心に据える点に尽きる。薄い機械はケースを薄くし、薄いケースは文字盤の開口部を広げる。1957年に9Pが広い文字盤を可能にして以来、この連鎖がコレクションの意匠を規定してきた。

機能設計の核は、厚みを生む層をいかに減らすかにある。その答えが、2014年の900Pで確立された一体構造である。裏蓋を地板とし、機械の部品を直接そこへ組み付ける。ケースとムーブメントを別の部品とみなさないこの判断が、3.65mm、やがて2mmという数字を生んだ。

意匠の言語は一貫している。円形のケース、抑制された文字盤、細いバトン型かあるいは放射状のインデックス。Ultimate系では時刻表示を偏心させ、機械の動きを文字盤側に露出させる構成をとる。装飾や色、サイズで主張するのではなく、薄さそのものを佇まいとして示す。これがAltiplanoの自制である。

同時代の薄型競争において、この性格は競合との対比で輪郭を得る。ブルガリのOcto Finissimoは八角形のスポーティな造形で薄さを表現し、リシャール・ミルのRM UP-01は技術的な前衛性を前面に出す。これに対しAltiplanoは、古典的な丸型ドレスウォッチの語法を崩さない。薄さを宝飾や複雑機構と結ぶ点も、ピアジェに固有の文脈である。

変わったものは、構造の方法、ケース径、そして搭載される複雑機構である。変わらなかったものは、円形のケースと、最小限の文字盤と、地平線を思わせる平らな佇まいである。70年を経てもAltiplanoがAltiplanoとして認識されるのは、薄さという一点を意匠の中心に置き続けたからである。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1957-1997
Cal. 9P / 12P
手巻2mmと自動巻2.3mm。超薄型機構の原型。
1998-2009
Cal. 430P / 500P
Altiplano始動期の手巻・自動巻。
2010-2013
Cal. 1200P
マイクロローター自動巻、厚さ2.35mm。
2014-2017
Cal. 900P
ケースを地板とする手巻、当時最薄。
2018-現在
Cal. 910P / 900P-UC
自動巻4.30mmと2mmの極限機構。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1957-1997

超薄型ドレスの原型

前史(Cal. 9P 12P 搭載)
Altiplano命名以前。広い文字盤と薄いケースで意匠の核を築く。
1998-2009

Altiplano命名

Cal. 430P 500P 世代
コレクション名が確立。地平線を象る放射状インデックスを採用。
2010-2013

自動巻の刷新

Altiplano 1200P 43mm
1200P搭載、総厚5.25mmで当時最薄の自動巻時計とされる。
2014-2017

一体構造

Altiplano 38mm 900P (G0A39110)
裏蓋を地板とする構造で総厚3.65mm、当時最薄の手巻。
2018-2023

Ultimate期

Altiplano Ultimate 910P (G0A43121)
総厚4.30mmの自動巻最薄。2mmのUltimate Conceptも登場。
2024-現在

150周年と複雑機構

Altiplano Ultimate Concept Tourbillon
創業150周年。2mmのトゥールビヨンで複雑機構の薄型化へ。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 専門メディア Piaget 430P - Grail Watch Reference 専門メディア · Grail Watch Reference · 2026.08.15 閲覧 Grail Watch Reference · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア Reviewing the Piaget Altiplano - the Perfect Hand-Wound Dress Watch 専門メディア · Monochrome Watches · 2026.08.15 閲覧 Monochrome Watches · 2026.08.15
  3. 03 ブログ Piaget SA ブログ · Wikipedia · 2026.08.15 閲覧 Wikipedia · 2026.08.15
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

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