本文へ
NOMOS GLASHüTTE · SERIES

Club

クラブ

バウハウスの簡潔さに100m防水と道路標識風の数字を重ねた、ノモス唯一のスポーツ系コレクション

01 — 概要 / SUMMARY

Club は2007年にノモス・グラスヒュッテが発表した、同社で最もスポーツ寄りのコレクションである。Tangente に代表される手巻のドレス系四本柱とは別に、100m防水と高い視認性、US道路標識を思わせる太い数字を備えた日常の道具として登場した。手巻のAlphaを積む初代から、薄型自動巻 neomatik へと心臓を替えながら、現在は刻印を前提とした入門機 Club Campus、ステンレスブレスで防水を高めた Club Sport、ワールドタイムや日付機構を載せた派生へと枝分かれしている。ノモスのバウハウス設計を崩さずに、装いの幅を広げた系譜といえる。

02 — STORY · 物語

Club(クラブ)、これまでの軌跡

The story of this series
01

ドレスの四本柱の外側へ

ノモス・グラスヒュッテは1990年、ベルリンの壁崩壊の直後にローランド・シュヴェルトナーがザクセンのグラスヒュッテで興した。Tangente、Orion、Ludwig、Tetra という手巻の四本柱は、バウハウスとデーア・ヴェルクブントの造形を腕時計に翻案したものだった。簡潔な文字盤、細い針、薄いケース。いずれも机上やシャツの袖口に似合う静かな時計である。だが2000年代に入り、ノモスはこの四本柱の外側に手を伸ばす。日常のなかでもう少し雑に扱え、腕に強さを感じさせる時計。2007年に発表された Club は、その問いへの最初の答えだった。

02

Alpha が刻む初代 Ref. 701 / 703

初代 Club は直径36mmの円形ケースに、幅広のベゼルと厚みのある剣型針を組み合わせた。文字盤の数字は、US道路標識の書体に着想を得たとされる太く明快なアラビア数字。蛍光塗料を載せた針とインデックスは、暗所での視認を意識したものである。手巻のAlphaキャリバーを積み、防水は100m。これは四本柱の3倍以上にあたり、Club が日常の道具を志向していたことを物語る。クローズドバックの Ref. 701と、サファイアシースルーバックの Ref. 703が初代を構成した。Horween のレザーストラップ、抑えた価格設定。Club は若い層や、初めてのノモスを探す層に届く一本として支持を広げた。

03

自動巻・日付・neomatik への拡張

Club はやがて単一モデルから枝分かれしていく。自動巻のEpsilonキャリバーを積む Club Automat や、日付を備えた派生が加わり、ラインアップは厚みを増した。決定的だったのは2015年に登場した薄型自動巻 neomatik、キャリバーDUW 3001である。高さわずか3.2mm、ノモス自製のスイングシステム脱進機を備えたこの機械は、2017年に Club neomatik として Club にも下りてきた。同じころ、初代 Ref. 701は10年の生産を経て一度カタログから外れる。入門機の役割は、アラビア数字とローマ数字を併記する Club Campus が引き継いだ。ステンレスのケースバックに刻印を入れられる Campus は、卒業や記念の贈り物としての性格も帯びていく。

04

Club Sport — ブレスレットという別解

2010年代後半、Club に新たな解が加わる。Club Sport である。最大の違いはステンレスブレスレット。三列リンクのブレスは着脱式のばね棒を備え、工具なしで長さを調整できる。防水は200m、42mmのモデルでは300mに達した。日付を3時位置に置く Club Sport neomatik 42 date は、薄型でありながら日付機構を備えたキャリバーDUW 6101を積む。高さ3.6mmという薄さが、日付を文字盤の縁に正しく置くことを可能にした。ねじ込み式リューズと、締め忘れを知らせる赤いリング。Club Sport は、ノモスがダイバーズベゼルやタキメーターに頼らずに強さを表現した解答である。のちに37mm、34mmへと径を広げ、より多くの手首に届くようになった。

05

復刻、そしてワールドタイム

2023年、ノモスは初代 Club を呼び戻す。Ref. 701.1 / 703.1は、初代の白い文字盤と赤いアクセントを受け継ぎ、定番として復活した。愛好家からの要望に応えた復刻である。2025年の Watches and Wonders では、Club Sport neomatik Worldtimer が披露された。40mm、高さ9.9mmという薄さでワールドタイムを収めたのは、新型のキャリバーDUW 3202による。2時位置のプッシャーで都市を送り、自宅時刻を3時位置の24時間表示に残す。2026年春には径34mmの Club Sport neomatik が加わり、コレクションは34mmから42mmまでをカバーするに至った。手巻の入門機から200m防水のスポーツ、ワールドタイムまで。Club は四本柱の外側に生まれた一本から、ノモスで最も多面的なコレクションへと育った。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Club の設計思想は、引き算で強さを表すことにある。スポーツウォッチの常套手段である回転ダイバーズベゼルやタキメーター、過剰な装飾を、Club はほとんど採らない。代わりに置かれたのは、太く明快なアラビア数字と厚みのある剣型針、そして蛍光塗料である。数字はUS道路標識の書体に着想を得たとされ、遠目にも瞬時に読めることを最優先する。バウハウスの「機能が形を導く」という原則を、スポーツの文脈で言い直したものといえる。

ケースは四本柱より厚く、ベゼルは幅広い。これは防水と堅牢性のための構造的な選択であり、装飾的な誇張ではない。初代の100mから Club Sport の200m・300mへと防水を高めても、文字盤の構成は大きく変えていない。小秒針を6時に置く三針の基本形、縁に沿った分目盛り、控えめなロゴ。幅広のベゼルとミニマルな文字盤という組み合わせが、Club を Club たらしめている。

同時代のスポーツウォッチと並べると輪郭が際立つ。オメガ Seamaster やブランパン Fifty Fathoms が回転ベゼルと潜水という物語を前面に出すのに対し、Club はベゼルを計時の道具にも装飾にもせず、視覚的な額縁として静かに置く。Club Sport がねじ込みリューズと赤い警告リングで実用性を担保しながらダイバーズウォッチには見えないのは、この自制の結果である。

意匠の継承は針とインデックスに最も強く表れる。剣型針、太いアラビア数字、サンバースト仕上げの文字盤。径や機械が替わっても、この三点が保たれる限り Club の顔は揺らがない。色や装飾で派手に主張せず、必要な要素だけを正確に置く。Club が示すのは、スポーツウォッチにおける節度の設計である。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2007-現在
Alpha (α) 手巻 / DUW 4001系
初代と Campus の心臓。17石・3Hz・約43時間。
2000年代後半-2010年代
Epsilon (ε) 系 自動巻
Club Automat に載った初期の自動巻系。
2015-現在
DUW 3001 neomatik
高さ3.2mmの薄型自動巻、スイングシステム搭載。
2017-現在
DUW 5101 / DUW 6101
日付機構付き neomatik、Aqua と Sport に搭載。
2025-現在
DUW 3202 neomatik
ワールドタイム機構を統合した薄型自動巻。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2007-2017

初代 Club、意匠の確立

701 703
36mm・Alpha手巻・100m防水、Club の意匠言語を確立した起点。
2017-現在

薄型自動巻 neomatik 化

Club neomatik
DUW 3001 を投入し、薄型自動巻 neomatik へ心臓を更新。
2018-現在

ブレスと高防水の Sport

Club Sport (Ref. 781 782)
ステンレスブレスと200/300m防水で堅牢性を高めた派生。
2023-現在

初代意匠の復刻 701.1

701.1 703.1
初代の白文字盤と赤い差し色を受け継ぎ定番として復活。
2025-現在

ワールドタイム機構の追加

790 791
DUW 3202 でワールドタイムを薄型ケースに収めた世代。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 公式 NOMOS Glashütte 公式 · 2026.08.15 閲覧 2026.08.15
  2. 02 専門メディア Nomos DUW 6101 Calibre 専門メディア · WatchTime India · 2026.08.15 閲覧 WatchTime India · 2026.08.15
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive