本文へ
Jaeger-LeCoultre · Master Grande Tradition

Master Grande Tradition Gyrotourbillon 3 Pink Gold / Blue

2013年のジャイロトゥールビヨン3を、ホワイトゴールドとバゲットダイヤで宝飾化した8本限定のフライングトゥールビヨン

5033401は、2013年に登場したマスター・グランド・トラディション ジャイロトゥールビヨン3を、ホワイトゴールドと宝飾でまとい直した8本限定モデルである。ケース径は43.5mm。手巻きのCal.176が、上ブリッジを持たないフライング球状トゥールビヨンと、デジタル表示の単押しクロノグラフを同居させる。ベゼルとリューズにはバゲットカットのダイヤモンドが、分表示のディスクには深い青のアヴェンチュリンが配される。技術の誇示として生まれた原型を、ジュエリーの文脈へ引き寄せた一本といえる。

Ref. 5033401
限定 限定 18
コレクション Master Grande Tradition
カテゴリ ドレス
キャリバー 176
ケース径 43.5 mm
防水 50 m
関連人物 アントワーヌ・ルクルト
トゥールビヨン
01 — Specification

仕様

As of WatchBase sync · 2026.06.08
Case · ケース
素材 White Gold, Diamond
形状 Round
43.5 mm
厚さ 15.5 mm
ガラス Sapphire
裏蓋 Open
防水 50 m
Movement · ムーブメント
キャリバー 176
タイプ Handwound
振動数 28,800 bph
石数 58 石
パワーリザーブ 50 時間
Dial · 文字盤 / Hands · 針
文字盤色 Silver
インデックス Mixed
Dauphine
i — Editorial

設計思想

Design philosophy

ジャイロトゥールビヨン3という土台

土台となる機構は、2013年のジュネーブSIHHで発表されたマスター・グランド・トラディション ジャイロトゥールビヨン3である。JLC創業180周年の年に、複雑機構の頂点を束ねるオートオルロジュリー群「イブリス・メカニカ」の第10作として披露された。2004年の初代、2008年のジャイロトゥールビヨン2に続く三世代目だが、上ブリッジを廃した初の「フライング」ジャイロトゥールビヨンであり、等時性に有利とされる球状ヒゲゼンマイを初めて備えた。さらに、グランドコンプリケーションとして初めてデジタル表示のクロノグラフを同居させている。原型は「アントワーヌ・ルクルトへのオマージュ」3部作の中核として、エクストラホワイトプラチナのジュビリー(Ref. Q5036420)で世に出た。75本限定であった。

宝飾としての再解釈

5033401は、この完成された機構を出発点に、装いをまったく別の方向へ振った変種である。2010年代後半、JLCはイブリス・メカニカの複雑機構を、希少手工芸「メティエ・ラール」を披露する舞台として捉え直し始めた。2019年のメテオライト仕様(ピンクゴールド、Ref. Q5032441、8本限定)は、隕石象嵌とグランフー・エナメルで機構を芸術工芸の文脈に置いた作例である。5033401はその系譜にありながら、芸術工芸ではなく高級宝飾へ舵を切った。ケースはホワイトゴールドに改められ、ベゼルとリューズ、ラグにはバゲットカットのダイヤモンドが据えられている。

このRefが立つ位置

結果として、ジャイロトゥールビヨン3には三つの解釈が並ぶことになった。技術そのものを誇示するプラチナの原型、隕石とエナメルで星空を描いたメテオライト、そして宝飾でまとった本機である。本機の生産数は8本にすぎない。動く機構を「見せる宝飾品」として提示する姿勢は、原型が持っていた禁欲的な性格とは対照的だが、回転し続けるフライングトゥールビヨンを主役に据える点では一貫している。原型が技術者へ向けた一本だとすれば、本機は同じ機構を別の客層へ差し出した一本といえる。


ii — Editorial

意匠分析

Visual analysis

本機固有の選択は、まずケース素材に表れる。原型のプラチナ、メテオライトのピンクゴールドに対し、5033401はホワイトゴールドをまとう。径は43.5mmで、ドレス寄りのコンプリケーションとしては大柄だが、三層に重なる表示と中央のトゥールビヨンを収めるには相応の面積を要する。

最大の特徴は宝飾の量である。ベゼルにはバゲットカットのダイヤモンドが連なり、リューズにも同じ石が据えられる。ラグにも石が入る。石の形にバゲットを選んだことで、輝きは点ではなく面で連なり、ケースの輪郭そのものを光の帯として見せる。

文字盤側の主役は二つある。一つは6時のフライング球状トゥールビヨン。上ブリッジを持たないため、2つのアルミニウム製ケージが宙に浮いて見える。ケージの中心では青く焼き戻された球状ヒゲゼンマイが脈打ち、回転と相まって立体的な動きを描く。もう一つは分表示のディスクで、深い夜空のようなアヴェンチュリンが貼られる。12時の時分表示、9時側のスモールセコンドとデジタル分カウンター、昼夜を示す24時間表示が少しずつ重なり、盤面に奥行きを生む。

クロノグラフは単押し(モノプッシャー)式で、19世紀の懐中時計を踏まえた控えめなプッシャーで操作する。経過分は窓の中で瞬時に切り替わるデジタル表示、秒は指針で示される。中身はJLC自社製のCal.176。手巻きで592部品、82石、2香箱を備え、パワーリザーブは45時間、毎時21,600振動 (3Hz)で時を刻む。


iii — Editorial

系譜と歴史

Lineage

本機の機構的な出発点は、2013年1月のジュネーブSIHHにさかのぼる。JLCは創業180周年を記念し、マスター・グランド・トラディション ジャイロトゥールビヨン3を発表した。最初に世に出たのはエクストラホワイトプラチナのジュビリー(Ref. Q5036420)で、75本限定であった。中核を成すCal.176は、以後の派生でも基本構成を変えていない。

2019年、JLCはこの機構を希少手工芸の舞台として捉え直し、ピンクゴールドのメテオライト仕様(Ref. Q5032441)を8本限定で投入した。隕石象嵌、アヴェンチュリン、グランフー・エナメルを組み合わせた一本である。

5033401は、このメテオライトに続く形で、2020年頃にホワイトゴールドの宝飾仕様として加わったと伝わる。ベゼルとリューズ、ラグにバゲットダイヤを据え、分ディスクにアヴェンチュリンをまとう構成で、生産数は8本に限られる。プラチナ、ピンクゴールド、ホワイトゴールドと素材は移ろったが、3種はいずれも43.5mmのケースとCal.176を共有し、違いは素材と宝飾、文字盤の手仕事に絞られている。正確な発表時期は公表が限られるため、確定にはJLCの一次情報による確認が望ましい。8本という極小の限定であるため、通常流通での新規入手はすでに事実上閉じていると見られる。

02 — Derivatives

同型・派生 Ref

Color · material · bracelet variants