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JAEGER-LECOULTRE · SERIES

Master Grande Tradition

マスター・グランド・トラディション

ジャガー・ルクルトが自社の大複雑機構を束ねる系譜。複雑さを可読性と装飾美のうちに収める。

43.5 mm
01 — 概要 / SUMMARY

Master Grande Tradition (マスター・グランド・トラディション) は、ジャガー・ルクルトが自社の大複雑機構を集約するコレクションである。2009年前後に現在の姿が定まり、トゥールビヨン、ミニッツリピーター、永久暦、そして天文表示を一つの系譜のもとに置く。多軸のGyrotourbillon、恒星時で文字盤を一周するTourbillon Céleste、世界時を備えるCalibre 948、永久暦を結ぶCalibre 985など、派生は複雑機構ごとに枝分かれする。19世紀の懐中時計に連なる意匠を保ちながら、複雑さを可読性のうちに収める姿勢が一貫している。

02 — STORY · 物語

Master Grande Tradition(マスター・グランド・トラディション)、これまでの軌跡

The story of this series
01

「グランド・トラディション」という器

ジャガー・ルクルトのMasterは、1992年のMaster Controlに始まる。技術的な厳格さと意匠の抑制を旨とするこの系譜のなかで、ブランドが自社の最も複雑な機構を収める器として整えたのがMaster Grande Traditionである。現在の輪郭が定まったのは2009年前後とされる。ヴァレ・ド・ジューの工房は、創設以来1,200を超えるキャリバーを生み、他社にもムーブメントを供給してきた。「時計師の時計師」と呼ばれる蓄積を、ひとつのコレクションへ集約する試みだった。

02

精度への回帰

最初の主題は精度であった。2006年に登場したCalibre 978は、自社初の自動巻トゥールビヨンである。2009年、ル・ロックルの国際時計博物館50周年を機に開かれた、近代では初とされるクロノメトリー競技でこの機械は優勝する。45日間にわたり、二つの独立機関が精度だけでなく耐衝撃性や耐磁性まで試した競技だった。改良を重ねた現在のトゥールビヨンは0.5グラムに満たない軽量さで、6時位置の大きな開口のなかを回る。トゥールビヨンが本来担うはずの「精度のための機構」という役割を、現代に証明した一本といえる。

03

天空を取り込む

2010年のMaster Grande Tradition Grande Complicationは、別の主題を開いた。文字盤を一周するオービタル・フライング・トゥールビヨン、天空図、そしてミニッツリピーターを一つに統合したのである。トゥールビヨンが刻むのは恒星時——23時間56分4秒で一周する、星を基準とした時間だった。この詩的な系譜は、2019年のTourbillon Céleste(Cal. 946)や、地球の自転を模して世界地図とともに回るCalibre 948 World-Timerへと受け継がれていく。Tourbillon Célesteの文字盤は北半球の夜空を描き、黄道十二宮の星座が並ぶ。星座と時字にはスーパールミノヴァが施され、暗所では夜空のように光る。こうした天文表示は、ヴェネツィア国際映画祭との長年の協賛とともに披露されてきた。エマイユやギヨシェの工芸が、天文機構の舞台を彩る。

04

重力と戦う多軸

多軸トゥールビヨンGyrotourbillonは、2004年のMaster Gyrotourbillon 1に遡る。エリック・クードレの設計によるこの機構は、複数のキャリッジが異なる軸で回転し、姿勢差による誤差を平均化することを狙う。2004年のMaster Gyrotourbillon 1は、球形の二軸トゥールビヨンとして当時のごく初期の例の一つとされる。Master Grande Traditionへ初めて組み込まれたのは、創業180年の2013年、Gyrotourbillon 3 Jubileeであった。球状のヒゲぜんまいを世界で初めて採用したとされる。2019年のGyrotourbillon Westminster Perpétuel(Cal. 184)は、これに定力機構ルモントワール・デガリテと永久暦、ウェストミンスター鳴音まで重ねている。

05

現代の到達点

近年のコレクションは、工芸と機構の両輪で進む。2022年以降のCalibre 948はエマイユの世界時へ、2025年のCalibre 985は円筒形のフライング・トゥールビヨンと永久暦、ムーンフェイズを結ぶ自動巻へと展開した。2026年には、Calibre 978の登場20年を機に、トゥールビヨンを横切るジャンピングデイトを備えたMaster Grande Tradition Tourbillon Jumping Date(Q4202480)が42mmのピンクゴールドで発表された。精度、天文、多軸——異なる主題が並走しながら、一つのコレクションを形づくっている。なお最も複雑な鳴音やトゥールビヨンの一部は、ブランドが最高峰の総称として用いるHybris Mechanicaの名のもとにも置かれる。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Master Grande Traditionに一貫するのは、極度の複雑さを可読性と装飾美のうちに収めるという姿勢である。最も複雑なキャリバーは600点近い部品を持つが、機構の複雑さがそのまま文字盤の混雑につながらないよう、開口や階層を整理して見せる。

ケースは80を超える部品から成る。ラグはケースと一体ではなく別部品として組まれ、内側まで仕上げを施せるようにしてある。2019年のGyrotourbillon Westminster Perpétuelで定まった新世代のケースは、この思想を端的に示す。懐中時計に連なるサヴォネット風のプロポーションと、面取りの効いたラグが、複雑機構の重量を視覚的に支える。

意匠の主題は「トラディション」、すなわち19世紀のジャガー・ルクルトへの参照にある。Calibre 985のローターには、1851年のロンドン万国博覧会でアントワーヌ・ルクルトに授けられた金賞メダルが刻まれる。工芸面では、グラン・フーのエマイユ、フリンケやギヨシェ、シャンルヴェといった伝統技法が、トゥールビヨンや天空図の舞台として用いられる。

機構と装飾は対立しない。コート・ド・ジュネーヴ、ブルースクリュー、手作業の面取り——数百点の部品の一つ一つに仕上げが及ぶ。同じMasterの系譜でも、三針の可読性を旨とするMaster Controlとは狙いが異なり、こちらは複雑機構そのものを主役に据える。パテック・フィリップのGrand Complicationsやランゲのグラン・コンプリカシオンと並ぶ領域にあって、多軸のGyrotourbillon、恒星時や世界時を描くオービタル/ユニバーサル・フライング・トゥールビヨン、定力機構といった独自の解が、このコレクションの輪郭を与えている。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2006-現在
Cal. 978
自社初の自動巻トゥールビヨン。精度競技に勝った系。
2010-現在
Cal. 946 / 948 系
恒星時・世界時を担うオービタル/ユニバーサル飛行式。
2013-2019
Cal. 184 ほか(Gyrotourbillon)
多軸に球状ヒゲ・定力機構を重ねた最複雑系。
2025-現在
Cal. 985
円筒飛行トゥールビヨンと永久暦を結ぶ自動巻。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2006-2009

自動巻トゥールビヨン

Calibre 978 Master Grande Tradition à Tourbillon
自社初の自動巻トゥールビヨン。近代初とされる精度競技を制す。
2010

オービタル天文系の起点

Master Grande Tradition Grande Complication
オービタル飛行トゥールビヨンに天空図とミニッツリピーターを統合。
2013

球状ヒゲぜんまいと多軸

Gyrotourbillon 3 Jubilee
創業180年記念。球状ヒゲぜんまいと多軸トゥールビヨンを搭載。
2019

定力機構と永久暦の複雑系

Gyrotourbillon Westminster Perpétuel (Cal. 184)
ルモントワール定力機構・永久暦・ウェストミンスター鳴音を重ねる。
2022-2025

恒星時と世界時の系譜

Calibre 948 World-Timer Tourbillon Céleste
恒星時の天空図から、地球の自転を模す世界時の飛行式へと展開。
2025-2026

永久暦と復刻の現行世代

Calibre 985 Tourbillon Jumping Date (Q4202480)
円筒飛行トゥールビヨン永久暦と、Cal.978の登場20年を祝う復刻。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive