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Hublot · MP Collection · 2014

MP5 LaFerrari Titanium All Black

2013年に登場したエンジン型機構のMP-05ラフェラーリを、フェラーリ・レッドを排して全黒で構成した限定仕様

905.ND.0000.RXは、Hublotが2013年に発表したMP-05ラフェラーリの全黒仕様である。フェラーリのハイパーカーと並行して開発された本作は、11個の香箱を背骨のように直列させ、手巻きのトゥールビヨンとして約50日のパワーリザーブを得た。マイクロブラスト加工を施した黒PVDチタンのケースに、回転するシリンダーで時刻を示す独自の表示機構を収める。フェラーリ・レッドの差し色を持つ原型905.ND.0001.RXに対し、本機は補強バーや香箱までを黒で覆い、機構そのものの造形だけを浮かび上がらせる版である。

Ref. 905.ND.0000.RX
発表年 2014
状態 現行品
限定 限定 20
コレクション MP Collection
カテゴリ スケルトン
キャリバー HUB9005
ケース径 39.5 mm
防水 30 m
関連人物 ジャン=クロード・ビバー
パワーリザーブ トゥールビヨン
01 — Specification

仕様

As of WatchBase sync · 2026.06.09
Case · ケース
素材 Titanium, Sapphire
形状 Round
39.5 mm
ガラス Sapphire
裏蓋 Open
防水 30 m
Movement · ムーブメント
キャリバー HUB9005
タイプ Automatic
振動数 21,600 bph
石数 108 石
パワーリザーブ 1200 時間
Dial · 文字盤 / Hands · 針
文字盤色 Skeleton
インデックス Mixed
Stick
i — Editorial

設計思想

Design philosophy

1. フェラーリと並走して生まれたMP-05

Hublotは2011年にフェラーリと公式パートナーシップを結び、両社の協業から数多くの時計が生まれた。その中でMP-05ラフェラーリは、量産されるBig Bang系とは一線を画す一台である。名の由来は、2013年のジュネーブ・モーターショーで公開されたハイパーカー「LaFerrari」。時計はこの車と、技術・意匠の両面で並行して開発されたと伝わる。開発を主導したのは、Key of TimeやAntikytheraといった同社のMasterpiece群を手がけたMathias Buttetである。狙いは明快で、フェラーリのミドシップ・エンジンの構造を、そのまま腕の上へ移すことにあった。11個の香箱を連ね、約50日という長大なパワーリザーブを目指したのも、強大な出力を象徴するエンジンへの見立てだといえる。量産を前提とした製品ではなく、製造技術そのものを世に示すための一台である。

2. 「全黒」という選択

本Ref固有の性格は、その配色にある。2013年のBaselworldで披露された原型905.ND.0001.RXは、補強バーにフェラーリ・レッドのアルミを用い、時刻と残量を示すシリンダーにも赤と白の指標を刷っていた。これに対し905.ND.0000.RXは、その赤をすべて取り去り、ケースから香箱、補強バー、シリンダーに至るまでを黒で覆う。分かりやすい色という物語を引いた結果、残るのは機構そのものの造形だけになる。原型の赤が車との結び付きを物語るのに対し、本機の黒は時計そのものの構造へと視線を集める。エンジンに着想を得た構造を、装飾ではなく形として見せようとする版だと読める。

3. 派生群の出発点として

MP-05ラフェラーリは、その後チタン・イエローや18Kキングゴールド、2016年のサフィアクリスタル・ケース版、そして機構をより開放したApertaへと展開していく。色や素材で性格を変えるこれらの派生の中で、全黒の本機は最も禁欲的な表現に位置する。多彩な後続が生まれる起点として、本Refは原型と並ぶ初期の基準点となっている。


ii — Editorial

意匠分析

Visual analysis

ケースは、フェラーリのミドシップ機を覆う透明カバーを思わせる、縦長の不定形である。一般的な腕時計のように「径」で語ることは難しく、縦45.8mm・横39.5mm・厚15.3mmという数値が示すとおり、横よりも縦に大きく伸びる。素材はマイクロブラスト加工を施した黒PVDチタンで、光を抑えたマットな表情を持つ。上面を覆うサファイアクリスタルは複雑な三次元形状で、車体の輪郭を想起させる。

本Refを原型905.ND.0001.RXと分けるのは、色の扱いである。原型がフェラーリ・レッドの補強バーと赤白の指標を持つのに対し、本機は補強バーもシリンダーも、そして11連の香箱までを黒コートで統一する。残るコントラストは、夜光のスーパールミノヴァが放つ淡い光のみである。

時刻の表示に文字盤はない。右側面に時と分、左側に残量を示す回転シリンダーが立ち、ケース下部では吊り下げ式のトゥールビヨンの上で秒のシリンダーが回る。心臓部はHUB9005で、637個の部品と108個の石を持つ。11個の香箱を背骨のように直列させ、互いに支え合わせることで、約50日という長大なリザーブを得ている。トゥールビヨンのケージ径は14.5mmと大きく、毎時21,600振動(3Hz)という低めの振動数は、この大型のテンプと巨大なトルクに合わせた選択である。

巻き上げにも通常のリューズはない。ケース上部のソケットにドリル状の専用工具を差し込んで巻く方式を採り、時刻の調整は手首側のケース裏で行う。ストラップは黒のラバー、留具は黒PVDチタンのフォールディングバックルで、ここでも全黒の方針が貫かれている。


iii — Editorial

系譜と歴史

Lineage

MP-05ラフェラーリの系譜は、2011年に結ばれたHublotとフェラーリのパートナーシップに始まる。原型である905.ND.0001.RXは、2013年のBaselworldで発表された。名の由来となったハイパーカー「LaFerrari」は同年のジュネーブ・モーターショーで公開されており、時計はこの車と並行して開発されている。原型は補強バーにフェラーリ・レッドを用いた仕様で、50本のナンバリング限定として供給された。

全黒仕様である本Ref 905.ND.0000.RXは、その後ほどなく、2014年頃に加わったとされる。赤の指標と補強バーを黒に置き換え、香箱も黒コートとした版で、原型と同じHUB9005を搭載する。本数を絞った限定であったと伝わるが、公表された生産数には資料によって食い違いがある。

同じ2014年には、差し色に黄を用いたチタン・イエローや、18Kキングゴールドのケースを持つ版も展開された。2016年には、ケース全体をサフィアクリスタルから削り出したMP-05ラフェラーリ サファイアが20本の限定で登場し、後には機構をさらに開放したApertaなどの派生も生まれている。これらはいずれもナンバリング限定であり、本Refを含む各仕様の生産はすでに完了している。