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CALIBER · HUBLOT

HUB9005

手巻 Automatic Analog

2013年、直列11個の香箱で約50日のパワーリザーブを実現した、ウブロMP-05専用の手巻トゥールビヨン

OVERVIEW · 概要

HUB9005は、2013年にウブロが発表した手巻トゥールビヨンであり、マスターピース・コレクションのMP-05 LaFerrari専用に開発された自社製キャリバーである。直列に連結した11個の香箱を中央に並べ、約50日(1,200時間)という、手巻トゥールビヨン腕時計として記録的なパワーリザーブを獲得した。振動数は21,600vph (3Hz)、石数は108石、構成部品は637点に達し、当時のウブロ製キャリバーで最多の部品点数を数える。クルマのエンジンを思わせる縦置きの構造と、6時位置に宙吊りされたトゥールビヨンを核とする一作である。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerHublot
ReferenceHUB9005
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency21,600 bph (3 Hz)
Jewels108 石
Power reserve1200 h
Movement ⌀45.77 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
AdditionalPower Reserve Indicator, Tourbillon Escapement
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. クルマと並走して生まれた機械

MP-05 LaFerrariは、2013年のジュネーブ・モーターショーで公開されたフェラーリのハイブリッド・スーパーカー「ラ・フェラーリ」への賛辞として、同年のバーゼルワールドで発表された。開発を主導したのは、ウブロの開発責任者マティアス・ブテである。MP(マスターピース)はウブロのコンセプトウォッチ系列であり、量産の制約から離れ、機構そのものを主役に据える舞台として位置づけられてきた。HUB9005は、その思想を最も先鋭な形で体現したキャリバーである。

2. 11個の香箱という解答

設計の核心は、中央に直列で連結した11個の香箱にある。これらは1つずつ順に解けるのではなく、互いに支え合いながら動力を供給し、約50日(1,200時間)という長大なパワーリザーブを生む。香箱を背骨のように一列へ並べた構造は、エンジンブロックの外観をそのまま機構へ翻訳したものといえる。各香箱にはルビー製のローラーが添えられ、摩擦の低減と保持を担う。歯車群が縦方向へ展開する構成は、この種の垂直構造を先駆けたカベスタンの作例を想起させる。

3. 派生と思想の継承

初出のRef.905.ND.0001.RXは、ブラックPVDチタンの50本限定であった。以降、2014年にはチタンイエローの仕様が、後年にはサファイアケースの仕様が加わっている。さらに、直列香箱という発想は2018年のHUB9011(ビッグ・バン MP-11)へと受け継がれた。こちらは7個の香箱で約14日のパワーリザーブを備え、90度の方向転換にウォームギアを用いる、より実用的な解釈である。MP-05で試みた実験的構造が、装着可能な一本へと整理された系譜が読み取れる。

4. 長時間パワーリザーブの潮流のなかで

2010年代は、複数の香箱を連ねて駆動時間を延ばす試みが各社で進んだ時期である。HUB9005の約50日は、当時41日とされたルベリオンT-1000を上回る記録となった。もっとも、この一作は精緻な量産機というより、ウブロの製造技術を示す実証機としての性格が強い。50本という生産数も、その立ち位置を物語っている。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

動力源:直列11香箱

HUB9005の長大なパワーリザーブは、中央へ縦一列に配された11個の香箱によって生み出される。複数の香箱を並列ではなく直列で連結することで、ぜんまいが蓄える総エネルギー量を積み上げ、約50日(1,200時間)の駆動を可能にした。それぞれの香箱にはルビー製のローラーが添えられ、回転時の摩擦と位置ずれを抑える。香箱を背骨状に並べた配置は、機構全体へ縦置きの構造をもたらし、外観の核ともなっている。

等トルクという課題

50日もの駆動時間を一定の精度で刻むには、ぜんまいが解けるにつれ弱まるトルクへの対処が欠かせない。直列連結は総エネルギーを稼ぐ一方、その放出特性をどう御するかという難題を伴う。本機は香箱の段数と、後述する大型テンプの組み合わせによってこの課題へ向き合い、長い駆動の全域で動きを保とうとする設計となっている。

調速機:宙吊りの大型テンプ

調速を担うのは、6時位置に宙吊りされた縦置きのトゥールビヨンである。トゥールビヨンとは、脱進機とテンプをキャリッジ(籠)ごと回転させ、姿勢差による精度のばらつきを平均化する機構を指す。本機のテンプは直径14.5mmと大型で、これは11個の香箱が生む大きなトルクがあって初めて駆動できる。慣性モーメントの大きいテンプは外乱に強く、長時間にわたる駆動の安定に寄与する。

振動数21,600vphの意味

振動数は21,600vph (3Hz)である。これはテンプが1秒間に6回振れる、すなわち3往復することを意味する。多くの現代キャリバーが28,800vph (4Hz)を採るなか、本機があえて低めの振動数を選ぶ背景には、大径テンプの採用がある。テンプが大きいほど一定の振幅を保つには相応のエネルギーを要し、振動数と振幅のバランスが設計上の要点となる。

表示・操作と素材

時・分は香箱の右脇に立つ回転シリンダーで、パワーリザーブは左脇のシリンダーで示される。秒はトゥールビヨンの籠に取り付けたシリンダーが担う。各表示を支える補強バーには、フェラーリを連想させる赤いアルマイト処理のアルミニウムが用いられる。巻き上げは竜頭を手で回す方式ではなく、専用の電動工具状の鍵をソケットへ差し込んで行う。時刻合わせはケースの裏(腕側)に設けたソケットから操作する。裏側には機械をまたぐ橋が長手方向へ渡り、エンジンフレームを思わせる造形をなす。構成部品は637点、石数は108石に及び、いずれも発表時点でウブロ製キャリバーの最多を数えた。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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