本文へ
HUBLOT · SERIES

Big Bang Integrated

ビッグ・バン インテグレーテッド

ケースとブレスレットを一体で設計し、フュージョンの思想を「統合」へ進めたビッグ・バンの分派

38 mm
01 — 概要 / SUMMARY

ビッグ・バン インテグレーテッドは、2020年にウブロ(Hublot)が発表した、一体型ブレスレットを備えるビッグ・バンの系譜である。2005年に登場したビッグ・バンへ、ケースと連続する金属ブレスを初めて与え、ラグジュアリースポーツウォッチの語法を取り込んだ。発表時はインテグラル(Integral)と呼ばれ、ウニコ自動巻クロノグラフを積む42mmが起点となった。その後、3針デイトの40mm、セラミックの複雑機構モデル、最小径の38mmへ枝分かれし、ウブロが掲げる素材の融合(アート・オブ・フュージョン)を一体構造の中で再解釈している。

02 — STORY · 物語

Big Bang Integrated(ビッグ・バン インテグレーテッド)、これまでの軌跡

The story of this series
01

一体型ブレスレットへの、遅れた参入

一体型ブレスレット(インテグレーテッド・ブレスレット)を備えた高級スポーツウォッチという様式は、1972年のオーデマ ピゲ ロイヤルオーク、1976年のパテック フィリップ ノーチラスに始まる。ケースとブレスレットを一本の連続した造形として設計するこの手法は、2010年代後半に各社が改めて回帰した潮流でもあった。ウブロ(Hublot)のビッグ・バンは、2005年の登場以来この文脈の外にいた。ラバーストラップを核とする「アート・オブ・フュージョン」の申し子であり、金属ブレスとは距離を置いていた。そのビッグ・バンが一体型ブレスレットを得たのは、登場から15年を経た2020年である。遅れての参入だが、流行への追随というより、ビッグ・バンの設計言語を別の器で語り直す試みだった。

02

2020年、インテグラル42mm

2020年1月、ウブロはビッグ・バン インテグラル(Big Bang Integral)を発表した。チタン(Ref. 451.NX.1170.NX)、キングゴールド(Ref. 451.OX.1180.OX)、そして500本限定のオールブラックセラミック(Ref. 451.CX.1140.CX)の3種で、いずれもケース径42mm。搭載するのは自社製のHUB1280 ウニコ、コラムホイール式のフライバッククロノグラフで、パワーリザーブは72時間。文字盤はスケルトンで、機構が透けて見える。注目すべきはブレスレットの成り立ちで、ウブロはビッグ・バン特有の角型プッシュボタンの面取りと、研磨・サテンの配色から、ブレスのデザインを導いたとする。中央1列と両脇2列の3列構造が、ケースの造形と連続する。

03

名は「インテグレーテッド」へ — タイムオンリー40mm

2022年、シリーズは間口を広げる。LVMHウォッチウィークで発表されたタイムオンリー(Time Only)は、クロノグラフを外して3針デイトに整理し、ケースを40mm径・厚さ9.25mmへ薄型化した。搭載するHUB1710は、同じLVMH傘下のゼニス(Zenith)のエリート670をベースとする自動巻で、パワーリザーブは50時間。サファイアディスクの文字盤越しに機構の上面がのぞく。チタン(Ref. 456.NX.0170.NX)、250本限定のオールブラックセラミック(Ref. 456.CX.0140.CX)に加え、ウブロが久々に採用した18Kイエローゴールド(Ref. 456.VX.0130.VX)が並んだ。呼称がインテグラルからインテグレーテッドへ整理されたのも、この前後である。

04

セラミックのグランドコンプリケーション

同じ2022年、シリーズはもう一方の極へも振れた。ビッグ・バン インテグラル トゥールビヨン カテドラル ミニッツリピーター(Ref. 458.CX.1170.CX ほか)は、ケース・ベゼル・ブレスレットをすべてセラミックで構成し、ウブロはこれを世界初の「フルセラミック」ミニッツリピーターと称した。トゥールビヨンとミニッツリピーターを組み合わせ、通常より長いカテドラルゴングを用いる手巻のグランドコンプリケーションで、ビッグ・バン系列としては初のトゥールビヨンでもあった。生産は数十本規模の限定で、日本市場専売とされた。派手な素材使いと最上位の複雑機構という、ウブロの二面性を一本へ凝縮した存在である。

05

38mmと、原点への接近

2024年、ウォッチズ&ワンダーズでタイムオンリー38mmが加わった。チタン、キングゴールド、セラミックの計6型で、シリーズとして初めてソリッド(中身の見えない)文字盤を採用した。搭載するHUB1115はセリタ(Sellita)SW300をベースとする自動巻で、パワーリザーブは約48時間。径38mm・厚さ9.4mmは、男女を問わない寸法である。スケルトンの42mm、サファイア文字盤の40mm、そしてソリッド文字盤の38mmへと、シリーズは年を追うごとに穏やかな顔へ近づいた。ウブロ自身、この38mmを1980年の創業当初やクラシック・フュージョンの精神に近いと位置づける。誇張で知られるブランドの、抑制された現在地がここにある。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

ビッグ・バン インテグレーテッドの設計を貫くのは、ケースとブレスレットを一つの連続体として捉えるという発想である。ウブロはブレスレットの造形を、ビッグ・バンの角型プッシュボタンから導いたと説明する。面取りされたエッジ、研磨とサテンを交互に配する仕上げ、そして角の立った輪郭。これらをブレスの3列リンクへ翻訳し、ケース左右の張り出し(ウブロが「耳」と呼ぶ部分)と無理なく接続させた。

変えなかったものも明確だ。ベゼルを留める6本のH型ビスは、社名の由来である「船の舷窓(ユブロ)」を想起させる意匠で、初代から続くビッグ・バンの顔である。ベゼル・ケースミドル・裏蓋を層状に重ねるサンドイッチ構造も踏襲する。チタン・ゴールド・セラミックにラバーを組み合わせる素材の融合(アート・オブ・フュージョン)は、一体型ブレスになっても放棄されていない。

一方で、文字盤は世代ごとに静かになった。機構が透けるスケルトン(2020年)から、サファイアディスク越しに上面をのぞかせる構成(2022年)、そして中身を隠すソリッド文字盤(2024年)へ。視認性と日常性を高める方向への調整である。

視認性をめぐる思想も一貫する。太く立体的な針、面取りされたアプライドインデックス、夜光の充填。ビッグ・バン本来の力強い表情は、径が縮んでも崩されていない。むしろインテグレーテッドで問われたのは、その表情をどこまで自制できるかだった。アラビア数字をインデックスへ置き換え、ケース径を42mmから40mm、38mmへと刻み、装飾を最小限に抑える。これらは「派手にしない」という意思決定の連なりであり、誇張で知られるブランドが汎用性を獲得するための調整だった。

ジェラルド・ジェンタが描いたロイヤルオークやノーチラスが、面で構成された静的な幾何学を志向したのに対し、ビッグ・バン インテグレーテッドは層・ビス・素材のコントラストという動的な要素で輪郭を作る。同じ一体型ブレスレットの系譜にありながら、ウブロは「組み立てが見える」美学でこの様式に加わった。サイズと装飾を自制することで成立した、ウブロにとって例外的に静かな一本である。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2020-現在
HUB1280 ウニコ
自社製コラムホイール式フライバッククロノ。72時間。
2022-現在
HUB1710
ゼニス エリート670ベースの自動巻3針。50時間。
2024-現在
MHUB1115
セリタSW300ベース、38mm用の薄型自動巻。約48時間。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2020-現在

インテグラル 42mm

451.NX.1170.NX 系
初の一体型ブレス。ウニコ搭載のスケルトン・クロノグラフ。
2022-現在

タイムオンリー 40mm

456.NX.0170.NX 系
クロノを外し薄型化、サファイア文字盤の3針デイト。
2022

セラミック ミニッツリピーター

458.CX.1170.CX 458.HX.1170.HX
世界初フルセラミックの手巻トゥールビヨン・リピーター。
2024-現在

タイムオンリー 38mm

457.NX.1270.NX 系
シリーズ初のソリッド文字盤、最小径の日常機。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive