設計思想
1. 縮んでいくBig Bang
Big Bang Integratedは、2020年に42mmのUnicoクロノグラフとして登場した。ケースとブレスを同じ素材で一体に造る「Integrated」の発想が、この系譜の出発点である。やがてクロノグラフを外した3針の40mm Time Onlyが加わり、2024年、HublotはそのTime Onlyをさらに小径化した。Watches and Wonders 2024で披露された38mmの6型がそれであり、本機はそのうちKing Goldに青文字盤を合わせたRefにあたる。CEOのRicardo Guadalupeはこの38mmを「クラシック」と評したと伝わる。38mmという寸法は、Hublotが1980年代に金とラバーの小径時計で名を上げた頃の比率を、ゆるやかに想起させる。
2. 40mmと兄弟Refとの距離
40mmからの小径化は2mmにとどまり、厚さ9.4mmと100m防水は据え置かれた。最も大きな非連続は文字盤にある。既存の40mmがサファイアのスケルトン文字盤で機械を見せるのに対し、38mmは軟磁性鋼のソリッド文字盤を採り、Integratedとして初めて「閉じた」文字盤を持った。機械を誇示する従来のHublot像から、一歩引いた選択である。同時発表のKing Goldにはもう一本、黒文字盤の457.OX.1280.OXがあり、本機との違いは青のサンレイ文字盤と、それに合わせた左右の「ears」の色に絞られる。
3. このRefが指す方向
機械はHUB1115。Integratedで初めて採用された自動巻で、業界ではSellitaをベースに改良したものと見られている。40mmが用いるHUB1710系とは別系統である。Time Onlyという名はクロノグラフでないことを指すにすぎず、実際には3時位置に日付を持つ3針デイトだ。38mm・ソリッド文字盤・控えめな3針という構成は、媒体から「らしくないHublot」と評されつつ、性別を問わず着けやすい現行の方向性を素直に示している。
意匠分析
ケースはHublot独自のKing Goldで組まれる。5N金より暖色に振った、プラチナを主体に含む合金とされ、サテンとポリッシュの仕上げ分けによく応える。ケース側面にはラグ間を貫くマット仕上げの溝が走り、平板に流れがちな面へ陰影と軽さを与える。ラグは短く鋭く下へ折れ、面取りは広くポリッシュされる。
ベゼルは丸形で、6本のH型チタンスクリューで留められる。ケースミドルとベゼルの間に挟まれたラバーが、左右の「ears」を成す。本機ではこのラバーが青文字盤に合わせた色を帯び、リューズにはラバーのグリップが付く。
文字盤は青のサンレイで、黒兄弟の457.OX.1280.OXがポリッシュ黒を採るのと対をなす。素材は軟磁性鋼で、磁気から機械を守る役も兼ねる。針は半スケルトンの太いバトン、秒針の尾にはH型のカウンターウェイトが添う。アプライドインデックスにステンシル調の偶数アラビアを組み合わせる。日付窓は3時位置に枠なしで開き、青文字盤に対して日板の地色は同系色ではない。
ブレスは3列のテーパードで、上面のサテンと内側・面取りのポリッシュを切り分ける。バタフライ式フォールディングクラスプはKing Gold製である(チタン・セラミック型はチタン)。機械のHUB1115は毎時28,800振動 (4Hz)、約48時間のパワーリザーブ、177部品・25石。オープンワークのタングステンローターを備え、サファイアのケースバックから覗く。厚さ9.4mmは10mmを切り、金無垢ブレスの重みと相まって、近年のHublotとしては穏やかな着け心地に落ち着く。
系譜と歴史
457.OX.7180.OXは、2024年4月にジュネーブで開かれたWatches and Wonders 2024で発表された。Big Bang Integrated Time Onlyが38mmで登場したのはこのときが初めてで、同時に6型が披露されている。内訳はチタン2型、King Gold 2型、セラミック2型(うち1型は全黒のBlack Magic)で、King Goldの2型のうち青文字盤を担うのが本機にあたる。黒文字盤の兄弟は457.OX.1280.OXである。
発表時点で、これはBig Bang Integratedとして初の40mm未満のサイズであり、ソリッド文字盤を持つ最初のIntegratedでもあった。文字盤には軟磁性鋼が採られ、機械にはHUB1115が初めて搭載された。サファイアのスケルトン文字盤とHUB1710系を用いる既存の40mmに対し、小径かつ「閉じた」文字盤という位置づけで並走する。38mmという寸法と日付のみの簡潔な構成から、Hublotはこの世代を男女を問わないサイズとして示した。
発表から本稿時点まで、仕様変更や新たな派生の追加は確認されていない。2026年時点でも公式カタログに継続して掲載される現行モデルである。