1988年、グランドセイコーの再起動
グランドセイコーは1975年にいったん途絶えている。クオーツショックの波のなかで、機械式の手作業を前提とした「最高峰の腕時計」というブランド像が、時代の論理と噛み合わなくなった。代わりに諏訪精工舎が立ち上げたのが Seiko Grand Quartz(Cal. 48GQ)であり、月差±5秒という当時としては破格の精度を背負って、1970年代後半の日本の高級クオーツ市場を牽引した。
そして1988年9月22日、セイコーは販売店向け会報誌「セイコーニュース」を通じて、13年ぶりのグランドセイコー復活を告げる。最初の4本は95GS(Ref. SBGS001〜004)。Cal. 9581(時分秒)と Cal. 9587(日付付き)の2基を搭載し、いずれも年差±10秒という、当時の量産クオーツが束で並んでもかなわない精度を掲げた。記憶を引き継ぐ機械式ではなく、クオーツによる再出発。それは「最も正確な腕時計とは何か」という、グランドセイコー創業時の問いを、新しい技術で言い直す試みでもあった。