東ドイツが生んだ最初の潜水時計
グラスヒュッテで初めて潜水時計が作られたのは1969年である。製造したのは、当時この地の時計産業を一手に担っていた国営企業VEBグラスヒュッターウーレンベトリーベ (GUB)。東ドイツ (ドイツ民主共和国) 体制下のことだった。
その時計はSpezimatic Type RP TS 200と名付けられた。心臓部には、GUBが自社で量産していた自動巻Cal. 75を積む。Cal. 75を搭載した時計は総じて「Spezimatic」と呼ばれ、石数の表示と「Shockproof」の文字が、当時の品質と堅牢性の約束を示していた。
ケース径は36mm。黒文字盤に大ぶりの夜光数字と太い針を配した、装飾を削ぎ落とした実用の道具である。開発には東ドイツの軍用ダイバーが助言したと伝わり、当初の流通はごく限られていたとされる。今日この個体はグラスヒュッテのドイツ時計博物館に展示され、ヴィンテージ市場でも希少な存在となっている。