クロノマットの名と、1984年の原点
「クロノマット」の名は新しいものではない。1940年代、ブライトリングは計算尺ベゼルを備えたクロノグラフにこの名を与えた。「数学のためのクロノグラフ」を意味する名で、1940年の特許に基づき1941年に広告され、1942年には一般に出回ったとみられる。しかし戦後はナビタイマーの影に隠れ、1970年代の終わりには一度生産が途絶えた。
名が再び表舞台へ戻るのは1980年代である。当時のオーナー、アーネスト・シュナイダーの下で、イタリア空軍のアクロバット飛行隊「フレッチェ・トリコローリ」向けの機械式クロノグラフが開発された。1983年、青い文字盤に、四つの突起「ライダータブ」を持つ回転ベゼルと、筒状リンクを連ねたルーローブレスレットを備えたフレッチェ・トリコローリのモデルが披露される。ライダータブは風防を守り、ベゼルを操作しやすくする役も担った。翌1984年、創業100周年に合わせて一般発売されたクロノマット(Ref. 81950とされる)が、現在まで続くクロノマットの意匠の原点である。クォーツが市場を席巻するさなかに機械式で勝負したこの時計は、ブライトリング再建の足がかりとなったとされる。