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BLANCPAIN · SERIES

Villeret

ヴィルレ

クォーツ全盛の時代に機械式の複雑機構を呼び戻し、ブランパンの古典的様式を定義したコレクション

40 mm – 42 mm
01 — 概要 / SUMMARY

ヴィルレは、ブランパンの古典的価値を体現するドレスウォッチの系譜である。発表は1983年、クォーツ全盛のさなかに復活したコンプリートカレンダー・ムーンフェイズに始まり、丸型ケース、二段ベゼル、ローマンインデックスという意匠コードを確立した。コレクション名として「Villeret」を冠したのは2003年、創業地スイス・ヴィルレ村への回帰を示す。現行はウルトラプラート、カンティエーム・コンプレ・フェーズ・ド・リュンヌ、カンティエーム・フェーズ・ド・リュンヌを軸に、トゥールビヨンやカルーセルまで複雑機構を広く擁する。

02 — STORY · 物語

Villeret(ヴィルレ)、これまでの軌跡

The story of this series
01

クォーツの逆風に抗して

1981年、ジャン=クロード・ビバーとジャック・ピゲは、休眠状態にあったブランパンの名称権を取得した。ジャック・ピゲはヴァレ・ド・ジューのル・ブラッシュに拠点を置くムーブメント製造会社フレデリック・ピゲを率いており、二人は機械式時計の復権という一点に賭けた。クォーツが業界を席巻し、複雑機構が市場から姿を消しつつあった時代である。

最初の回答は1983年に示された。コンプリートカレンダー・ムーンフェイズである。26mmのCal. 6395と34mmのCal. 6595を擁し、曜日と月を独立した窓に、日付を専用の針で示し、6時位置に月相を配した。とりわけCal. 6395は、当時として最小のコンプリートカレンダー・ムーンフェイズのプレートと伝わる。丸型ケース、二段に重ねたベゼル、ローマンインデックス、抑制された文字盤——のちにヴィルレと呼ばれる意匠コードが、ここで出そろった。

02

シックス・マスターピース

1980年代を通じ、ブランパンは失われかけた複雑機構を一つずつ呼び戻した。1984年に手巻きのウルトラスリム(Ref. 0021、厚さ1.75mmのフレデリック・ピゲ製Cal. 21)、1986年に永久カレンダー(Ref. 5395)、1988年にミニッツリピーター(Ref. 0033)。これにスプリットセコンド・クロノグラフと、時計師ヴァンサン・カラブレーゼと手がけたフライング・トゥールビヨンが加わる。

これら6本は「シックス・マスターピース」として、いずれも34mmの貴金属ケースに収められ、揃いのセットでも販売された。集大成は1991年の「1735」グランドコンプリケーションである。トゥールビヨン、スプリットセコンド・クロノグラフ、永久カレンダー、月相、ミニッツリピーターを一つの薄型ムーブメントに束ね、創業年を名に冠した。30本のみが組み上げられたと伝わる。複雑機構を擁する後年のヴィルレの素地は、この時代に築かれた。

03

「ヴィルレ」という名

ブランパンは長く、この古典群を「クラシック」と呼んでいた。コレクション名として「Villeret」を与えたのは2003年である。創業地、ベルナー・ジュラのヴィルレ村への回帰を意味する命名であった。2002年からはマルク・ハイエックが指揮を執り、同年には20周年を記念する月相モデルも示された。

実用面の更新も進んだ。自動巻きのコンプリートカレンダー・ムーンフェイズには、ツインバレルで100時間のパワーリザーブを備えるCal. 1150をベースとしたCal. 6763が用いられた。さらに2000年代半ばには、ケース側面の補正用の窪みをなくす「アンダーラグ補正機構」が導入される。カレンダーを指先で調整でき、ケースの清廉な輪郭を損なわない工夫であった。

04

275周年の再構築

2010年、ブランパンは創業275周年に合わせ、ヴィルレを全面的に見直した。バーゼルワールドで最初に披露されたのは、やはりコンプリートカレンダー・ムーンフェイズである。ローマン数字の書体を引き締め、リューズを作り直し、日付には古典的な懐中時計に倣う青焼きのセルパンタン(蛇形)針を採用した。時刻針との混同を避けるための判断であった。

機構も刷新された。3つの香箱とチタン製フリースプラングのてんぷを備える8日巻の自動巻Cal. 6639、同じく8日巻の手巻Cal. 13R0が投入される。同年7月にはフレデリック・ピゲSAがブランパンSAへ統合され、ムーブメント製造は名実ともにブランパンへ一本化された。

05

複雑機構の広がりとGolden Hour

ヴィルレはその後、複雑機構の器としての性格を強めた。2014年にはカルーセルと月相を組み合わせた一本を発表し、グランフー・エナメル文字盤には作り手の頭文字に由来する隠し「JB」を忍ばせた8日巻も示した。現在のコレクションは、三針からミニッツリピーター、トゥールビヨン、カルーセル、永久カレンダー、中国伝統暦、エクエーション・オブ・タイムまでを擁する。

2025年には「Golden Hour」シリーズが加わった。ウルトラプラート(Ref. 6651N、毎時21,600振動 (3Hz)のCal. 1151)、40mmのカンティエーム・コンプレ・フェーズ・ド・リュンヌ(Ref. 6654N、Cal. 6654.4)、33.20mmのカンティエーム・フェーズ・ド・リュンヌ(Ref. 6126N、Cal. 913QL.P)を軸とする。12時のインデックスを創業者の頭文字「JB」に置き換え、ケースを薄型化し、即時交換式ストラップを備えた。古典の輪郭を保ちながら、細部を現代へ寄せる更新である。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

ヴィルレの設計を貫くのは、抑制という一貫した態度である。中心にあるのは二段に重ねた丸みのあるベゼル(ダブルステップド・ベゼル)で、ケースを柔らかく縁取り、コレクション全体の視覚的な錨となってきた。ローマンインデックス、薄いプロファイル、過度な装飾を排した文字盤——派手にしないという判断こそが、ヴィルレの様式を成り立たせている。

意匠言語の核は40年以上ほとんど変わっていない。サイズやキャリバーが世代ごとに更新されても、丸型ケース、二段ベゼル、ローマン数字、オパーリンやグランフー・エナメルの文字盤という要素は保たれた。だからこそ、年代を問わず一目でヴィルレと分かる。短いラグとベゼルが生む均整は、ケースを腕になじませると同時に、文字盤を主役へと引き立てる。スポーツのフィフティ ファゾムスや装飾性の高いメティエ・ダールとは対照的に、ヴィルレは静かな古典の役割を担い続けている。

機能と意匠の両立にも独自の解がある。代表的なのが月相表示で、顔を与えられた月のモチーフは、実用というより詩情の側に属する装置である。セージの葉を思わせるほっそりとした針、外周の日付を指す蛇形(セルパンタン)の針といった細部は、かつての懐中時計の語彙を引く。一方でアンダーラグ補正機構は、補正用の窪みをケース側面から消し去り、整った輪郭を守る。技術的な複雑さを表に出さず、見えないところへ収める——この姿勢が、複雑機構を載せてもなお端正に見える理由である。

近年の更新は、文字盤の色や素材といった可変の領域に集中し、輪郭の文法には手を入れない。変えてよいものと変えないものを切り分ける——この線引きが、ヴィルレを単なるドレスウォッチではなく、ブランパンの古典そのものとして位置づけている。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1983-2000年代
Cal. 6395 / 6595
フレデリック・ピゲ製手巻、最小プレートの記録。
2000年代-
Cal. 1150 / 6763
ツインバレル自動巻、100時間パワーリザーブ。
2010年-
Cal. 13R / 6639 系
3バレルの8日巻、チタン製フリースプラングてんぷ。
現在
Cal. 1151 / 6654 / 913QL
現行の自動巻群。装飾と仕上げを刷新。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1983-1990

初代コンプリートカレンダー

6395 6595
クォーツ危機下に複雑機構を復活、意匠コードの原点。
1984-1991

シックス・マスターピース

0021 ほか
ウルトラスリムから1735まで、複雑機構を集成した時代。
2003-2009

コレクション名の確立

6263 6654 系
「クラシック」を「Villeret」と改称、創業地へ回帰。
2010-2024

275周年の全面刷新

6654 6639
ケースと書体を刷新、8日巻と自社製化を推進した世代。
2025-現在

Golden Hour世代

6651N 6654N 6126N
JBロゴ採用、ケースの薄型化と即時交換ストラップ。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive