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BLANCPAIN · SERIES

Léman

レマン

フライバック・クロノを看板に、スポーツとドレスの境界を歩んだ、1990年代生まれのブランパン実用シリーズ

38 mm – 40 mm
01 — 概要 / SUMMARY

レマン (Léman) は、ブランパンが1994年に発表した腕時計シリーズである。当初は基幹キャリバーの型番から「2100」と呼ばれ、2000年代初頭にレマンへ改称された。名はジュネーブ湖(レマン湖)に由来する。工具的なダイバーズではなく、スポーティな実用性と古典的な端正さを一本に同居させた点に性格がある。基幹三針のほか、フライバック・クロノグラフ、曜日・日付・月相を備える完全暦、GMTレヴェイユ、グランドデイト、フライング・トゥールビヨンまでを擁した複雑機の家系であった。2018年から2019年にかけて現行カタログを退き、いまは中古市場でその姿に出会える。

02 — STORY · 物語

Léman(レマン)、これまでの軌跡

The story of this series
01

1994年、復活したブランパンの新しい顔

1980年代、クォーツ危機を経て休眠状態にあったブランパンは、ジャック・ピゲとジャン=クロード・ビバーの手で機械式専業として再起した。1992年にはスウォッチ グループの前身であるSMHに組み込まれ、ヴィルレに代表される薄型ドレスウォッチで地歩を固めていた。そのブランパンが、より現代的でスポーティな受け皿として1994年に投入したのが、後にレマンと呼ばれる一群である。発表当初の名は、基幹キャリバーの型番にちなむ「2100」。ジュネーブ湖の仏語名レマン湖は、ブランパンが拠を置くスイス西部を象徴する湖であり、改称後のシリーズ名はここに由来する。

02

二つの文字盤と、看板となったフライバック

最初の一本、Ref. 2100 は直径38mmのケースに、毎時21,600振動 (3Hz)・約100時間 (4日間) のパワーリザーブを持つCal. 1150を収めた。ねじ込み式リューズと100m防水を備えつつ、ドーム状の両面無反射サファイアと多層構造の文字盤で、工具然とした硬さを避けている。文字盤には早くから二つの語法が用意された。金のアプライドローマ数字とロゴを置く「クラシック」と、夜光アラビア数字を刷る「ミリタリー」である。続くRef. 2185 は、フレデリック・ピゲのCal. 1185を基にしたクロノグラフ。コラムホイールと垂直クラッチを持つこの薄型自動クロノは、フライバック化されたCal. F185を積むRef. 2185F として結実し、シリーズ最量販の看板となった。漆黒の文字盤を持つこの一本は、1990年代を代表するスポーツクロノの一つに数えられる。

03

2002年、40mm化と「レマン」への改称

2000年代の初頭、ブランパンはこの一群を正式に「レマン」と名づけ、ケース径を40mmへと改めた。口火を切ったのは2002年のRef. 2086、フライバック機構にスプリットセコンドを加えたステンレス専用のクロノグラフである。翌2003年には、GMTとアラームを組み合わせたGMTレヴェイユ Ref. 2041 が登場した。搭載するCal. 1341 は、同じグループのブレゲと共同開発された機構と伝わる。旅の時計としての性格を、ブランパンらしい端正さの内に収めた一本であった。

04

グランドデイトと、暦をめぐる工夫

2005年、38mm期の看板だったフライバックは、ケースを2mm広げ大型日付を加えたフライバック・グランドデイト Ref. 2885 として刷新された。瞬時に切り替わる大型日付は基幹モデルRef. 2850 にも展開され、後にブランパンの各シリーズへ波及する機構となる。完全暦の系譜も、月相を備えるカンティエーム・コンプレ Ref. 2863 として40mm期に整えられた。この世代の暦は、ケース側面の押し込み式補正ボタンを廃し、ラグの裏に補正子を隠す方式を採る。設定を容易にしつつ側面を清める意匠であり、ブランパンが特許を持つ工夫とされる。

05

トゥールビヨンまで広げた複雑機の幅

レマンは実用シリーズでありながら、上は高級複雑機までを射程に収めていた。7〜8日間のパワーリザーブを持つフライング・トゥールビヨンは、手巻のRef. 2123 と自動巻のRef. 2125 を軸に、文字盤や素材を変えた数多くの仕様で展開された。トゥールビヨンは永久暦と組んだRef. 2625、フライバック・クロノと組んだRef. 2188F へと拡張され、スプリットセコンドまで重ねたRef. 2189F は「CRAFT」の名で少数のみ作られたと伝わる。基幹三針から大複雑まで、同じケースの語法で貫いた点に、このシリーズの幅がある。

06

静かな退場と、その後

2010年代に入ると、8日巻の新型キャリバーを積むレヴォリューション系の開発と並行して、レマンは次第に主役の座から退いていく。拡張したヴィルレやバチスカーフとの社内競合、そして大型化が進む市場のなかで、販売の重心は移っていった。最後まで残ったのはフライバックのRef. 2885 とGMTレヴェイユのRef. 2041 で、2018年から2019年にかけて現行カタログと公式サイトから姿を消した。後継とされたレヴォリューションも同時期に整理され、レマンの役割は一本の後継機ではなく、複数のシリーズへ分散して引き継がれていったと見られている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

レマンの設計思想は、相反しがちな二つの要求を一つのケースで両立させる点にある。スポーツウォッチの実用性と、ブランパンが本来得意とする古典的な端正さ。その均衡をどこに置くかが、このシリーズの一貫した主題であった。

ケースは丸型の三分割構造で、段差を持つ二重リング状のベゼルが外周を締める。これはダイバーズの回転ベゼルのような計測機能を担うものではなく、視覚的な錨として働く意匠である。機能ではなくプロポーションと仕上げによってスポーティさを表現する——この選択が、レマンを純然たるダイバーズと分ける。同じ時代に併存した兄貴分フィフティ ファゾムスが潜水という機能を背負ったのに対し、レマンは日常の道具として軽やかであろうとした。

リューズと反対側のケースバンドには「BLANCPAIN」の刻印が置かれる。好みの分かれる主張ではあるが、どの世代の個体も一目でレマンと知れる識別子になっている。磨き上げられたラグはケースから滑らかに連続し、22mm幅のストラップやブレスを受ける。ロイヤル オークやノーチラスのような一体型ブレスではなく、普遍的なラグと交換可能なストラップを選んだ点に、レマンの中庸がある。

文字盤には二つの語法が並走した。金のアプライドローマ数字とロゴを配した古典的な顔と、夜光アラビア数字を刷る「ミリタリー」である。針は剣型やドーフィン型を基調とし、視認のための夜光を抑制的に与える。ドーム状の両面無反射サファイアは、ガラスの存在を忘れさせるほどの透明感をもたらした。

変えなかったものと、変えたものは明確である。ケースの輪郭、二重ベゼル、二つの文字盤語法、バンドの刻印——これらは四半世紀を通じて保たれた。一方でケース径は38mmから40mmへ、裏蓋はソリッドからサファイアシースルーへ、機構は三針から大複雑へと広がった。ラグの裏に補正子を隠す暦の方式も、側面を清浄に保つというレマンの美意識の延長にある。派手にしない、大きくしすぎない、機能を声高に語らない。レマンの顔が長く認識可能だったのは、この自制の一貫性ゆえである。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1994-2019
Cal. 1150
FP由来の基幹自動巻。3Hz・約100時間巻。
1994-2019
Cal. 1185 / F185
FP1185系のコラムホイール自動クロノ。フライバック化。
1990年代-2010年代
Cal. 23 / 25 系
8日巻のフライング・トゥールビヨン系。
2002-2019
Cal. F186
スプリットセコンド付きフライバック・クロノ。
2003-2019
Cal. 1341
GMTとアラームを備える。ブレゲ共同開発と伝わる。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1994-2002

初代「2100」38mm

2100
Cal.1150搭載の基幹三針。スポーティな実用機の原型。
1994-2005

フライバック・クロノ

2185 2185F
FP1185系の薄型自動クロノ。シリーズ最量販の看板。
2002-2019

40mm化と暦の刷新

2086 2863
初の40mm世代。スプリット秒フライバックとラグ下補正子の暦。
2003-2019

旅時計のGMTレヴェイユ

2041
GMTとアラームを併載。ブレゲ系の機構を搭載する。
2005-2019

大型日付のグランドデイト

2885 2850
瞬間切替の日付機構。最終期まで残った40mm世代。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive