系譜と歴史
1. エル・プリメロの陰に育った基幹機
ゼニスといえば、1969年の自動巻クロノグラフ「エル・プリメロ」が代名詞である。毎時36,000振動 (5Hz) の高振動で知られる同機に対し、エリートは時刻表示の土台を支える存在として育てられた。WatchTimeによれば、開発は1990年代初頭に、当時の技術部門の責任者ジャン=ピエール・ゲルベールのもとで始まった。頑丈で信頼でき、のちに複雑機構を載せられる薄さを持ち、トルクとパワーリザーブにも余裕のある自動巻を目指した計画である。開発にはコンサルティング会社コンセイレのキャロル・フォレスティエが加わった。後にカルティエのムーブメント開発を率い、いまはタグ・ホイヤーに籍を置く人物である。エリートは1994年に登場した。
2. 系譜としての広がり
エリートは単一の機械ではなく、用途に応じて姿を変える系譜である。中核を担う自動巻は、9時位置に小秒を置くCal.680系と、中央に秒針を備えるCal.670系に分かれる。エリートはゼニス専用にとどまらず、WatchTimeはダニエル・ロートやユブロも自社の時計に使ったと書いている。SJXは2020年、エリートを誕生から30年近くを経たゼニスの主力の自動巻と呼び、同じ年に登場したエリート・クラシックにも薄型のCal.670が載った。
3. 2018年、シリコンとスケルトンへの転換
670 SKは、2018年のバーゼルワールドで発表されたデファイ・クラシックのスケルトン版に初めて搭載された。前年の2017年、ゼニスはデファイ・コレクションを立て直し、1/100秒クロノグラフのデファイ・エル・プリメロ21と新しい振動子のデファイ・ラボを送り出していた。デファイ・クラシックは、それらとは異なる路線の、日常に向く3針の時計である。ケースは直径41mm、厚さ10.75mmのチタン製で、閉じた青文字盤の版は同じ670の非スケルトン版を積む。Monochromeは、この時計のエリートが初めてシリコン製のアンクルとガンギ車を備え、それを現代的な透かしの受け越しに見せると書いている。2020年には、ケースを炭素繊維強化樹脂としたデファイ・クラシック・カーボンにも670 SKが使われた。