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CALIBER · SEIKO

4R35

自動巻 Automatic Analog

2010年代に登場、ハッキングと手巻を獲得して現代セイコー機械式の主軸となった、自社製の汎用自動巻

OVERVIEW · 概要

Cal. 4R35は、セイコーインスツル(SII)が2010年頃に投入した自社製の汎用自動巻キャリバーである。直径27.4mm、振動数21,600vph (3Hz)、23石、約41時間のパワーリザーブを備え、ハッキング機能と手巻機能を持つ。1996年のCal. 7S26を起点とする系譜の進化形にあたり、Magic Leverによる効率的な双方向巻上げを継承している。セイコー5スポーツ、プレザージュ、プロスペックス・サムライなど、現行ミドルレンジ機械式の中核として広く搭載される。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerSeiko
Reference4R35
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency21,600 bph (3 Hz)
Jewels23 石
Power reserve41 h
HandsHours, Minutes, Seconds
DateDate
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 7S26からの継承と4R3xの誕生

Cal. 4R35の系譜は、1996年にセイコーが投入したCal. 7S26にさかのぼる。7S26はセイコー5を中核とするミドルレンジ自動巻の長寿キャリバーであり、シンプルな構造による堅牢性と、Magic Leverによる効率的な双方向巻上げで知られていた。しかし、ハッキング(秒針停止)機能と手巻機能を備えていなかったため、時刻合わせの精度や日常運用の柔軟性に課題を残していた。

2008年、セイコーインスツル(SII)はCal. 4R15/4R16を投入する。これらは上位のCal. 6R15を基にコストを抑えた派生で、高弾性合金「Spron 510」製のゼンマイは継承したものの、ハック・手巻機能は依然として欠いていた。この機能面の空白を埋めたのが、2010年から2011年にかけて登場した4R3xシリーズである。Cal. 4R35はその先頭に位置するキャリバーで、伝統的素材のゼンマイを採用しつつ、ハッキングと手巻を獲得した。

2. 4R3xファミリーの広がり

4R35は単独のキャリバーというより、共通設計を基盤に分岐する4R3xファミリーの中核と捉える方が実態に近い。日付のみを表示する4R35に対し、曜日表示を加えたCal. 4R36、24時間針を備えるCal. 4R37、ローター窓を持つCal. 4R38(オープンハート)、両者を組み合わせたCal. 4R39など、文字盤構成に応じた派生が用意される。さらに、ポインターデイトとパワーリザーブ表示を備えるCal. 4R57や、Cal. 4R71も同系譜に属するとされる。各派生は寸法・振動数・パワーリザーブを共有し、表示機能の差異で分岐する設計思想を採る。

3. NH35としての展開——マイクロブランド時代の基盤

4R35の特異性は、SII傘下のTime Module Inc.(TMI)を経由してCal. NH35として外販される二重流通構造にある。NH35はサードパーティのマイクロブランドや独立メーカーへ供給され、2010年代以降のマイクロブランド勃興期において、信頼性と入手性を両立する基幹ムーブメントとして広く採用されてきた。セイコー版4R35と外販版NH35は機構的に同一であり、工場出荷時の精度規格と表記のみが異なると伝わる。この構造により、4R35/NH35は日本製機械式ムーブメントの中で突出した生産量と汎用性を獲得し、現代のエントリー〜ミドルレンジ機械式の事実上の基盤となっている。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

諸元と基本構成

Cal. 4R35は直径27.4mm、厚さ5.32mm、12リーニュサイズの自動巻ムーブメントである。振動数は21,600vph (3Hz)、香箱を満たした際のパワーリザーブは約41時間とされる。石数は23石で、姉妹機の4R36(曜日車のための石を加えた24石)と異なる点はこの一点に集約される。セイコー公称の日差は-35〜+45秒で、クロノメーター級の精度規格ではないが、ミドルレンジ実用機としては十分な水準にある。手巻機能とハッキング機能を備え、リューズ操作で手動巻上げと秒針停止が行える。

Magic Lever——1959年に始まる自動巻機構

4R35の自動巻機構の核心は、セイコーが1959年にジャイロマーベルで初採用した「Magic Lever」(マジックレバー)である。これはローターの偏心軸に取り付けられたハサミ状の小型レバーで、押し爪と引き爪の二つの腕を持つ。ローターが時計回りに回転すると一方の爪が伝達車を引き、反時計回りでは他方の爪が同じ車を押す——いずれの方向でも伝達車は常に一定方向へ回転し、香箱のゼンマイを巻き上げる。スイス式の切替車を介する双方向自動巻機構と比較して部品点数が少なく、衝撃時の負荷分散にも有利な機構として知られる。Magic Leverはセイコーの中核技術として60年以上にわたり用いられ続け、Spring Driveや9Rキャリバーにも形を変えて継承されている。

Diashockと地板仕上げ

衝撃保護にはセイコー独自のDiashock(ダイヤショック)機構が採用される。テンプ受け石をバネ式に保持し、衝撃時に石が変位することでテンプ軸(天真)の破損を防ぐ仕組みで、原理的にはスイス各社のIncablocやKIFと同系列に属する。地板・受けの仕上げはミドルレンジ実用機にふさわしいシンプルな機械仕上げが基本となり、装飾的なペルラージュやコートドジュネーブは施されない。ローターには「SEIKO AUTOMATIC」「23 JEWELS」の刻印が入る個体が多く、シースルーバックを採用するモデルではこの実用的な意匠を確認できる。

ゼンマイの選択と6R系との分業

4R35は伝統的素材のゼンマイを採用し、上位グレードの6R系で用いられる高弾性合金「Spron 510」は搭載しない。これは、より長いパワーリザーブと高い磁気耐性を持つCal. 6R15(約50時間)やCal. 6R35(約70時間)とのグレード分業を意図した設計上の選択であり、4R35は実用性と価格の両立を優先したパッケージングとなる。サードパーティ供給版のNH35と機構を共有しながら、セイコー版4R35は精度規格と検査基準で差別化されるとされる。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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