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CALIBER · LONGINES

L152

クォーツ Quartz Analog

ロンジンの薄型ドレスウォッチを支える、ETA Flatline 系クォーツ — Cal. 256.111 を基盤とする小径キャリバー

OVERVIEW · 概要

L152 は、スイス ETA 社の薄型クォーツ群「Flatline」に属する Cal. 256.111 を基盤とし、ロンジンが自社呼称を与えたアナログクォーツである。径 18.20mm・厚さ 1.95mm の小径設計で、女性向けの薄型ドレスウォッチを主な搭載先とする。32,768Hz の水晶振動子とステップモーターにより、時・分・センター秒・日付を駆動し、石数は 9 石。電池が消耗すると秒針が 4 秒ごとに飛ぶ EOL(消耗末期表示)を備える。Flagship 25 や Lyre 25 のクォーツ仕様などに搭載され、ロンジンの古典的な薄型路線を静かに支えてきた一機である。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerLongines
ReferenceL152
TypeQuartz
DisplayAnalog
Jewels9 石
Power reserve26280 h
Movement ⌀18.2 mm
HandsHours, Jumping Minutes, Seconds
DateDate
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. Flatline という薄型クォーツの系譜

L152 の素性を理解するには、ETA の「Flatline」という製品群をたどる必要がある。Flatline の起源は 1976 年にさかのぼる。薄型の自動巻 Cal. 2890/2892 と同じ外径で設計され、薄いケースに互換的に収められる薄型クォーツとして登場した。名称は、当時としては薄い 3mm 台の厚みに由来する。

1979 年から 1980 年にかけて、ETA は Cal. 955/956 系へと家系を広げた。さらに 1980 年代には、厚さを 1.95mm まで切り詰めた第 3 世代、Cal. 255 系と 256 系が加わる。255 系は径 11.5 ライン(25.6mm)前後の中・大径を、256 系はより小さい 8¼ ライン(18.20mm)を担い、女性向けの小型時計に向けられた。L152 が基盤とする 256.111 は、この第 3 世代の小径三針日付モデルにあたる。

2. グレードの幅と、ロンジンの精度遺産

Flatline 第 3 世代は、単なる標準三針にとどまらない幅を持っていた。1982 年から 1983 年にかけて、研究機関 ASULAB とロンジン、そして ETA が共同で、水晶の温度特性を補正する高精度版(255.561)を開発する。これがロンジンの VHP(Very High Precision)技術へとつながったとされる。

ロンジン自身のクォーツへの関与は早い。1954 年には競技計時用の携帯型クォーツ時計を、1969 年には Ultra-Quartz 腕時計を世に出している。1984 年の Conquest VHP は、年差 ±10 秒級の温度補正クォーツとして注目を集めた。L152 はこの系譜のなかでは温度補正を持たない標準グレードに位置するが、同じ家系の上位機がロンジンの精度技術を担ったという文脈の上に立っている。

3. グループの共通基盤として

256.111 を基盤とするムーブメントは、ロンジンの L152 にとどまらない。Swatch グループの中核ムーブメント供給元である ETA は、この設計を多くのブランドへ供給してきた。各社はそれぞれの呼称を与えて採用しており、薄型ドレスウォッチの共通基盤として広く普及した。

2011 年以降、ETA は 255/256 系を E61・E63・E64 という新世代へと置き換えていく。新型には PreciDrive と呼ぶ高精度技術も加えられた。L152 が属した第 3 世代は静かに役目を終えつつあるが、薄型クォーツの一時代を支えた共通基盤として、その輪郭は今も明確である。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

L152 の心臓部は、毎秒 32,768 回振動する水晶振動子である。この数値は 2 の 15 乗にあたり、分周回路で正確に 1 秒のパルスへ変換される。生成された信号はステップモーターを 1 秒ごとに駆動し、秒針を 1 目盛りずつ送る。機械式が脱進機(エネルギーを一定間隔で解放する調速機構)でゼンマイの解放を制御するのに対し、クォーツでは電子回路が時間の基準を担う。

ベースの構造は、ETA が「Flatline」と呼ぶ真鍮製の薄型設計を受け継ぐ。地板から受けまでの厚さは 1.95mm にとどまり、ドレスウォッチの薄いケースに収めやすい。ETA は同系を分解・修理が可能な構造として位置づけており、回路や輪列(歯車の列)の交換を前提に組まれている。石数は 9 石で、輪列の軸受や負荷の集中する箇所に配し、摩耗を抑える役割を担う。

時刻表示は、時・分に加えてセンター秒と日付を持つ。センター秒はステップモーターの 1 秒運針をそのまま秒針に伝える構成で、日付は輪列から駆動される日車により表示される。

このキャリバーが備える特徴的な機能が、EOL(End of Life、消耗末期表示)である。電池の電圧低下を制御 IC が検知すると、ステップモーターの駆動間隔を変え、秒針を 4 秒ごとにまとめて送る。秒針が 4 秒跳びに動き始めたら、電池交換の時期が近いという合図である。この間も時刻そのものの精度は保たれるため、利用者は突然の停止を避けられる。

電源には Renata 315(SR716SW、1.55V の酸化銀電池)を用いる。径 18.20mm の小径設計に合わせた小容量のセルであり、大型リチウム電池で数年の駆動を狙った長寿命版とは別系統に位置づけられる。

クォーツ機構は、機械式に比べて可動部品が少なく、姿勢差や軽度の衝撃の影響を受けにくい。テンプ(往復回転する調速車)の慣性モーメントに精度が左右される機械式と異なり、基準が水晶の固有振動数に依存するためである。径 18.20mm という小径に、三針日付の輪列と回路、モーターを収めるには、各部の配置を緻密に詰める設計が求められた。

精度については、標準的なアナログクォーツとして、月差数秒から十数秒の範囲に収まる。同じ Flatline 第 3 世代には、水晶の温度特性を補正する高精度版も存在し、ロンジンの VHP(Very High Precision)へと発展した。L152 はこの温度補正を持たない標準グレードであり、両者は優劣ではなく、想定する用途と価格帯の違いから生まれた、設計目標の差といえる。

仕上げは、量産を前提とした実用本位のもので、機械式に見られるコート・ド・ジュネーブのような装飾は基本的に施されない。薄さと信頼性、そして製造効率を優先した設計思想が、このムーブメントの性格をよく表している。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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