系譜と歴史
1. 751系という出発点
ジャガー・ルクルトは、長く他ブランドへエボーシュや複雑機構を供給してきた。そのなかで自社の主力クロノグラフの基盤となってきたのが、コラムホイールと垂直クラッチを組み合わせた一体型の自動巻クロノグラフ、Cal.751と姉妹機のCal.752である。Cal.759は、この系統にカレンダーを重ねて生まれた。Monochromeは既存のCal.751を基盤とすると書き、SJXは実質的にCal.752とカレンダー・モジュールの組み合わせだと説明しており、基盤の番号は資料によって分かれる。
2. 二つの機構の組み合わせ
2020年、ジャガー・ルクルトはマスター・コントロール・コレクションを刷新し、その年の後半にマスター・コントロール・クロノグラフ・カレンダーを加えた。コラムホイール式のクロノグラフと、曜日・日付・月のトリプルカレンダーと月齢を一つの時計にまとめたのは、同社として初めての試みとされる。ケースは40mm×12.05mmで、文字盤外周にパルスメーターの目盛を置き、1950年代の円形時計の雰囲気を現代の寸法でまとめている。2023年には黒と赤の文字盤のピンクゴールド版、2024年には青文字盤の版が加わった。
同じ2020年の刷新では、時刻・日付を担うCal.899系にシリコン製の脱進機と作り直した香箱が導入され、パワーリザーブが70時間に延びた。Monochromeは発表時の記事でCal.759にもシリコン脱進機があると書いたが、読者から「シリコン部品を持つのは751で、759にはない」との指摘を受けている。実機を観察したSJXはフリースプラング・テンプには触れるもののシリコンには言及しておらず、759への適用は確認できない。
3. 一体型クロノグラフの設計潮流
垂直クラッチとコラムホイール、フリースプラング・テンプを備える点で、Cal.759は現代の上級クロノグラフに期待される要素をひととおり持つ。SJXは、その構成の多くが、コンパクトで洗練されたクロノグラフの手本とされてきたフレデリック・ピゲ1185を思わせると述べる。さらに、同じリシュモン・グループのパネライやカルティエが用いるクロノグラフとも似ており、グループ内で開発の知見が共有されていることをうかがわせるという。目新しい機構ではないが、実用的な設計を丁寧にまとめた機械と位置づけられる。