本文へ
ZENITH · SERIES

Defy Extreme

デファイ・エクストリーム

二つの脱進機で1/100秒を刻むクロノグラフを、全地形対応の堅牢ケースに収めたDefyの一族

45 mm
01 — 概要 / SUMMARY

Defy Extreme(デファイ・エクストリーム)は、2021年にZenithが発表した高耐久クロノグラフのシリーズである。1/100秒を計測するEl Primero 9004を、45mmのチタンケースと200m防水 (20気圧) に収め、直接の母体であるDefy 21を全地形仕様へ押し進めた。電動オフロードレース選手権Extreme Eと連動する限定版、芸術家との協業、600m防水のDefy Extreme Diverへと派生し、Zenithの先端技術を過酷な環境へ持ち出す系譜を形づくる。

02 — STORY · 物語

Defy Extreme(デファイ・エクストリーム)、これまでの軌跡

The story of this series
01

Defy 21という母体

Defyの名は1969年に遡る。八角形ケースに多面体ベゼルを備えた初代A3642は、クォーツ勢に抗する堅牢なスポーツウォッチとして企画された。LVMH傘下に入った2000年代には大型で挑発的なDefy Xtremeが展開され、評価を二分する。流れが定まるのは2017年、Defyの名を再び前面へ戻したDefy El Primero 21である。この時計が載せた新型キャリバーEl Primero 9004は、計時用と計測用に二つの脱進機を持ち、1/100秒の計測を実現した。44mmケースに高速クロノグラフを収めたこの一本が、Defy Extremeの直接の母体となる。

02

2021年、Defy 21を装甲する

2021年、ZenithはDefy 21を全地形仕様へ押し進めたDefy Extremeを発表した。狙いは明快である。同じEl Primero 9004を、より過酷な使用に耐える器へ移すこと。ケース径は44mmから45mmへ広がり、厚みは15.4mmに達した。防水性能はDefy 21の100mから200m防水 (20気圧) へ引き上げられ、リューズはねじ込み式に、クロノグラフのプッシャーは左右をガードで囲う保護構造を得た。ベゼル下には12面のリングが差し込まれ、ケースの稜線を際立たせる。発表時の構成はチタン三型。黒を差し色とする型、青の型、そしてローズゴールドを組み合わせる型である。工具を使わず帯を替えられるクイックチェンジ機構も、この世代で導入された。

03

二つの脱進機

Defy Extremeの心臓であるEl Primero 9004は、一つの機械に二系統の調速機構を持つ点に特徴がある。計時を担う側は毎時36,000振動 (5Hz)、クロノグラフを担う側は毎時360,000振動 (50Hz) で独立して動く。計測時、中央のクロノグラフ針は1秒で文字盤を一周し、1/100秒を読み取らせる。高振動の計測系を常時回せば消耗が激しいため、用途ごとに脱進機を分ける構成が採られた。二つのぜんまいを備え、クロノグラフ不使用時の駆動時間は約50時間。ジュネーブのTime Labによりクロノメーターとして認定されている。この高速計測の発想は、同じLVMH傘下のTAG Heuerが示した1/100秒機構に連なるものとされ、1969年の高振動クロノグラフEl Primeroの技術が現代的に再構成されている。

04

キャンバスとしての過激さ

角ばった大型ケースと素材を混在させる構成は、限定版や協業の器としても機能した。Zenithは電動SUVによるオフロードレース選手権Extreme Eの公式計時を務め、各戦にちなんだDefy Extreme Eを複数発表している。これらは第1シーズンで使われたタイヤを再生した帯を備え、Zenithの環境活動HORIZ-ONと結びつく。2023年版はケース全体をカーボンで構成し、シリーズで最も軽い一本となった。芸術家との協業も続く。2022年のFelipe Pantone版は、ステンレス鋼ケースにYAS(イットリウム・アルミノシリケート)製の透明ベゼルを組み、微細加工で虹彩を生むサファイア文字盤を載せた。2023年にはDJのCarl Coxを題材に、計時盤をレコード盤に見立てた限定版も登場している。

05

深海への拡張

2024年、Defy Extremeの建築は計時の枠を越える。同年発表のDefy Extreme Diverは、角ばった42.5mmのチタンケースに600m防水 (60気圧) とヘリウム排出バルブを備えた本格的なダイバーズウォッチである。搭載するのはクロノグラフではなく、El Primero 3620-SC。El Primero 3600から派生した毎時36,000振動 (5Hz) の三針自動巻で、シリコン製部品を含む脱進機と約60時間の駆動を持つ。回転ベゼルは黒いセラミック製とし、夜光を充填する。600m級でありながら、サファイアの裏蓋から機械を見せる構成は珍しい。2025年には微細梨地のチタンに黄を差した「シャドウ」仕様も加わり、シリーズは過酷さの方向を保ったまま用途を広げている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Defy Extremeの設計言語は、母体のDefy 21を「強調する」ことに尽きる。稜線を鋭くし、面取りを増やし、容積を増す。中核となるのはベゼル下に重ねた12面のリングで、丸みのあるケースに角の表情を与える視覚的な錨となっている。プッシャーをガードで囲い、リューズを保護するのも、機能であると同時に意匠である。守る形そのものを外観の主題に据えた点に、このシリーズの判断が表れている。

ダイバーズウォッチが長く守ってきた「派手にしない」という抑制とは、Defy Extremeは逆の方向を選ぶ。機械の複雑さを隠さず、サファイアの文字盤や開かれたダイヤルから露出させる。薄くするのではなく厚みを誇示し、装飾よりも構造そのものを見せる。この一貫した過剰さこそが、シリーズの設計思想である。視認性への配慮は別の形で残り、大ぶりの針とインデックスにSuper-LumiNovaを厚く充填する。Defy Extreme Diverの星形を散らした文字盤や、黒いセラミックの回転ベゼルも、暗所での読み取りという実用に根ざす。

ケースから帯へ向かって裾を広げる造形は、ラグと帯の境目を曖昧にし、手首の上で形を連続させる。素材はチタンを基調とし、微細梨地の暗い仕上げや、Extreme Eのフルカーボンへと展開する。軽さと頑強さの両立が一貫した主題であり、限定版が色や素材を変えても、12面の幾何と面取り、機械を見せる開放的な構成という核は動かない。これがエディションを越えてDefy Extremeを識別させる「顔」となっている。

輪郭を比較で描けば、装甲化したスポーツクロノグラフという点でAudemars PiguetのRoyal Oak Offshoreと、素材を混在させ機械を露出させる点でHublotのBig Bangと、それぞれ問題意識を共有する。Defy Extremeはその中間で、高振動の自社機械を核に据えながら、工業的な堅牢さを外形で語る位置に立つ。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2021-現在
Cal. El Primero 9004
二脱進機の1/100秒クロノグラフ。
2024-現在
Cal. El Primero 3620-SC
5Hzの三針自動巻、ダイバー用。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2021-現在

初代 Defy Extreme

95.9100.9004 系
El Primero 9004搭載、45mmチタン・200m防水の基幹三型。
2021-2023

Defy Extreme E

10.9101.9004 系
電動レースExtreme E連動の限定版、フルカーボン化。
2022

Felipe Pantone

03.9100.9004 49.I001
ステンレス鋼ケースとYAS製ベゼル、虹彩サファイア文字盤。
2024-現在

Defy Extreme Diver

95.9600.3620 系
El Primero 3620-SC・600m防水、ダイバーへの構造展開。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 1 モデル

1 references in archive