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VACHERON CONSTANTIN · SERIES

Historiques

イストリック

1755年以来の自家アーカイブを題材に、年号を名乗る歴史的Refを現代の機械で再構築する復刻コレクション

37 mm – 40 mm
01 — 概要 / SUMMARY

Historiques(イストリック)は、1991年に発表されたヴァシュロン・コンスタンタンの復刻コレクションである。1755年以来の自家アーカイブから特定のリファレンスを選び、現代の機械と仕上げで再構築する系譜であり、各モデルが年号を名乗る——American 1921、Cornes de Vache 1955、Triple Calendrier 1942/1948、222——という命名規則を持つ。スポーツ・シックの祖型である222、ドライバーズウォッチの原典であるAmerican 1921、最初の防水クロノグラフであるCornes de Vache 1955まで、20世紀のヴァシュロン主要意匠を網羅する。

02 — STORY · 物語

Historiques(イストリック)、これまでの軌跡

The story of this series
01

自社の歴史を題材とするという発想

1991年、ヴァシュロン・コンスタンタンは新たなコレクション「Les Historiques」を発表した。Patrimony(クラシック)、Malteやのちに登場するOverseas(スポーツ)が現在進行形の意匠を担うのに対し、Historiquesに与えられた役割は明確だった——自社の過去そのものを商品化することである。

この発想は当時の業界では異例だった。ヴィンテージに着想を得た新作は珍しくなかったが、自社アーカイブから具体的なリファレンスを選び、原型の名称や由来年号を冠して現代に蘇らせる手法は、1755年以来一度も操業を停止していないマニュファクチュールにしか採れない選択肢だった。

02

初期Les Historiques時代

初期(1991〜2000年代前半)のLes Historiquesは、特定のRef番号を厳密に再現するというより、過去の意匠言語を再解釈する性格が強かった。長方形ケースのToledo、楕円形のEllipseなどは20世紀中盤のVC意匠を蘇らせる試みであり、手巻Cal. 1132系や自動巻Cal. 1312といった当時のレギュラー・キャリバーが搭載された。Les Historiquesという受け皿の存在が、VCに「過去の意匠を継続的に商品化する」独自のリズムをもたらした。

03

技術復刻の時代 — Chronomètre Royal 1907とUltra-Fine兄弟

転機は2007年に訪れる。VCは1907年に最初のクロノメーター懐中時計「Chronomètre Royal」を発表しており、その100周年を機にHistoriques Chronomètre Royal 1907(Ref. 86122)が登場した。グラン・フ・エナメル文字盤、新開発の自動巻Cal. 2460 SCC——ジュネーブ・シールに加えてCOSC認定も取得した二重認定キャリバー——を搭載し、レッド・トゥエルブ仕様の限定100本とレギュラー版が発売された。

2010年、SIHHでHistoriques Ultra-Fine 1955(Ref. 33155)とUltra-Fine 1968(Ref. 43043)が発表される。1955年の超薄型手巻Cal. 1003(厚さ1.64mm)、1968年の超薄型自動巻Cal. 1120を当時の設計のまま再構築し、ジュネーブ・シール仕様で蘇らせた。特定のキャリバーそのものを復刻するという第二の方向性が、ここで明確になる。

04

意匠復刻の時代 — American 1921、Cornes de Vache、Triple Calendrier

2008年、ロアリング・トゥエンティーズの象徴的ドライバーズウォッチを蘇らせたHistoriques American 1921(Ref. 82035)が発表される。1919年のRef. 11032、1921年のRef. 11677を参照源とし、対角配置の文字盤、1時位置のリューズを再現した40mmクッションケースに手巻Cal. 4400(後の4400 AS)が搭載された。2021年には100周年を機に36.5mmサイズとExcellence Platine版が加わる。

2015年にはHistoriques Cornes de Vache 1955(Ref. 5000H)がプラチナ版で登場する。原型は1955年のRef. 6087——VC初の防水・耐磁クロノグラフで、36本のみ製造された希少モデル——であり、「牛の角」ラグを38.5mmケースに拡大して継承する。搭載キャリバーCal. 1142は、Lemania 2310系をリシュモン傘下のVCが内製化したものだ。2016年にピンクゴールド、2019年にスチール版が追加された。

2017年にはHistoriques Triple Calendrier 1942(Ref. 3110V、スチール)とTriple Calendrier 1948(Ref. 3100V、ピンクゴールド・月相付き、200本限定)が登場する。原型は1942年のRef. 4240と1948年のRef. 4240Lで、トリプル・ガドルーン(三重溝)のケース側面、爪型ラグ、1940年代カレンダー文字盤を継承し、手巻Cal. 4400 QC(QCLは月相付き)を搭載する。

05

222の復活と現代の到達点

2022年、Historiquesに最大の話題が訪れる——1977年に創業222周年を記念して発表された伝説的ジャンボ・スポーツウォッチ「222」(原型Ref. 44018)が、Historiques 222(Ref. 4200H/222J-B935)として18Kイエローゴールドで復活した。原作の37mmトノー型ケース、一体型ブレスレット、5時位置のマルタ十字を継承し、自動巻Cal. 2455/2(4Hz、40時間パワーリザーブ)を搭載する。

2025年、創業270周年を機にスチール版Historiques 222(Ref. 4200H/222A-B934)が発表される。1977年当時の原型ジャンボがスチールで作られていたことを踏まえれば、より忠実な復刻と言える。だがVCにとって、Historiquesでのスチール採用は依然として例外的な選択肢である。

2026年のWatches and WondersではHistoriques American 1921にピンクゴールド・ブルー文字盤の新仕様(Ref. 82035/000R-H114、1100S/000R-H115)が追加され、シリーズは現役のラインアップとして拡張を続けている。1991年の発足から30余年、Historiquesは「自社の歴史を題材にする」というコンセプト自体を、現代の高級時計マーケットに定着させた稀有な例となっている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Historiquesの設計思想は、ヴァシュロン・コンスタンタンの他コレクションと一線を画す。Patrimony、Traditionnelle、Overseasが固有の意匠言語を持つのに対し、Historiquesには共通する文字盤、ケース形状、ハンドの様式が存在しない。代わりに統一されているのは「自社アーカイブから特定のリファレンスを選び、現代の機械と仕上げで再構築する」という方法論である。

選定は厳密にVC自社製品の過去に限られる。ヴィンテージ調の意匠を一から起こすのではなく、原型のRef番号、製造年、特徴的な意匠要素を出発点とする。American 1921は1919年Ref. 11032と1921年Ref. 11677を、Cornes de Vache 1955は1955年Ref. 6087を、Triple Calendrier 1942/1948は同名の年に発表されたRef. 4240/4240Lを直接の参照源として明示する。

現代化のルールは抑制的である。ケース径は原型より3〜5mm拡大される——Cornes de Vacheは35mmから38.5mmへ、Ultra-Fine 1955は31mmから36mmへ——が、それ以上の改変は最小限に留まる。文字盤レイアウト、針の形状、ラグの曲線、リューズ位置といった視覚的アイデンティティは原型をそのまま継承する。

キャリバーは現代の自社製を搭載し、ジュネーブ・シールへの準拠を基本とする。American 1921のCal. 4400 AS、Triple CalendrierのCal. 4400 QC/QCL、Cornes de VacheのLemania 2310系Cal. 1142、Ultra-Fineの薄型Cal. 1003/1120といったキャリバーが各モデルを駆動する。透明なケースバックは原型にない要素だが、現代の鑑賞慣行に応える追加として許容される。

素材は基本的に金とプラチナである。スチールが用いられるのはCornes de Vache 1955(2019年)、Triple Calendrier 1942(2017年)、222(2025年)のような節目に限られ、それ自体が事件として報じられる。これは「Historiquesは正装の系譜」という暗黙の自制でもある。そして各モデルは年号を名乗る——名称そのものがアーカイブを参照する役割を果たし、購入者は「どの時代のVCを腕に巻くか」を選ぶことになる。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1991-2000s
Cal. 1132 / 1312
初期Les Historiques期の自社キャリバー群。
2007-現在
Cal. 2460 SCC
Chronomètre Royal用の二重認定自動巻。
2008-現在
Cal. 4400 AS / QC / QCL
American 1921とトリプルカレンダーの基幹。
2010-現在
Cal. 1003 / 1120
1950-60年代の超薄型キャリバーを現代復元。
2015-現在
Cal. 1142
Lemania 2310系の手巻クロノグラフ。
2022-現在
Cal. 2455/2
222復活版に搭載される自動巻ベース。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1991-2000s

初期Les Historiques

Toledo Ellipse Oval
20世紀中盤VC意匠の復刻、Toledoなどによる出発期。
2007-2010

技術復刻の時代

86122 33155 43043
Chronomètre Royal 1907とUltra-Fine兄弟の登場。
2008-現在

American 1921発表

82035 (American 1921)
対角配置の文字盤で1921年のドライバー原型を再構築。
2015-現在

Cornes de Vache復刻

5000H (Cornes de Vache)
1955年Ref. 6087のクロノグラフを38.5mmで再演。
2017-現在

Triple Calendrier

3110V 3100V
1942/1948年の月相付きカレンダーを現代化。
2022-現在

222復活

4200H (Historiques 222)
1977年のスポーツ・シックを金、続いてスチールで蘇生。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive