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TAG HEUER · SERIES

Aquaracer

アクアレーサー

水上スポーツの実用を担うTAG Heuerのコアコレクション。Ref. 844の系譜を継ぐ、12面ベゼルのダイバーズウォッチ

43 mm
01 — 概要 / SUMMARY

Aquaracerは、TAG Heuerが2003年から2004年にかけて段階的に立ち上げた潜水時計コレクションである。1978年のHeuer Ref. 844、続く2000 Seriesから受け継がれた「Six Features」と12面ベゼルを設計言語の核に据え、ツールウォッチとしての実用性と現代的な意匠を両立させてきた。現行ラインはProfessional 200、Professional 300、Professional 500、最深部の1000 Superdiverを擁し、ソーラー駆動のSolargraph派生も持つ。

02 — STORY · 物語

Aquaracer(アクアレーサー)、これまでの軌跡

The story of this series
01

1978年、Heuer Ref. 844と潜水への参入

Aquaracerの起源は、シリーズ名が誕生する四半世紀以上前、1978年のHeuer Ref. 844にさかのぼる。当時のHeuerはモータースポーツ用クロノグラフのメーカーとして知られていたが、クォーツショックによる経営難のなか、当時の社長ジャック・W・ホイヤーは新たな収益源を求めて潜水時計市場への参入を決断した。

Ref. 844は42mmのケースに200m防水、メルセデスハンド、回転ベゼルを備える。ロレックス Submarinerからの影響をジャック・W・ホイヤー自身が後年認めており、価格はSubmarinerの五分の一程度に設定されたとされる。生産はフランスの製造業者ジョルジュ・モナン (Georges Monnin) に委託され、1979年のHeuerカタログに初掲載された。同モデルは商業的成功を収め、後にProfessional 1000 Series (1984年カタログで正式命名) へと発展する。

02

2000 Seriesと12面ベゼルの誕生

1982年、Heuerは1000 Seriesと並行して2000 Seriesを発表した。1000 Seriesがプロフェッショナル向けの実用ツールであったのに対し、2000 Seriesは水上スポーツ全般を対象とし、ファッション性と耐久性の両立を狙ったコレクションである。

シリーズの最も重要な転機は1995年の第2世代である。この世代で、後のAquaracerを象徴する12面ベゼルが初めて導入された。多面形状のベゼルはグリップ性で利点を持ち、ラウンドケースの単調さを断ち切る視覚的アンカーとして機能した。1998年にはコレクションが「Classic」「Exclusive」「Sport」の3ラインに分割される。

03

2004年、Aquaracerと名乗る

2003年から2004年にかけて、2000 Sportの後継として「2000 Aquaracer」が登場する。初期の文字盤には依然「Professional」とだけ刻まれていたが、カタログ上は新名称が用いられた。最大の刷新は防水性能で、従来の200mから300mへと強化された。Ref. WAB1110、WAF1110などが当時の代表的な番号である。

2005年には2000 Seriesの全ラインが「Aquaracer」へと正式に統合される。これは1999年のLVMH買収以後、レガシーモデルを刷新し新たなブランドアイデンティティを確立する経営方針の一環でもあった。

04

派生・拡張期 ― 500mとセラミックベゼル

2009年、Aquaracerは第2世代に移行する。300m防水の従来モデルと並び、新たにAquaracer 500mが追加された。これは500m防水を有していたAquagraph (2003年発表のクロノグラフ) の廃番に伴うものである。500mモデルはより角張ったケース、ヘリウムエスケープバルブ、ラバー素材のベゼルなど、よりプロフェッショナル指向の設計言語を採用した。2012年の第3世代ではセラミックベゼルインサートが採用され、2014年には500mラインが整理されて300m中心の体制へと移行する。

05

2021年、Guy Boveによる全面再設計

2021年4月、Watches & WondersでAquaracer Professional 300の新世代が発表された。クリエイティブ・ディレクターのGuy Boveが主導したこの第5世代は、12面ベゼルを「シリーズの認識可能性」として明確に位置づけ、その幾何学言語を時計全体へと展開した。

12面すべてに細かい溝加工が施され、グリップ性が向上。日付窓は3時位置から6時位置へ移動し、シンメトリーな表情を獲得した。ベゼルにはコレクション全体でセラミックインサートが採用され、サファイアクリスタル裏面に日付拡大鏡が組み込まれた。インデックスは八角形へ、リューズは12面へと、ベゼルの幾何学が時計全体に反復される。同年には1980年代の人気モデルを継承するNight Diver (Ref. WBP201D.FT6197)、限定844本のTribute to Ref. 844 (Ref. WBP208C.FT6201) も発表された。

06

製造ムーブメント時代の到来

2022年のWatches & Wondersでは、シリーズの方向性を変える2モデルが発表される。第一にAquaracer Professional 1000 Superdiver (Ref. WBP5A8A.BF0619)。45mmのグレード5チタンケース、1000m防水、ISO 6425:2018飽和潜水認証を備え、Kenissi Manufactureが製造するCalibre TH30-00 (COSC認定、70時間パワーリザーブ) を初搭載した。第二にAquaracer Professional 200 Solargraphが、La Joux-Perret製のソーラー駆動TH50-00を搭載して登場し、明確にアウトドア用途へと位置を広げた。

2024年6月、Aquaracer Professional 300 Date / GMTが再刷新される。ケース径は43mmから42mmへと縮小され、Sellitaの上位ブランドAMTが手掛けるCalibre TH31-00 (Date) / TH31-03 (GMT) を搭載。毎時28,800振動 (4Hz)、80時間パワーリザーブ、COSC認定を実現した。2026年のWatches & Wondersでは、42mmチタンケースに500m防水とKenissi製TH30-00を組み合わせたAquaracer Professional 500 Date (各色1500本限定) が追加される。1978年のRef. 844に始まったTAG Heuerの潜水時計の系譜は、ここに至り独自設計ムーブメントによる自立性を獲得しつつある。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Aquaracerの設計言語は、1995年に第2世代2000 Seriesで登場した12面ベゼルを核に据える。回転ベゼルの外周に12の平面を切ることで、潜水手袋越しでも確実な把持を可能とし、視覚的にもラウンドケースの単調さを断ち切る。この12という数は、文字盤の八角形インデックス、12面の竜頭、ケースバック中央の十二角形プレートへと反復され、コレクション全体を貫く幾何学言語として機能する。

機能要件の側では、TAG Heuerが「Six Features」と呼ぶ仕様群がシリーズの根幹をなす。一方向回転ベゼル、ねじ込み式リューズ、200m以上の防水、夜光処理、傷の付きにくい風防、二重安全ロック式の留め金。これらは1978年のRef. 844以来、TAG Heuerのダイバーズウォッチが手放さなかった機能の最低保証であり、Aquaracerはこの線を踏み越えない範囲で意匠を更新してきた。

意匠面で特徴的なのは、文字盤に施された水平ストライプ模様である。船のデッキ材を想起させるこの彫り込みは、初代Aquaracerから一貫して採用されており、2024年の現行モデルでは穏やかな波紋表現へと再解釈された。ケースバックには潜水ヘルメット (scaphandre à casque) の図案が刻まれる。2004年に初登場したこのモチーフも、世代ごとに角張った輪郭へと再描画されながら継承されている。

視認性の追求にも独自の判断がある。時針は剣型でやや太く、分針はより細く長い。針の長さと太さで差をつけ、加えて時針とインデックスには緑、分針と秒針には青のSuper-LumiNovaを塗り分け、暗所での誤読を防ぐ。オメガ Seamasterやブランパン Fifty Fathomsが円弧と曲面で「海の道具」を語るのに対し、Aquaracerは12面ベゼルと多角的なエッジで「機能の幾何学」を語る。派手さではなく構造の明快さで存在感を確立する。これが本シリーズの設計思想の核心である。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2004-現在
Cal. 5
ETA 2824ベース、Aquaracer標準の自動巻機。
2005-現在
Cal. 16
Valjoux 7750ベースのクロノグラフ、41mm用。
2009-現在
Cal. 7
ETA 2893ベースのGMT機、Twin-Time用。
2022-現在
Cal. TH30-00
Kenissi製、Superdiver 1000用機。
2022-現在
Cal. TH31-00
Pro 300用、80時間PR、COSC認定の新世代機。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1978

Heuer初のダイバー機

Heuer Ref. 844
Heuer初の本格ダイバーズ、Aquaracerの遠縁となる起源機。
1982-2003

2000系前史

Heuer 2000 series
Heuer 2000系がAquaracerの直接的前身、約20年継続。
2004-2008

Aquaracer誕生

2000 Aquaracer
38.4mm鋼ケース+Cal.5搭載で300m防水、2000系の4世代目。
2009-2020

世代分化と進化

Aquaracer 300m 500m
2世代化、300m/500mの2系統に分岐、3世代でセラミックベゼル初投入。
2021-現在

Professional化

Aquaracer Professional 300
Ref.844回帰の大刷新、Cal.TH31-00で80時間PR化。
2022-現在

Superdiver投入

Aquaracer Professional 1000 Superdiver
1000m防水のtitanケース、Cal.TH30-00、COSC認定機。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive