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ROLEX · SERIES

Day-Date 36

デイデイト36

曜日を完全表示した最初の腕時計。貴金属のみで作られ、「プレジデント」と呼ばれたロレックスの一本。

01 — 概要 / SUMMARY

ロレックス・デイデイト36 (Day-Date 36) は、1956年に発表されたカレンダーウォッチの系譜である。曜日を完全な綴りで表示する最初の腕時計として登場し、ケースとブレスレットに貴金属のみを用いる点で、コレクションの中でも特別な位置を占める。専用の「プレジデント」ブレスレットを備え、各国の要人に愛用されたことから同名で知られるようになった。現在は36mm径の本モデルに加え、40mm径のDay-Date 40が並行して展開されている。

02 — STORY · 物語

Day-Date 36(デイデイト36)、これまでの軌跡

The story of this series
01

1956年、曜日を綴る

1945年に発表されたデイトジャストは、文字盤に日付を示す自動巻腕時計として成功を収めていた。ロレックスは次の一手として、日付に曜日を加えることを構想する。1955年、技術者マルク・ユグナンの名で関連特許が出願された。曜日を略号ではなく完全な綴りで示す機構である。

それ以前のロレックスには、トリプルカレンダーとムーンフェイズを備えたref. 8171や6062があった。ただし複雑な天文表示は日常の実用とは距離があり、いずれも1953年に生産を終えている。デイデイトが選んだのは、月の満ち欠けではなく、曜日と日付という日々確実に使う情報であった。1956年、バーゼルの見本市で発表された本モデルは、曜日を完全表示する最初の腕時計となった。

02

初期Refと「Superlative Chronometer」

初代はref. 6510と6511。前者は平ベゼル、後者はフルーテッドベゼルを備え、いずれも36mmのオイスターケースに100m防水を確保した。文字盤上部のアーチ窓に曜日、3時位置に日付という配置は、現在まで続くデイデイトの顔である。

ただし初期キャリバーには日送りの不具合があり、両Refはわずか1年で姿を消す。1957年、改良型Cal.1055を載せたref. 6611が後を継いだ。この個体から文字盤の表記が「Superlative Chronometer Officially Certified」へと改まる。今日の多くのロレックスに刻まれる一文の起点である。デイデイトはこの頃から、ケースとブレスレットに金とプラチナのみを用いる性格を固めていく。

03

「プレジデント」と呼ばれて

デイデイトには専用の3列ブレスレットが組み合わされた。半円状のリンクを連ねたこのブレスレットは、後に「プレジデント」と呼ばれ、モデルそのものの通称ともなる。

名の由来には諸説ある。リンドン・ジョンソンが在任中に着用した最初の大統領とされ、これが通称の契機になったと伝わる。レーガン、ニクソン、クリントンら歴代大統領の着用も知られる。当時のロレックス広告自体が、本モデルを「大統領の時計」として打ち出していた。要人の腕に渡ったことで、デイデイトは成功の象徴という文化的な像を獲得した。なお初期には専用ブレスレットではなくジュビリーを伴う例も見られ、定着には数年を要したとされる。

04

クイックセットへの長い道

1959年に登場したref. 1803は、17年という長期にわたり生産された。自社一貫製造のCal.1555、後に1556を搭載したが、曜日も日付も時刻送りでしか合わせられなかった。深夜をまたいで針を回す手間が残されていた。

転機は1977年のref. 18038である。新型Cal.3055がデイトのクイックセットを実現し、リューズ操作で日付を直接修正できるようになった。同時にアクリル風防はサファイアへ、立体的な「パイパン」文字盤は平面へと改まる。さらに1988年のref. 18238はCal.3155を得て、曜日と日付の双方を即時修正するダブルクイックセットに到達した。30年あまりをかけ、実用上の課題が一つずつ解かれていった。

05

現代への刷新 — 128238世代

2008年、ロレックスは創業100周年に合わせ41mmのDay-Date IIを投入した。大ぶりな造形は評価が分かれ、2015年には40mmのDay-Date 40へ改められる。一方で36mmの本流は、寸法を変えずに残された。

2019年、36mmのデイデイトはref. 128238世代へ移行し、Chronergy脱進機を備えるCal.3255を獲得する。約70時間のパワーリザーブと日差-2/+2秒という精度は、70年前の出発点からの到達点を示す。2024年には、曜日窓に言葉を、日付窓に絵文字を配した「Emoji Puzzle」がカタログ外で発表された。最も格式あるモデルに遊びを持ち込む試みであった。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

デイデイトの設計を貫くのは、複雑機構を日常の実用へ引き寄せるという判断である。同時代の高級時計が永久カレンダーやムーンフェイズへ向かうなか、本シリーズは曜日と日付という、毎日必ず参照する情報だけを残した。複雑さの誇示ではなく、可読性を中心に据えた選択である。デイデイトに先立つトリプルカレンダー機ref. 8171などが市場で振るわなかった経緯も、この方針の背景にある。

その可読性は文字盤の構成に表れる。12時のアーチ窓に曜日を完全な綴りで示し、3時位置に日付を置き、サイクロップスレンズで日付を拡大する。この配置は70年近く動いていない。曜日表示は各国語に対応し、現在は26言語に及ぶ。情報の出方が変わらないことが、ひと目で「デイデイト」と分かる所以である。

意匠面では、フルーテッドベゼルとプレジデントブレスレットが視覚的な要となる。溝を刻んだベゼルは光を細かく反射し、半円リンクのブレスレットはケースと滑らかに連続する。ドーフィン針からストレート針への変更や、中空から中実リンクへのブレスレット刷新はあったが、文字盤の基本骨格と各要素の比率は保たれてきた。変えたのは構造の信頼性であり、見え方ではない。

寸法への自制も、このシリーズを規定する。デイデイトは長く36mmを基準とし、大型化が進んだ2000年代以降も本流の径を変えなかった。素材は金とプラチナに限り、ステンレススチールを用いない。これは華美へ傾くというより、変えるべきでない要素を見極め、それ以外を据え置くという規律に近い。ダイバーズやクロノグラフのような道具性ではなく、日常に静かに馴染む実用を、本シリーズは別の価値として体現してきた。認識可能な「顔」が世代を越えて保たれているのは、この抑制の結果である。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1956-1959
Cal. 1055
調達ベースに曜日機構を搭載。毎時18,000振動。
1959-1977
Cal. 1555 / 1556
初の自社一貫製造。フリースプラング、クイックセット非搭載。
1977-1988
Cal. 3055
デイト・クイックセット導入。毎時28,800振動 (4Hz)。
1988-2019
Cal. 3155
曜日・日付のダブルクイックセット。31石構成。
2019-現在
Cal. 3255
Chronergy脱進機。約70時間パワーリザーブ。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1956-1957

曜日表示を備えた初代

6510 6511
36mmオイスターに100m防水。曜日の完全表示を初搭載した起点。
1957-1959

表記を確立した改良型

6611
改良型Cal.1055を搭載。上級クロノメーター表記の起点。
1959-1977

パイパン文字盤の長寿世代

1803
自社製Cal.1555/1556を搭載。17年続いた長寿世代。
1977-1988

クイックセット世代へ

18038
Cal.3055でデイト即時修正を実現。サファイア風防へ移行。
1988-2000

ダブルクイックセット

18238
Cal.3155で曜日と日付の双方を即時修正可能に。
2000-2019

中実ブレスの現代型基礎

118238
ケースを刷新しPresidentを中実リンク化。現代型の基礎。
2019-現在

現行Cal.3255世代

128238
Chronergy脱進機を採用し約70時間パワーリザーブへ。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 公式 Watches - Rolex 公式 · Rolex · 2026.08.15 閲覧 Rolex · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア Rolex 3255 専門メディア · Grail Watch Reference · 2026.08.15 閲覧 Grail Watch Reference · 2026.08.15
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 1 モデル

1 references in archive