設計思想
1. 36mmの世代交代を締めくくる一本
Cal.3235は、ロレックスが2015年に発表した新世代の自動巻である。デイトジャストでは41mmのデイトジャスト 41が先にこの機械を得ており、36mmへの展開は2018年に始まった。ロレックスはまず、エバーローズとイエローのロレゾールで新世代の36mmを示した。ホワイトロレゾールの Ref. 126234 が加わったのは、1年後の2019年である。
金の比率が高い仕様から先に刷新し、スチール主体の仕様を後に回す。この順序はロレックスの慣例とされ、126234はデイトジャスト 36の世代交代を締めくくる位置にあった。スチールのケースにホワイトゴールドのフルーテッドベゼルを載せる構成は、Ref. 16234、116234 と代を重ねてきた。126234は、その系譜の現行形にあたる。
2. 116234から受け継いだもの、改めたもの
前任の Ref. 116234 は、2000年代半ばから十数年にわたって生産された。36mmのケース径と18Kホワイトゴールドのフルーテッドベゼル、スチールのケースとブレス、100m防水。この骨格は、そのまま126234に引き継がれた。ブルー文字盤にバーインデックスを合わせた仕様も、前任の時代から存在した。
変わったのは、一見しただけでは気づきにくい部分である。ムーブメントはCal.3135からCal.3235へ移り、駆動時間と耐磁性が底上げされた。ケース、文字盤、ブレスレットにも、それぞれ細部の手直しが加えられている。
外観の同一性を守りながら、中身と使い勝手を更新する。126234への世代交代は、デイトジャストが長く続けてきた改良の作法をそのままなぞっている。
3. ブライトブルーとジュビリーという組み合わせ
126234には、色、モチーフ、ローマ数字、ダイヤモンドを組み合わせた多数の文字盤がある。126234-0017は、その中で最も基本的な構成を持つ。無地のサンレイ仕上げにバーインデックスを置き、色だけで個性を示す仕様である。
フルーテッドベゼルとジュビリーブレスの組み合わせは、デイトジャストの伝統的な装いとして知られる。本機はその装いを保ちながら、黒やシルバーより表情のある青によって、同じ構成に異なる温度を与えている。
同じ文字盤をオイスターブレスで仕立てた兄弟機が 126234-0018 である。インデックスをダイヤモンドに替えたブライトブルーは、126234-0037 として展開される。41mmの側では、デイトジャスト 41 の Ref. 126334-0002 が同じブライトブルーとジュビリーの組み合わせを持つ。サイズを違えて同じ構成が用意されている点にも、この組み合わせの位置づけが表れている。
意匠分析
直径36mmは前任の Ref. 116234 と変わらない。変化はケースの輪郭にある。新世代で再設計されたケースサイドは、側面がより垂直に立ち上がり、稜線がはっきりした。ラグもわずかに細身になったとされ、横顔は引き締まって見える。
ミドルケースはオイスタースチールの塊から削り出すモノブロック構造である。金が使われるのは18Kホワイトゴールドのフルーテッドベゼルだけだ。ホワイトゴールドとスチールは色味が近く、遠目には単色の時計に見える。光を受けたときだけ、ベゼルの刻みが鋭く輝く。二つの金属を用いながら主張を抑える点に、ホワイトロレゾールの性格がある。
ブライトブルーの文字盤は、中心から放射状にブラッシングを施すサンレイ仕上げである。着色は物理蒸着 (PVD) または電気メッキで行い、最後に薄くワニスをかける。手首の角度によって青の明度が変わり、濃紺から明るい青まで表情が動く。
文字盤の構成も改められた。前任の青文字盤にあった外周の分目盛り、いわゆるレイルロードトラックは廃され、インデックスの外側に余白が生まれた。インデックスはわずかに大型化して夜光の面積を増し、時針もインデックスの近くまで届く長さになったとされる。インデックス、針、12時の王冠マークは18Kホワイトゴールド製で、夜光には青く光るクロマライトを用いる。
ブレスレットは5列リンクのジュビリーで、中央の3列をポリッシュ、外側の列をサテンで仕上げる。前任のジュビリーは、中留を隠すクラウンクラスプだった。本機はオイスタークラスプを採用し、約5mm延長できるイージーリンクを備える。途切れのない見た目より、日々の長さ調整を優先した選択である。エンドピースもケース側面の丸みになじむ形に見直されたと伝わる。
ムーブメントは自社製のCal.3235で、毎時28,800振動 (4Hz)。脱進機はニッケル・リン合金製のクロナジー・エスケープメントである。常磁性のブルー パラクロム・ヘアスプリングと合わせ、磁気の影響を受けにくい。パワーリザーブは前任Cal.3135の約48時間から、約70時間へ延びた。
系譜と歴史
2018年3月のバーゼルワールドで、ロレックスはCal.3235を搭載した新世代のデイトジャスト 36を発表した。このときの顔ぶれは、エバーローズロレゾールの Ref. 126231 やイエローロレゾールの Ref. 126233 などである。ホワイトロレゾールは含まれていなかった。
ホワイトロレゾールの Ref. 126234 が登場したのは、翌2019年3月のバーゼルワールドである。オイスタースチール単体の Ref. 126200 も、同じ年に新世代へ移行している。発表時に主に紹介されたのは、黒のサンレイ文字盤にジュビリーブレスを合わせた個体だった。
ブライトブルー文字盤とジュビリーブレスを組み合わせた126234-0017も、同じ2019年のうちに流通している。WatchBase は生産開始年を2019年としており、同年の日付を持つ保証書の個体も確認できる。
2021年のWatches and Wondersでは、デイトジャスト 36にパームとフルーテッドのモチーフ文字盤が導入された。その後、126234にもブルーのフルーテッドモチーフ (126234-0049) が加わった。青系統の文字盤は、質感の違いでも選べるようになった。
生産期間を通じて、ケース、ムーブメント、ブレスレットに関する公式の仕様変更は告知されていない。2026年9月時点でも、本機はロレックス公式サイトの現行カタログに掲載されており、現行品である。