1949年、宝はムーブメントの中にあった
オメガが「トレゾア」(Trésor)の名を冠したコレクションを発表したのは1949年である。フランス語で「宝」を意味するこの名前が指したのは、文字盤上の装飾でも宝石でもない。ケースに納められた口径30mmのマニュファクチュールキャリバー、その機械そのものだった。
当時のオメガにとって、30mmキャリバーは特別な存在だったとされる。腕時計のために設計された手巻きの大径キャリバーで、戦後のオメガの精度の評判を支えたムーブメントの一つと位置づけられている。
この手巻きキャリバーを納める器として、薄型のゴールドケースを特徴とするドレスウォッチ「トレゾア」が立ち上げられた。発表はシーマスター(1948年)とコンステレーション(1952年)のあいだにあたり、飾り気のない三針の紳士用時計に、当時最良の機械を収めるという考え方に立っていた。