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OMEGA · SERIES

Speedmaster '57

スピードマスター'57

月へ向かう前、レース用クロノグラフとして生まれた初代を現代に再話するスピードマスターの系譜

41.5 mm
01 — 概要 / SUMMARY

スピードマスター'57は、1957年の初代CK2915を起点とするオメガの系譜である。月面探査で知られるムーンウォッチとは別に、レース用クロノグラフとして生まれた原点の姿を現代に再話する。1997年のリローンチ(Ref. 3594.50)を経て、2013年に独立したコレクションとして始動した。現行は40.5mmのCal.9906世代で、ブラック・グリーン・ブルー・バーガンディの文字盤やセドナゴールド版を擁する。左右対称のケースとブロードアロー針が、この系譜の目印である。

02 — STORY · 物語

Speedmaster '57(スピードマスター'57)、これまでの軌跡

The story of this series
01

月へ行く前の話

スピードマスターの名は、現在では月面探査と分かちがたい。だが1957年に登場した初代CK2915は、宇宙とは無縁の場所で構想された。対象は自動車レースのドライバーであり、技術者であり、競技の時間を計る人々だった。

CK2915は、タキメーター目盛りをベゼルに移した最初のクロノグラフとされる。それまで多くの計時表示は文字盤の内側に刻まれていた。外周のベゼルへ移すことで、視認性と計測の速さが増した。手巻のCal.321、左右対称のストレートラグ、ブロードアロー針。これらが初代の言語を形づくった。

スピードマスター'57とは、この地上での出発点を記憶するための系譜である。月へ行く前の、レース用計器としての顔。それを現代の技術で語り直す試みが、このコレクションの核にある。

02

「レプリカ」と呼ばれた最初の再話

初代への回帰が形になったのは1997年だった。スピードマスター40周年に合わせ、オメガはMissionsのケースセットの一員として、CK2915を意識したRef. 3594.50を発表した。翌1998年から単体でも販売され、2003年頃まで生産された。

ただし、このモデルは原典の忠実な複製ではない。ケースは当時のスピードマスター・プロフェッショナル(Ref. 3570.50)を流用した42mmの非対称ケースで、ラグの形も初代とは異なる。搭載キャリバーはLemania系の手巻Cal.1861。それでも植字ロゴ、ブロードアロー針、金属ベゼルは初代を想起させた。

オメガはこれを公式に「'57 レプリカ」と名づけた。だが「レプリカ」という語は収集家の間で否定的に受け取られ、評価は分かれた。2017年、初代60周年の機会に、オメガはこのモデルを「リローンチ」と呼び直している。'57という名が初めて世に出たのは、この一本だった。

03

2013年、名を冠したコレクション

独立したコレクションとしての「スピードマスター'57」が始動したのは、2013年のバーゼルワールドである。41.5mmのケースは、ようやく初代と同じ左右対称のストレートラグへ回帰した。搭載されたCal.9300/9301は、オメガが自社開発した初の一体型コーアクシャル・クロノグラフだった。

ただしこの世代には、原典との明確な差がある。Cal.9300は12時間計と60分計を3時位置の一つのサブダイヤルに統合する。結果として文字盤は2つのサブダイヤルを持つ二つ目構成となり、3つのレジスターを備えた初代とは異なる表情になった。6時位置には日付窓も加わる。

そして当初の'57は、ブロードアローではない針で登場した。初代を象徴する手の形が、ここでは控えめな形に置き換えられていた。再話は始まったが、まだ言葉は揃っていなかった。

04

ブロードアローの帰還

2015年のバーゼルワールドで、オメガは'57に新たな表情を加えた。いわゆる「ヴィンテージ」仕様である。最大の変更は針だった。初代を象徴するブロードアロー針が、ここで戻ってきた。

文字盤も変わった。植字インデックスは凹んだ形へ改められ、夜光には経年を思わせるカーキ調のSuper-LumiNovaが用いられた。マットなブラック文字盤と相まって、初代の質感へ一歩近づいた。

この更新によって、'57は自らの輪郭をはっきりさせた。それは初代の意匠言語を、現代のコーアクシャル機構の上で再構成するという立ち位置である。針というひとつの部品が、系譜の方向を定めた。

05

2022年、まったく新しい'57

2022年、'57は世代を一新する。ケース径は40.5mmへ縮小し、厚さは16.17mmから12.99mmへと約2割薄くなった。手首の上での収まりが大きく変わった更新である。

中身も入れ替わった。新たに搭載されたCal.9906は、自動巻Cal.9900をベースとした手巻のムーブメントである。コラムホイールと垂直クラッチ、2つの香箱による約60時間の駆動を備え、METASのマスター・クロノメーター認定を受ける。耐磁性は15,000ガウスに達する。

手巻への回帰は、初代Cal.321の性格をも思わせる。さらにボックス型のサファイアガラス、サンドイッチ構造の文字盤、1950〜60年代を参照したフラットリンクのブレスレットが加わった。標準仕様となったブロードアロー針とともに、'57はようやく一貫した意匠へ到達した。

06

現在地

現行のスピードマスター'57は、40.5mmのCal.9906世代を軸に展開する。ブラック、グリーン、ブルー、バーガンディといった文字盤色がそろい、セドナゴールドを用いた仕様も加わった。いずれも常設コレクションの一部である。

ムーンウォッチが宇宙の物語を担うのに対し、'57は地上の物語を引き受ける。レースのために生まれた1957年の原点を、薄型で手巻の現代的なクロノグラフとして語り直す。二つ目の文字盤も日付窓も、複製ではなく再話であることの証である。70年近い時間を経て、この系譜は自らの居場所を定めた。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

スピードマスター'57の設計を貫くのは、初代CK2915の地上的な性格をどう受け継ぐか、という問いである。月面探査の物語を担うムーンウォッチに対し、'57はレース用計器として生まれた原点へ立ち返る。その意思が、いくつかの選択に表れている。

第一は、ケースの幾何である。'57は竜頭ガードを持たない左右対称のストレートラグを採る。クラウンを保護する非対称ケースのムーンウォッチとは、ここで明確に分かれる。対称の輪郭は1957年の初代が持っていた姿そのものであり、この系譜の最も分かりやすい目印となっている。

第二は、針とベゼルである。ブロードアロー針は初代を象徴する部品であり、視認性と造形を兼ねる。金属製のタキメーターベゼルは、計時表示を外周へ移した初代の工夫を引き継ぐ。植字ロゴや高コントラストの文字盤も、視認性を優先するという初代の思想に連なる。

そして、この系譜を特徴づけるのは「複製ではない」という判断である。現代のコーアクシャル・クロノグラフは、12時間計と60分計を一つのサブダイヤルへ統合する。その結果、'57は3つのレジスターを持つ初代とは異なり、二つ目のサブダイヤルと日付窓を備える。3つ目構成を忠実になぞることもできたはずだが、オメガは現行機構の素直な姿を選んだ。

2022年の更新は、この設計言語を一つにまとめた。手巻への回帰は、手巻だった初代Cal.321の性格と響き合う。薄型化、ボックス型サファイアガラスの曲面、フラットリンクのブレスレット。いずれも華やかさではなく、1950年代のクロノグラフが持っていた寸法感へ近づけるための選択である。'57が守ってきたのは、地上の道具としての慎ましさだといえる。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1957-1959
Cal. 321
原典CK2915の手巻。Lemania系コラムホイール式。
1997-2003
Cal. 1861
リローンチ3594.50の手巻。Lemania系の量産機。
2013-2021
Cal. 9300 / 9301
自社初の一体型コーアクシャル自動巻。9301は金仕上げ。
2022-現在
Cal. 9906
9900系の手巻版。マスター・クロノメーター認定。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1957-1959

原点となった初代CK2915

CK2915
ベゼルにタキメーターを移した初代。手巻Cal.321、3つ目構成。
1997-2003

'57を名乗った最初の再話

3594.50
Missions由来の再話。42mmケースに手巻Cal.1861を搭載。
2013-2021

現代コレクションの始動

331系
左右対称41.5mmへ回帰。自動巻Cal.9300、二つ目+日付。
2022-現在

40.5mmへの全面刷新

332系
40.5mmへ薄型化。手巻Cal.9906、マスター・クロノメーター。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive