深海に挑む — COMEX と飽和潜水の時代
1960年代後半、海洋開発は新しい段階に入った。北海をはじめとする海底油田の開発が進み、潜水士はより深く、より長く海中にとどまる必要に迫られた。鍵を握ったのが飽和潜水である。ヘリウムと酸素の混合ガスを呼吸し、加圧した居住区と海底を往復する技法だ。
この現場を主導したのがフランスの潜水会社 COMEX(Compagnie Maritime d'Expertises)である。極限環境で働く潜水士には、深部でも狂わず、視認性が高く、衝撃や圧力に耐える時計が要る。オメガはこの要請に応える専用機の開発に着手した。完成までには4年以上を要したと伝わる。