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OMEGA · SERIES

Seamaster 300

シーマスター300

1957年に生まれたOmega初の本格ダイバー。視認性を貫くプロ・トリロジーの潜水機

01 — 概要 / SUMMARY

Seamaster 300は、1957年にOmegaが発表した同社初の本格的なダイバーズウォッチである。耐磁のRailmaster、計時のSpeedmasterと並ぶ「プロフェッショナル・トリロジー」の潜水部門として生まれた。ブロードアロー針と三角インデックスによる高い視認性を設計の核とし、英国海軍にも納入された実用機である。1970年代に一度カタログから姿を消すが、2014年にMaster Co-Axialとして復活。現行世代はMETAS認定のCal. 8912を搭載する。映画『007』で着用された限定版でも知られる。

02 — STORY · 物語

Seamaster 300(シーマスター300)、これまでの軌跡

The story of this series
01

1957年、プロフェッショナルの一角として

Seamasterの名は1948年、Omega創業100周年とともに登場した。当初は防水性を備えた実用時計の系譜であり、潜水専用ではなかった。1950年代、レジャーダイビングの普及が専用時計の需要を生む。すでにブランパンのFifty Fathomsとロレックスのサブマリーナーが市場にあった。Omegaがこの分野に投じた答えが、1957年のSeamaster 300である。

この年、Omegaは三本のプロ仕様時計を同時に発表した。潜水用のSeamaster 300(Ref. CK2913)、耐磁のRailmaster(CK2914)、計時用のSpeedmaster(CK2915)。のちに「プロフェッショナル・トリロジー」と呼ばれる布陣であり、Seamaster 300はその潜水部門を担った。O型ゴムパッキン、ねじ込み式裏蓋、防水を示すNaiadクラウンが、工具としての性格を裏づけた。

02

「300」という名と、200mの保証

文字盤には「Seamaster 300」と記されたが、当時の試験設備の制約から、公式の保証防水は200mであった。300mまで耐えるというのはOmega自身の主張であり、名はその自負を映したものとされる。初代CK2913は39mmケースに、視認性の高いブロードアロー針と、10分単位の逆算ベゼルを備えた。搭載機はCal. 500/501の自動巻である。

CK2913は1961年頃まで生産され、針や文字盤の細部が異なる8種ほどの派生が知られる。続くRef. CK14755では、機械がCal. 550/552へと改められた。シリーズの基本言語は、この最初の数本でほぼ固まっている。

03

第二世代と、英国海軍への納入

1962年、リファレンスは6桁体系へ移行し、165.014が過渡的に生産される。やがて登場した165.024と、日付付きの166.024が第二世代を形づくった。ケースは42mmへ拡大し、ねじれた「リラ・ラグ」を持つSpeedmaster型へと変わる。針はソード(剣)形となり、12時に大きな三角を置いた「ビッグトライアングル」の文字盤が高い視認性を与えた。

この第二世代は、英国国防省にも採用された。1967年から1971年にかけて納入された軍用個体は、市販品と三点で異なる。トリチウム夜光を示す丸囲みのT、ストラップを通す固定ラグ、そして裏蓋の刻印である。海軍向けは「0552」、陸軍向けは「W10」で始まる識別番号を持つ。実戦の道具としての履歴が、このシリーズに刻まれた。

04

空白の44年

1970年代に入ると、Seamaster 300の名はカタログから姿を消す。系譜はSeamaster 200や、PloProfを擁するSeamaster 600などへ枝分かれし、「300」の呼称は40年以上の休眠に入った。なお、1995年以降に映画でジェームズ・ボンドが着用したのは、別系統のSeamaster Diver 300Mであり、本稿のSeamaster 300とは異なるモデルである。両者はしばしば混同される。

05

2014年、コーアクシャルでの再生

2014年、OmegaはSeamaster 300をMaster Co-Axialとして復活させた。ケースは41mm、機械は自社のCal. 8400。コーアクシャル脱進機を持ち、15,000ガウスを超える磁界に耐える点が新世代の核であった。ベゼルはセラミックとLiquidmetalで構成され、風防はサファイアに替わる。そして名のとおり、今度は実際に300m防水を備えた。文字盤は初代を踏襲し、ブロードアロー針と三角インデックス、当時を模した色の夜光を採用している。

06

SPECTREと現行世代

2015年、映画『007 スペクター』の公開に合わせ、劇中でボンドが着けた個体が限定版として発売された(Ref. 233.32.41.21.01.001、7,007本)。実際の使用モデルが限定版として市販されるのは、シリーズで初である。ここで導入された「ロリポップ」秒針は、のちの標準仕様となる。2017年には39mmの「1957トリロジー」も復刻された。

現行世代は2021年に刷新された。機械はMETAS認定のMaster Chronometer、Cal. 8912。8900系をベースとした日付なしの自動巻である。文字盤は夜光板の上に切り抜き層を重ねるサンドイッチ構造となり、ケースは薄型化された。1957年に定まった顔立ちを保ちながら、中身は現代の規格へと到達している。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Seamaster 300の設計を貫くのは、装飾ではなく視認性を最優先する思想である。マットブラックの文字盤に、三角形のインデックスと3・6・9・12のアラビア数字。形状の異なる二種の標識を組み合わせることで、暗い海中でも瞬時に時刻を読み取れる。針はブロードアロー(矢羽根形)を基本とし、太い夜光が水面下の光量不足を補う。これは1957年の初代CK2913が定めた文字盤言語であり、現行モデルにまで受け継がれている。

ケースは時代ごとに径を変えてきた。初代は39mm、1960年代の第二世代は42mm、現行は41mmに落ち着く。しかしプロポーションの思想は一貫している。直線的なラグと厚みのあるベゼルが、工具としての堅牢さを視覚的に伝える。回転ベゼルは潜水時間の計測という実用を担うと同時に、文字盤を囲む視覚的な額縁としても働く。

このシリーズが守り続けた判断は、文字盤を「足し算」しないことである。同時代のサブマリーナーが日付窓とサイクロプスレンズを標準化したのに対し、Seamaster 300は長くノーデイトの対称的な顔を保った。装飾を抑え、色数を絞り、サイズを誇張しない。その自制が、70年近くを経ても一目でそれと分かる輪郭を残している。

ダイバーズウォッチの様式は、1953年のブランパン Fifty Fathomsやロレックス サブマリーナーが先に確立した。Seamaster 300は1957年にその系譜へ加わり、ブロードアロー針という視覚的な署名で輪郭を描いた。現行世代はサファイア、セラミックやアルミのベゼル、耐磁のコーアクシャル機構を得たが、変えなかったのは矢羽根の針と三角インデックス、そしてノーデイトの静けさである。夜光の作り方は塗布からサンドイッチ構造へと移ったが、暗所での可読性という目的は変わっていない。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1957-1960
Cal. 500 / 501
初代CK2913の自動巻。デイトを持たない。
1960-1970
Cal. 552 / 565
第二世代の自動巻。ノーデイトとデイトが併存。
2014-2021
Cal. 8400
コーアクシャル機構、耐磁15,000ガウスの自社製。
2021-現在
Cal. 8912
METAS認定。シリコンひげぜんまいを採用。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1957-1962

初代、ブロードアロー期

CK2913
39mm・ブロードアロー針、200m保証で「300」を名乗る初代。
1960-1964

Cal.552への過渡期

CK14755 165.014
Cal.552を搭載、6桁リファレンス体系へ移行する転換期。
1964-1970

第二世代、ビッグトライアングル期

165.024 166.024
42mmのねじれラグにソード針。英国海軍にも納入された世代。
2014-2021

マスター・コーアクシャルで復活

233系
Cal.8400を積み41mmで復活、>15,000ガウス耐磁を獲得。
2021-現在

マスター・クロノメーター世代

234系
Cal.8912でMETAS認定、サンドイッチ文字盤に刷新した現行。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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  4. 04 専門メディア Baselworld 2014: Introducing the Omega Seamaster 300 Master Co-Axial – Remaking a Classic with the Latest Tech (with specs and pricing) 専門メディア · Watches by SJX · 2026.10.09 閲覧 Watches by SJX · 2026.10.09
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

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