設計思想
1. 復活初年度の基本構成として
2023年、F77シリーズが現代に蘇る。1977年の同名モデルを起点とするこの復刻は、黒と青の2色の文字盤を、それぞれデイトの有無で展開する形で始まった。合計4つの構成が、シリーズ再始動の出発点となる。69001A77-BCは、このうち青文字盤のデイト仕様にあたる。
販売は公式オンラインを軸とした予約制でおこなわれた。1977年の意匠を色濃く残しつつ、入手しやすい価格帯に収めるという方針が、この最初期の構成にも貫かれている。青は、同時に登場した黒と並ぶ、シリーズの基準色の一つとして据えられた。
2. 青とデイトという選択
初年度の2色のうち、黒が落ち着いた無彩の表情を持つのに対し、青は光の角度で表情を変える。籠目状の型打ちが光を拾い、見る向きによって濃淡が動く。日常の道具でありながら、ひと目で気分の変わる文字盤として、青は黒とは異なる性格を担う。
デイトの有無も、このRefの性格を決める。デイト窓を持たない兄弟は、文字盤の左右対称を保つことを選ぶ。対して69001A77-BCは、3時位置に窓を開き、実用の利便を取る。対称性をわずかに崩してでも日付を読めるようにする判断が、この仕様の核にある。
3. 系譜上の位置
69001A77-BCは、37mmの鋼製ケースで構成される初代世代、いわゆるMK1に属する。シリーズはこの後、煙がかった茶系の文字盤、チタンケース、石材を用いた文字盤へと裾野を広げていく。だが、それらの起点にあるのは、2023年に登場したこの基本構成である。
同じ青い文字盤は、一体型ブレスレットのほか、面ファスナー式のキャンバスストラップでも供給された。69001A77-BCは、このうち鋼製ブレスレットの構成にあたる。
2025年には、ケースを38mmに拡大し、針やブレスレットを見直したMKIIが登場する。これにより、37mmのMK1は復刻F77の第一世代として位置づけられた。69001A77-BCは、シリーズが広がる前の、最も素朴な出発点を示す一本である。
意匠分析
文字盤は、籠目状の型打ちを施した青で構成される。表面は放射状の仕上げを思わせ、光の入る角度で濃淡が動く。平板な単色ではなく、織り目状のテクスチャーが奥行きを生む。
インデックスは、研磨されたシルバーのアプライド(切り出して貼り付ける方式)である。12時・6時・9時にはバーを2本並べ、それ以外の時位置には1本を配する。各先端には夜光が小さく置かれ、暗所での視認を補う。3時位置では、インデックスがデイト窓に置き換わる。窓枠にも研磨シルバーがあしらわれ、文字盤の質感と揃う。デイト仕様ゆえ、ここで左右対称はわずかに崩れる。
針は、中央を夜光で満たしたバトン型である。時針と分針は太く、籠目の地に対して輪郭が明確に立つ。秒針は細い直線で、先端近くに夜光を入れた小窓を持つ。
ケースは316Lステンレスで、サテンとポリッシュを面ごとに切り替える。風防は二重ドームのサファイアで、内面に反射防止を施す。ドームの高さゆえ、縁では像がわずかに歪み、独特の温かみを与える。裏蓋はねじ込み式のソリッドで、ニヴァダの盾型エンブレムが刻まれる。
ブレスレットは3列リンクの統合式で、上下面をサテン、側面をポリッシュとする。ケース側からクラスプへ向けて幅が絞られ、手首への収まりを高める。
ムーブメントはスイス製の自動巻きSoprod P024。ETA 2824-2に相当する実用機で、25石、毎時28,800振動 (4Hz)、約38時間のパワーリザーブを持つ。ハック機能を備えるが、ソリッド裏蓋ゆえ、その姿は表に現れない。
系譜と歴史
69001A77-BCが属するF77シリーズの復刻は、2023年に始まった。発表の正確な月は資料によって振れがあるが、年内のうちに公式オンラインの予約制で販売が始まっている。初年度の構成は、黒と青の文字盤を軸に、それぞれデイトの有無で分けた4種であった。本Refの青文字盤デイト仕様は、この最初期のラインアップに含まれる。本Refは発表当初から、鋼製ブレスレットのほか、面ファスナー式キャンバスストラップでの装着にも対応していた。同じ2023年の9月には、シリーズに煙がかった茶系の文字盤を持つ仕様が追加される。これは初期構成とは別の波として投入されたものである。翌2024年には、グレード5チタンのケースや、ラピスラズリ・アベンチュリン・メテオライトといった石材文字盤の仕様が加わり、37mmのMK1の裾野が広がった。2025年、ケースを38mmに広げ、針やブレスレット、ラグ形状を見直したMKIIが登場する。これにより、69001A77-BCを含む37mmの鋼製仕様は、復刻F77の第一世代、すなわちMK1として整理された。本Refはその後もMK1の系列に置かれ、シリーズの出発点を示す構成として扱われている。
出典
本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。
- 01 専門メディア Soprod Caliber P024 Watch Movement
- 02 専門メディア Soprod caliber P024