本文へ
Eterna · Contemporary · 2013

Adventic Date Black / Strap

1960年代センテネールの記憶を41mmに引き直した、再建期Eternaを支えるAdventicの基準仕様

2970.41.42.1326は、EternaのAdventic Dateにおける黒文字盤・レザーストラップ仕様である。2013年頃の登場とされ、41mmステンレスケースにSellita製自動巻SW200-1を搭載する。意匠は1960年代のセンテネールに緩やかに着想したと伝わり、サンレイ仕上げの黒文字盤にローマ数字とバーインデックスを併用する。自社キャリバーを積む上位のAdventic GMTに対し、ラインの入口を担う3針デイトの基準機という位置づけにある。

Ref. 2970.41.42.1326
発表年 2013
状態 現行品
限定 通常生産
コレクション Contemporary
カテゴリ ドレス
キャリバー SW200-1 a
ケース径 41 mm
防水 50 m
関連人物 ウルス・シルト
デイト
01 — Specification

仕様

As of WatchBase sync · 2026.06.12
このモデルを比較する
Case · ケース
素材 Stainless Steel
形状 Round
径 41 mm
ガラス Sapphire
裏蓋 Open
防水 50 m
Movement · ムーブメント
キャリバー SW200-1 a
タイプ Automatic
振動数 28,800 bph
石数 26 石
パワーリザーブ 38 時間
Dial · 文字盤 / Hands · 針
文字盤色 Black
インデックス Mixed
針 Alpha
i — Editorial

設計思想

Design philosophy

再出発期のEternaが必要とした「現代」

Adventic Dateが世に出た2013年前後のEternaは、大きな転換のただ中にあった。2011年6月、ブランドはPorsche Designの手を離れ、中国のChina Haidianグループ(2014年にCitychampへ改称)の傘下に入る。新体制は1856年創業の名門を立て直すべく、自社ムーブメント開発と製品ラインの再編を同時に進めた。ヴィンテージ復刻の1948系やダイバーズのKonTiki系が「過去」を担うのに対し、現代的なデザイン言語で日常使いの層を取り込むラインとして構想されたのがAdventicである。名称の通りコンテンポラリー路線に属するが、その造形は1960年代のセンテネール、すなわち1956年の創業100周年を記念したEterna-Matic Centenaireの系譜に緩やかに着想したとされる。過去を引用しつつ復刻に振り切らない、という距離感がこのラインの性格を決めている。

二層構造のムーブメント戦略

Adventicラインを理解する鍵は、ムーブメントの使い分けにある。上位のAdventic GMTには、2014年のBaselworldで披露されたモジュラー設計の自社キャリバー39系を基にしたCal.3914Aが充てられた。基幹部品の共通化により最大88種の派生を生むという野心的な構想で、ボールベアリングを応用したSpherodrive機構を備える。1948年に世界初のボールベアリング式ローターを実用化したEternaにとって、象徴性の高い技術である。一方、本機Adventic DateはSellita製SW200-1を採用する。毎時28,800振動 (4Hz)、約38時間パワーリザーブの汎用機で、整備性と価格を優先した選択である。自社機で技術力を示し、調達機で裾野を広げる。この分業の「裾野」側を担ったのが2970系であり、なかでも黒文字盤×ストラップの本Refはその基準仕様にあたる。

2970系の中での位置

2970系には文字盤と外装違いの兄弟Refが揃う。シルバー文字盤の2970.41.62.1326、ステンレスブレス仕様の2970.41.42.1704と2970.41.62.1704、ゴールドPVDを併用したツートンの2970.53.17.1325、黒PVDケースの2970.43.42.1353などである。さらにクォーツのビッグデイト機2971系、自社キャリバーのAdventic GMT 7661系が同じ意匠言語を共有する。展開の幅広さは、Adventicが単発のモデルではなくライン全体として設計されたことを物語る。その原点に置かれた構成が、本Refの黒サンレイ文字盤とレザーストラップの組み合わせである。


ii — Editorial

意匠分析

Visual analysis

ケースは直径41mmのステンレススティール。厚さは10.8mmと伝わり、3針デイトとして標準的な範囲に収まる。ベゼルは装飾を省いた滑らかなポリッシュ仕上げで、緩やかに湾曲した形状がドレス寄りの印象を作る。風防はサファイアクリスタル、防水は50m防水にとどまり、想定される使用環境が日常域であることを示す。

文字盤は黒のサンレイ(放射)仕上げである。光の角度で表情が変わる下地に、12・3・6・9時のローマ数字とその間のバーインデックスを併置する構成を取る。数字と植字を混在させる手法はクラシカルな語彙だが、インデックスと針に夜光を施す点は実用寄りの判断である。針はアルファ型で、3時位置に日付窓を開ける。サブダイヤルを持つAdventic GMTの多層的な文字盤に対し、本機は要素を時刻と日付に絞り込み、面の質感で見せる設計と言える。

裏蓋はシースルーバックで、SW200-1の作動を覗くことができる。汎用ムーブメントをあえて見せる判断には、機械式の入口に立つ着用者へ向けた演出の意図が読み取れる。ストラップは黒のカーフレザーで、フォールディングクラスプ付きと伝わる仕様が多いが、流通個体にはピンバックル表記も見られ、付属仕様には揺れがある。プロポーションの面では、同ライン上位のAdventic GMTがケース径42mm・厚さ12.6mmであるのに対し、本機は径で1mm、厚さで2mm近く抑えられている。サブダイヤルを持たない3針構成だからこそ成立する薄さであり、袖口への収まりはライン内で最も良い部類に入る。総じて本Refの設計は、センテネール由来の古典的語彙を、41mmという現代的なサイズと調達ムーブメントの実利で支え直した構成である。


iii — Editorial

系譜と歴史

Lineage

本Refを含むAdventic Dateの登場時期について、WatchBaseは生産年を2013年と記録しており、ライン自体も2013年に導入されたとされる。買収後の再建期にあたるこの時期、Eternaは製品群の再編を急いでおり、Adventicはコンテンポラリー路線の柱として投入された。翌2014年のBaselworldでは自社のモジュラーキャリバー39系が発表され、2015年の同見本市ではこれを積むAdventic GMTが刷新される。3針のDateはこの間も2970系として継続し、米国では2015年10月に大手通販での取り扱い開始が記録されている。また兄弟Refのうち黒PVDケースの2970.43.42.1353については2015年のリリースとする記録もあり、2970系の派生追加は段階的に行われたとみられる。生産期間中の仕様変更を裏付ける公式情報は確認できず、文字盤・外装違いの兄弟Refが並行展開される構成が維持されたとみられる。その後、Eternaの公式オンラインショップの現行掲載はAdventic GMTが中心となり、3針のAdventic Dateは見当たらなくなっている。生産終了の公式発表は確認できないものの、本Refは現在、主に流通在庫と二次流通で見られる存在となっている。


Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 専門メディア Sellita Caliber SW200-1 専門メディア · Caliber Corner · 2026.08.15 閲覧 Caliber Corner · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア Eterna 専門メディア · Watch Wiki · 2026.08.15 閲覧 Watch Wiki · 2026.08.15
02 — Derivatives

同型・派生 Ref

Color · material · bracelet variants