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ETERNA · SERIES

Contemporary

コンテンポラリー

玉軸受けの遺産を自社製ムーブメントで甦らせた、2010年代エテルナの現代コレクション群

01 — 概要 / SUMMARY

Contemporary(コンテンポラリー)は、スイスの老舗エテルナが2010年代に展開した現代的なコレクション群の総称である。1948年のエテルナマチックに始まる玉軸受けの技術遺産を、Spherodrive香箱と自社製モジュラームーブメントCal.39として現代に甦らせた点に共通項を持つ。8日巻のMadison Eight-Days、現代設計のAdventic、調達ムーブメントによる標準価格帯のAvant-Gardeが主軸をなす。KonTikiの冒険遺産やHeritageの復刻路線とは異なり、技術と簡潔な意匠の両立を志向した系譜である。

02 — STORY · 物語

Contemporary(コンテンポラリー)、これまでの軌跡

The story of this series
01

玉軸受けという原点

エテルナの現代コレクション群を貫く主題は、玉軸受けである。同社は1948年、回転錘を5個の玉軸受けで支えるエテルナマチックを発表し、自動巻機構の効率と耐久性を高めた。円環状に並ぶ5つの球は、今もブランドのロゴに残る。

2009年、エテルナはこの発想を香箱へ応用したSpherodriveを発表した。ぜんまいを収める香箱を玉軸受け上で回転させ、摩擦と潤滑への依存を減らす機構である。Contemporaryと総称される一連のコレクションは、この技術的原点を現代の腕時計へ翻訳する試みとして展開した。

02

Madison Eight-Days — Spherodriveの実証 (2010)

Spherodriveを最初に大きく世へ問うたのが、2010年のMadison Eight-Daysである。手巻のCal.3510は直列に連結した2つの香箱を備え、192時間、すなわち8日間の連続駆動を実現した。毎時28,800振動(4Hz)、22石、グリュシデュール製テンプを持つ。

トノー型ケースに大型日付を2時位置、パワーリザーブ表示を7時から8時にかけて配したダイアルは、機構の独自性を視覚にも翻訳していた。複雑機構の追加ではなく、香箱という基礎部位の刷新で長時間駆動を導く。その着眼が、後続コレクションの基調となった。

03

Adventic — 現代設計言語の確立 (2012)

2012年に登場したAdventicは、Contemporaryの意匠言語を定めた中核である。自動巻のCal.3843を搭載し、手巻のCal.3505/3510に続いてSpherodriveを自動巻へ応用した最初のモデルとなった。1960年代のCentenaireの意匠を下敷きに、現代的な造形へまとめた点も特徴である。

ケースには、ブランドの出自を示す細部が随所に置かれた。竜頭の5つの球、文字盤の分目盛環に並ぶ5つの球、ケース側面の2列の溝。1948年の遺産を、装飾ではなく構造の記号として刻む手法である。文字盤は視認性を優先し、過剰な演出を避けた。

04

Cal.39 — 自社製ムーブメントの構想 (2013-2015)

2013年、エテルナは自社製モジュラームーブメントCal.39を公表した。2007年に始まった開発計画の成果で、一つの基幹から手巻の二針、フライバッククロノグラフまで88通りの構成を組めるとされる。Spherodriveを内蔵し、68時間のパワーリザーブを持つ。

注目されたのは、その狙いである。かつてエテルナは自社の機械部門からETAを生んだが、ETAはのちにスウォッチグループへ移り、外部への供給を絞っていった。Cal.39は、そのETAに代わる供給源となることも視野に設計された。2015年のAdventic GMTは自社製Cal.3914Aを得て、Contemporaryの技術的到達点となった。

これと並行して、Avant-GardeはSellita SW200系を積む標準価格帯の系列として展開した。自社製の高級層と調達ムーブメントの普及層を、一つの意匠言語でまとめる。それがこの時期のエテルナの構えであった。

05

現代の到達点

Contemporaryの諸コレクションは、新たな資本のもとで再起を図ったエテルナの、2010年代の到達点を示している。同社は2011年に中国系のChina Haidian(のちCitychampと改称)の傘下に入り、この体制下でSpherodriveとCal.39を軸とする製品群を整えた。

もっとも、その後の歩みは平坦ではなかった。2010年代後半には経営の不振が伝えられ、近年は生産が大きく縮小し、活動を停止しているとも伝えられる。Contemporaryは、玉軸受けという一貫した主題のもとで自社技術の復権を試みた、ひとつの区切りとして残っている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Contemporaryを貫く設計思想は、ブランドの出自を装飾ではなく構造の記号として示す点にある。エテルナの象徴は、1948年以来の玉軸受けと、それを表す5つの球のロゴである。Adventicでは竜頭に5つの球をあしらい、文字盤の分目盛環にも5つの球を並べ、ケース側面には2列の溝を刻んだ。意味を持つ細部だけを置き、無関係な装飾を加えない。この抑制が、コレクション全体の基調をなす。

機構面では、目立つ複雑機構ではなく、香箱という基礎部位の刷新を価値の中心に据えた。Spherodriveは玉軸受けで香箱を支え、摩擦と潤滑への依存を減らす。Madison Eight-Daysの8日巻も、複数の表示で飾るのではなく、長時間駆動という機能そのものを主役にしている。技術を誇示するのではなく、機能の質で語らせる構えである。

意匠言語としては、視認性と均衡が優先された。サンバースト仕上げの文字盤、ドーフィン針やバトンインデックス、必要な情報だけを置いた盤面構成。Adventic GMTでは第2時間帯のサブダイアルだけを色や造形で区別し、他の要素は静かにまとめた。情報の階層を、色数ではなく配置で整理する手法である。

同時代のスポーツウォッチが大型化や高い防水性能、強い色彩で個性を競った時期にあって、Contemporaryは装飾と色数を抑え、視認性と均衡で性格を示す道を選んだ。防水性能はおおむね30mから100mと実用域にとどまり、機構の独自性を主張の中心に据えている。

もう一つの特徴は、価格帯を貫く一貫性である。自社製Cal.39を積む層と、SellitaやETAを調達する標準層が併存したが、両者は同じ意匠言語を共有した。機械の出自で意匠を変えず、見た目の統一でブランドの像を保つ。それがこの系譜の設計上の判断であった。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2009-2010
Cal. 3505 / 3510
Spherodrive手巻。玉軸受け香箱で8日巻に到達。
2012-2015
Cal. 3843 / Sellita SW200 系
自動巻期。自社Spherodriveと調達品が併存。
2013-
Cal. 39 系 (3914A 等)
自社製モジュラー。88構成・68時間。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2010

Madison Eight-Days

7720
Cal.3510手巻、Spherodriveで8日巻を実現。
2012

Adventic

7660 系
Spherodrive自動巻Cal.3843を搭載、現代の設計言語を確立。
2014頃

Avant-Garde

2945 系
Sellita SW200系の標準価格帯。簡潔な三針・日付の意匠。
2015

Adventic GMT

7661
自社Cal.3914A(Cal.39系)を得て家族の技術的頂点に。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 専門メディア How Eterna's Eterna-Matic Changed Things 専門メディア · A Timely Perspective · 2026.08.15 閲覧 A Timely Perspective · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア Eterna 専門メディア · Watch Wiki · 2026.08.15 閲覧 Watch Wiki · 2026.08.15
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive